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虹の架け橋  作者: 藤井桜
本編
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他事務所の年下の先輩とコンビを組む事になりました



 六月の半ば、梅雨時なはずなのに、雨は降らず暑い日が続いていた。今日は、新しい靴を買おうと、出掛けていた。一度、事務所に寄り、莉子さんから、持っていく様に言われた、雑誌を受け取った。

 今日発売のそれは、レーゲンボーゲンの事務所の年下の先輩であるAimu(アイム)ちゃんとの仕事で対談したものだ。彼女と歌ったシングルの発売日が来月にある。彼女は私たちの二つ下で、レーゲンボーゲンよりも一年早くデビューしている。その彼女と『bitter(ビター) &sugar(シュガー)』という名前でCDを出す。

 実は、彼女とは同郷の宮城県出身だったために、こうして、コラボが実現した。オファーを受けて、プロスポーツの応援歌を歌う事になった。

 ちなみに『bitter』が私で彼女が『sugar』だ。彼女の本名の佐藤から来ている。結婚して、苗字は変わってはいるが昔から、そう呼ばれていたらしい。



「休みの日にごめんね、その後の予定は? 把握しておこうと思って」

「買い物して、ご飯食べて帰ろうと思っています」

「ご飯ちゃんと食べようと思ってるようで、えらいえらい。暑くなって来たから無理しないでよ」

「はぁい」



 事務所を出ると、梅雨のはずなのに、強い日差しに眩しくて、目を細めた。日傘を差して、駅までの道のりを歩く。駅に着いて、日傘を畳んでいると、声を掛けられた。

 今日は、細身のジーンズに丈の長い涼しげな白いワンピースを羽織り代わりに着ている。中は、紺色のシャツだ。



「おはよう」

「あ、浅生(あそう)くん、今日は事務所ですか」

「うん、でも、用事は終わったところ。預かっていた鍵返して来ただけだから」

「なんか、私と同じような簡単な用事なのね」

「麻衣も事務所行って来たの?」

「ちょっと、今日発売の雑誌を受け取って来ただけ」

「雑誌?」



 これ、そう言って鞄から雑誌を取り出す。それを見て何か分かったのだろう、それ、俺も見たいなと言って来た。きっと、浅生くんの事務所にも届けられているはずなんだけれど、ま、いいか。



「買い物しに行くところなの。雑誌、最初に読むなら貸すけど」

「その買い物、俺いちゃ迷惑?」

「そんな事ないよ、靴買いに行く予定だから」

「じゃあ、その後、一緒にご飯食べよう。その時にその雑誌見せて」



 おおう、これデートって言わないか? まぁ、結構、誘われているんだけど、断れないのよね。まぁ、靴底の低い靴を買おうと思っていたので、浅生くんと並んで身長確認出来るのは助かるので、役に立ってもらおう。



「今の格好に合わせて?」

「うん、夏っぽい色が良いかな」



 青とか、白でもいいかな。悩んでいると、浅生くんが選んでくれた。いつも、服買う時は莉子さんに付き合ってもらったりする。それか、絵美と通販でどんな感じのが良いのか、アドバイスもらったりする。服は難しいので、靴などの小物は、自分で選ぼうと頑張っているんだけど、それでも悩んじゃう。



「こっち、なんでも合わせやすいと思うね」



 そう言って選んでくれたのは、白いスニーカーだった。アクセントに青が入っていて良い感じ。青も夏っぽくて良い。じゃあ、それにしようかな。サイズ確認に履いてみると、ちょうど良かった。身長はそれなりにあるんだけど、実は靴のサイズは24㎝と普通だ。靴底も薄くて、浅生くんよりも身長、低いのでこれに決まりかな。浅生くんも私が、身長気にしているの理解してくれるのか、靴底が薄いの選んでくれた。

 やばい、浅生くん、荷物持ってくれるなんて、私、彼女みたいじゃないですか。



「何食べたい?」

「私は何でも」

「麻衣って、悩む方?」

「そうかも、浅生くんは決断力早いよね」

「食べ物だったら、その時食べたいって思ったもの、選ぶかな」



 暑いので、さっぱりしたものがいいかな。でも、今からそうしてると夏はどうするのって、莉子さんに叱られるちゃうな、最近では、浅生くんにも注意される。



「パスタが良いです」



 それなら、食べれそう。浅生くんには、少ないかな。もし、がっつり食べたかったらごめんなさい、私を誘った時点で察してください。付き合いが一年以上経ったためか、その辺は理解してくれているようで、パスタ屋さんで了承してくれたけれど、次は、パスタ屋さんで悩む事になるような気がする。冷製なんて、早いよね。冬だったら、牡蠣のクリームパスタ一択なんだけどな。結局、明太子パスタに落ち着きました。

 そして、ご飯はご馳走してもらいました。きっと、割り勘でって、言っても受け取って貰えないのよね。



「AimuとCD出すんだっけ」

「うん、佐藤だから、彼女シュガーちゃんって名前になる」

「うわ、そのままなのか。でも、彼女今、結婚して、佐藤じゃないし、芸名で仕事してるよね。なんで、知ってるの」

「同郷なのです。といっても愛夢(あいむ)ちゃんは、仙台市だけど、コラボする事になって、コラボ名考えた時にそう決まりました、『sugar』なら塩か、とか思ったんだけど塩はないわね、ってなって、甘いお菓子をイメージして決まりました、『bitter&sugar』で、『空に駆けろ』と『tryagain(トライアゲイン)』って両A面になってる。プロスポーツの応援歌なのよね」

「そして、その対談が今日発売のこの雑誌に載っているわけね。衣装いいね、黒白のメリハリした感じがかっこいい」

「へへ、ありがとう」



 表紙は文字の並びに合わせて、向かって『bitter』の私が左側、『sugar』の愛夢ちゃんが右側、私が黒の衣装で愛夢ちゃんが白い衣装なのだ。デザインは近いが私のはいつもの男性ぽい感じで、愛夢ちゃんは、可愛い感じ。

 レーゲンボーゲンは、基本、二人共同じ色合いになるらしいので、ここまではっきりとは分かれないらしい。少し、自分たちのカラー入れて、違いを出す事はあるみたいだけど。

 ちなみに、対談のページは、そのプロスポーツのユニフォームを着ている。わざわざ、私たちの名前入れてもらったんだよね。『bitter&sugar』ではなく、ちゃんと、『Mai(マイ)』と『Aimu』で入っています。



 褒められると嬉しいね。そして、発売日前に事務所にCDが届くと思うので、聞いてみて下さい。



 プロスポーツは、楽天とベガルタですね。そのうち、広島のカープとサンフレッチェの話題も出してみたいですね。サンフレッチェって、麻衣のイメージカラーそのままだなと思う。そうなると、カープは遥くんイメージですかね。嘉隆くん、はぶてそうだな。

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