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002話:クソゲーかよ

 青臭い臭いがする。

 土の臭いも。

 風を感じた。

 サワサワと、木の葉が揺れる音。

 虫だろうか?チーチー、キリキリと鳴き声も聞こえる。

 真っ黒な世界は変わらず、それでも自分が森の中にいるらしいことは理解できた。

 少しすると、真っ黒な世界なのではなく、今が夜であることに気が付いて、ちょっとだけ安堵した。

 相変わらず真っ黒で何も見えないが、真上を見上げると、時折頭上に星のような小さな光が見える。

 風で木の枝が揺らぐ音。

 隙間から空が見えるのだろう。

 目が暗闇に慣れて多少は見えるようになるかと待ってみたけれど、どうやら無理そうだ。

 全くと言っていい程光が入らない。

 時々星が見えるのだから、少しくらいは月明かりが入ってもいいだろうに。

 新月なのか?

 まさか、この世界に月が無いってこともあるのか?

 周辺に人の気配はない、自分一人だけのようだ。

 今の状況が理解できると、植え付けられた知識が警報を鳴らす。

 この世界で夜の森は危険だ。

 この世界には魔物が存在する。

 だからと言って、何かできるわけではないことに焦りを感じた。

 やばい。

 初期装備すらない状態のレベル1キャラで勝てるモンスターなんていないぞ。

じっと、何も起こらないように、信じてもいない何かに祈りながら息をひそめた。

早く朝になってくれ。

とてつもなく長い、かもしれない夜をたった一人で過ごす。

生まれてから今まで感じたことのない恐怖が思考力を奪ってしまったかのように、何も考えられず、ただただ時間が過ぎるのを待つことしかできなかった。

 マジ怖い。


    **


 俺がやっていたゲームは、エイルヴァーンという。

 シングルプレイのPC用ゲームで、発売後15年になる一人称視点のRPGだ。

リリース直後はあまりパッとしなかったが、5年後にメーカーがMOD(ユーザーによるゲーム改造プログラム)を公認した事で話題を呼び、その後長く親しまれることになった。

 ただ公認しただけでは話題性だけで終わっただろうが、素人でも作りやすいMOD作成ツールを用意したり、ツールで作ったMODを公開するためのサイトをメーカーが用意したりしたことで、短期間に膨大な量と質のMODが公開された。

 難しい操作も無く自分好みに変えられるという話題性から、発売後5年もたったゲームが、わずか1年でそれまでの売り上げを5倍以上に押し上げた。

 それまでにもMODが多数存在するゲームはあったが、導入が難しかったり、MOD同士の相性の問題で苦労して導入しても使えなかったり、データが壊れてしまったりとハードルがあまりに高く、一部の愛好家だけが楽しむものだったのだ。

 キャラクターやモンスターの動きを自然にしたり、動きをオーバーにしたりといった、直接ゲームシステムに影響を与えないものや、アイテム、魔法やスキル、モンスターの追加といった小規模なもの、画像の美化、新しいダンジョンやキャンペーンシナリオの追加といった大規模なものまで、数百の素人、玄人入り乱れたクリエイター達による、万を超えるMOD群が、相性による問題も無く簡単に導入できる、そのことが長くプレイヤーを引き付ける原動力になった。

 実際、ゲーム本編以上のボリュームがあったオリジナルキャンペーンシナリオは、導入率90%を超える超人気作となり、当時学生だった製作チームはメーカーから好待遇で招き入れられたらしい。

 ツールの出来も絶妙で、プログラムを知らなくてもある程度作れるようになっていつつ、ゲーム性を壊しすぎないような制限がつけられていた。

 その制限をかいくぐって強力なアイテムや魔法、スキルを作り出すのがMOD職人といわれた製作者たちの腕の見せ所でもあった。

 俺はもっぱら利用するだけだったが、それでも数多のMODを導入し、10年以上プレイし続けたゲームだ。

 本来なら無双できるだけの高みに到達していたはずだ。

 それなのに・・・。

 レベル1で所持品無しならみんなと条件は同じ、ではないのだ。

 なぜなら、俺が最後にプレイしていた時、使っていたキャラクターの職業は通常のランクアップではたどり着けない究極の職業、「超越者」だったからだ。

 様々な条件をクリアした者のみがたどりつける究極の職業、という扱いだ。

なんせ、覚えた事のある全てのスキルと魔法を、レベルが規定レベルに達するだけで職業によるリスク無しで使うことができるようになったし、超越者専用のスキルや魔法もあった。

装備なども職業関係なくすべて使うことができて、さらにレベル上限の100を超えてレベルアップし続けられるというメリット盛りだくさんの究極の職業だ。

 ただし、デメリットもえげつない。

 レベルアップに必要な経験値が、最上級職の2倍、初級職「見習い」の10倍以上必要で、格上を相手にすることで得られる経験値ボーナスも一切無い。

 さらに、魔法やスキルの効果に影響する熟練度は、超越者になる前に到達していた最大値のまま、それ以上成長することは無い。

 ステータスも平均的な成長をする「見習い」より多少良い程度で、同じレベルの専門職には中級職にすら及ばないのだ。

 レベル上限が無く、成長し続けられるからこそオールマイティーに強化できる、しかしレベルはとにかく上がりにくい超器用貧乏で超大器晩成な職なのだ。

 コツコツ型の俺は、延々とレベル上げ、熟練度上げ、転職を繰り返し、全ての職業を経験した。

 さらに少しでも有用と思える全てのスキルと魔法を熟練度MAXまで育て上げてから超越者に転職、その上で150までレベルを上げた。

 上げたんだよ。

 それがレベル1からって、あんまりだよ、この先が(いばら)すぎて涙が出てくらぃ。

 「ステータス」

 恥ずかしさもあって、ささやくようにつぶやいてみた。

 声に出すと、目の前に文字が浮かびだした。


氏 名:飯田 真一(48)

性 別:男

種 族:ヒューマン

職 業:超越者

レベル:1

経験値:0 次のレベルアップまで100

生命力:5 肉体的ダメージを受けると減る。0になると死ぬ

魔 力:5 魔法を使うと減る。0になると意識を失う

気 力:5 スキルを使うと減る。0になると意識を失う

筋 力:5 力の強さ。攻撃力などに関係

体 力:5 スタミナ。持久力などに関係

敏捷性:5 動きの素早さ

器用さ:5 手先の器用さやバランス感覚など

知 識:5 記憶力と知識量。魔法の発動や威力に関係

知 恵:5 頭の良さ。計算速度などに関係

魅 力:5 人を引き付けたり、友好に思われやすくなる

 魔法 :無し

 スキル:無し

 所持品:無し

 装 備:シャツ(服)・ズボン(服)・パンツ(服)・靴(服)肩掛けバッグ(袋)


 と、見えている。

 ステータスは「見習い」レベル1と同じ。

 武器無し。

 服も防具扱いではないようだ。

 麻(?)っぽい肌触りのクリーム色に近い簡素な服だ。

 初期装備と同じなのは肩掛けバッグだけ。

 せめて初期装備だったショートソードと補強付きの服程度は用意してくれよ・・・武器防具無しは不安すぎる。

 う~ん、これならむしろ、見習いからやり直させてくれた方がレベル早く上がってよかったのでは?とか思えてきちゃったぞ。

 超越者にクラスチェンジすると、当然レベルも能力値も激減する。

 なので、クラスチェンジする前に1レベルから使える中でも優秀な装備をガッチリ用意していた。

 大事に残しておいたのに、それもみんな無くなってるんだろうなぁ。

 まさか、スキルもすべて無くなってるなんてことないだろうな、レベル1ではスキルも魔法も使えない設定だから知りようがない。

不安だ。

何もない。

時間がたつごとに、ジワジワ不安と恐怖が大きくなってくる。

体が震えていることに気が付いた。

かなり寒いことに今まで気が付かなかったとは。

でも、震えは寒さのせいだけじゃない。

全くと言っていい程光が入らない闇の中、体を丸めてじっと朝が来るのを待った。

頼む、やはく朝になってくれ。


挿絵(By みてみん)

どれくらい時間がたったのか、ただただ長く寒い暗闇を震えながら耐えると、少しずつ周囲が明るくなり始めた。

周囲が見える、それだけで心の底からホッとする。

やっぱり森の中にいるようだ。

それも鬱蒼とした森の、かなり奥の方じゃないだろうか?どちらを向いても木しか見えない。

上を向くと、全く空が見えないほど枝と葉に覆いつくされている。

 (こりゃ、光が見えないわけだ。)

 これは困った。

 森の中にポツンと一人。

 悪魔に与えられた”この世界の常識”とやらを駆使してどうにかできないものか。

 そう思うも、そもそもこの世界の常識ってどの程度のものなのか?何も思いつかないところを見ると当てにならないかもしれない。

手近な木を見る。

うん、わからん。

 見たことあるような気もするけど、それは向こうの世界でのことだ。

まぁ、俺も向こうの世界で近所に生えてる木が何か?って聞かれたら答えられないものの方が多いけどさ。

  森でのサバイバル術は?

 う~ん、特に役立ちそうな考えは浮かばない。

 与えられた知識って、ほんとに役立たないのか?

 それとも、俺の知識が5しかないから有用な情報が思い出せないのか?

 両方って線もあるよな。

サバイバル術も、出てくるのは向こうの世界で聞きかじったものばかり。

 ん?火のおこしかたを思い出そうとして火打石の記憶が思い出せたな、これは植え付けられた知識かな?いや、分からんな、テレビで見たことあったかもしれんし。

途方に暮れてしまう。

 何をどうしたらよいのか、もらった知識が予想以上に役に立たない。

そう言えば、ゲームでは空腹とかって要素なかったけど、ひょっとして食事はしなくていいのかな・・・んなわけないか、やっぱり水と食べ物は手に入れなきゃだな。

MOD(改造プログラム)で職業“料理人”を追加して調理スキルを熟練MAXまで上げたけど、食事の効果はいろんなバフが付くってもので空腹値とかはシステムに無かったんだよな。

 そもそも、MODが有効とは限らないし。

 むしろ無効の可能性のが高いか・・・底意地悪そうなやつだったもんな。

 はぁ。

 他の人たちはどうなったんだろう。

 みんなこんな状況なのかな。それとも町とか城とか、好待遇でウハウハなやつとかもいるのかな。

 ・・・そんな奴いたら爆ぜろ。

 話のタネに買ったくそ高い自販機ラーメン食っとけばよかったなぁ、いつか作ろうと思って冷凍庫に入れっぱなしだったんだよなぁ。

 まぁ、本体(?)が食うだろうから無駄にはならないけど、なんかもったいない。

 現状の対策を考えるはずが、どんどん思考が逸れていく。

 良くないよね、こういうのって。

 とにかく動こう、と思い立ったのは、のどの渇きを感じてからだ。

 のどが渇くなら腹も減る。

 やっぱりゲームじゃないよな、あ、トイレ(大)はどうしよう。

 なんか、すぐ思考が逸れるなぁ。

 すぐ脱線するのは知恵が低いせいだ。

 きっとそうだ。

 そうだよね?

 自分をごまかしながら、とにかく歩く。

 一応まっすぐに、なんとなく目線の高さの枝を折りながら。

 目印としてだけど、これはどっちの知識だ?なんか混乱してくるので考えるのをやめた。

 一応食べられそうなものがないかも注意していく。

 ゲームでは採集可能なものは近づくと光ったりするんだけど、そんな気配は全くない。

 鑑定系のスキルはレベル2から解放するけど、できれば商人レベル30で覚える詳細鑑定を開放したい。

 最初に覚える“見立て”だと名称だけしか分からないし。

 レベル30かぁ。

 先が見えないよ。

 一応足元の草を採ってみたけど、雑草、としか記憶にない。

 役に立たない知識め。

 う~~ん、これ、ハードモードがすぎるぞ。

 捨てて再び歩く。

 所持できるアイテムは初期値で10枠。

 所持品のバックに入れられると思うけど、バックより大きいものはどうなるんだろう?まさか、リアルにバックに入るものだけってことないよな。

 装備した物は別枠だし、物によっては10個までスタック(1枠にまとめる)できるはずだけど、無駄なものを入れる余裕はない。

 最大20枠拡張できるバックパックや大きなものでも入る魔法のリュックが手に入らないかぎりは余裕を持たせておかないと。

 とにかく歩く。

 しだいに空腹を感じるようになって、なりふり構わずにいろいろなものを取って試していくようにした。

 どうやら、植え付けられた知識とやらは記憶の中に辞書のような形で入れられているらしい。

 ちょっと変わった形の草を採ったとき、ふと「ハカナ」という名前が浮かんだ。

 小さな蘭のような花を咲かせる草で、生育の良いものは町などで売られていることがある。

 ということを思い出した。

 実際に触れたり、あることについて考えたりすると辞書を引くように「思い出す」ようだ。

 あぁ、あの悪魔、たしか“常識くらいは”って言ってたな。

 森でのサバイバルは常識じゃないから与えられてないってことか?

 っていうか、よく考えたら常識ってなんだよ。

 貨幣基準とか、直接考えると思い出せる。

 その中には、危険なので森には入らない、どうしても入るときは戦える者が複数で、日中だけか慣れた護衛を雇うべき。

 夜を明かさなければならないなら、街道沿いに設備された小屋を利用すること、などなど、いろいろと思い出せた。

 いきなり夜、森の中に放り込まれる状況なんて常識ではありえないよね。

 だから知らないのか、“常識”じゃないから。

 いわゆる一般人としての常識ってことなのかな。

 くそ、きっちりと悪魔してやがるなぁ、いちいち底意地悪い。

 せめて冒険者とかの常識なら、ん?

 なんてこった、冒険者、存在しないんだ。

 まぁ、ラノベを読みながら当たり前の職業みたいに登場する”冒険者”ってなんだよ、って疑問は常にあったけどさ。

 当然ギルドも無いんだね。

 あ、勇者も魔王もいないや。

 あ~、マジで何のために呼び出されたんだよ。

 なんだかんだ言っても、魔王的な何かを討伐するとか、そんなイメージがチラついていたのに。

 とりあえずもう、そこらへんはもっとゆっくりできるようになってから考えよう、モチベーションが保てない。

 こぶし大の石やちょっとした枝などは、何かに使えるかもしれないのでスタックできる最大量まで確保する。

 安っぽい肩掛けバッグに入れると、ステータス画面の所持品欄にも表示された。

 どう見てもバッグに入りきらない量や長さでも、バッグの口から入れば一応入るようだ。

 1mほどの枝がすっぽり収まったのにはちょっと感動した。

 中を覗くと、ギチギチにつまった石と枝が見える。

 実際より小さく見えるな。

 確かゲームでも、初期バッグには鎧とか盾みたいな大きなものは入れられなかったよな。

 こんな所だけゲームと同じ仕様なのにドン引きだ。

 ちょっとホッとしたけど。

 歩きながら、実のようなものはすべて採ってみる。

 ほとんど“知らない”ものばかりだけど、とりあえず身に傷をつけて出た果汁を手の甲に付けてみる。

 確か、有毒かどうかを調べる方法、みたいな豆知識をラノベで呼んだ気がする。

 ラノベでってのがなんとも不安だけど。

 しばらくして何もなかったので、割って舐めてみた。

 激しく後悔した

 エグくてとても食べられそうにない。

 ますます焦って、手足り次第に試してみた。

 酸っぱかったり、渋かったり、たまに甘みを感じたり。

 ただ、どれもエグみが強くてとても食べられたものじゃなかった。

そこで思い出した。

非常に残念なことに、強いエグみはこの世界のあらゆる食べ物にあるらしい。

理由は“知らない”が、すべての食材に強いエグみがあり、この世界の料理はエグみを和らげることが最も重要らしいのだ。

 最初のひとなめで思い出してほしかった。

 まぁ、エグみを"美味しい"とする世界じゃなかったのはよかった。

 大量の水で煮込むと多少エグみが取れるらしく、この世界の食材はまず水で煮込むことから始まる。

 長時間煮込んで水気を切ったものか、さらにそれを干して乾燥させて初めて食材になる。

 ってことは、エグみの正体は灰汁(あく)の強化版みたいな感じなのかな?

 いかにエグみを和らげるかが料理人の腕の良し悪しになるらしい。

 エグみはあるけど何とか食べられる、味は二の次って料理ができるとプロ級らしい。

 それにかろうじて美味さを感じさせられるようになって名人級、エグみをかなり抑えた上で美味いと感じさせられると宮廷級と。

 エグみはどうやっても切り離せないらしい。

 宮廷級料理人の料理は、王族でもなければ生涯縁がない。

 一般人の食事は、基本我慢して呑み込んで腹を満たせれば良い、といったもの。

 それと、エグみをごまかすためにこの世界の料理はとにかく味が濃すぎるらしい。

食材も、同じ種類でもエグみが少ないほど価値が高く希少で高価。

 貴族でもなければ一生口にすることができないような超高級食材だとしても、かなり手をかけなければならないほどにエグみはしつこいようだ。

つまり、名も知れぬ、一口頬張るのに決死の覚悟が必要な実も、実はちゃんとした食べ物の可能性が高いってことだ。

あ~、この世界でやっていける気がしないんだが。

一応甘みを感じるものだけバッグに入れたけど、普通に時間経過で劣化して(腐って)しまうのでいつまでもつか・・・果物なら4~5日かなぁ。

キノコもそこかしこに見つかるけど、怖くて手が出せない。

 食用だと“知識”で分かったとしても、向こうで食用とよく似た毒キノコ食べて救急搬送とか、たまにニュースで見たし、やっぱり怖いよな。

後は水分だけど、幸いにもなんとなく引きちぎったツタからボタボタと水が出てきた。

 向こうで見たテレビ番組で、ジャングルでの水分補給に水を蓄える性質のあるツタかなんかを切って飲んでいた。

 たぶん同じような性質の植物なんだろうな。

一瞬、おなかを壊すかも、という疑念も浮かんだけど背に腹は代えられない。

 しっかり水分補給した。

遭難時で一番怖いのは腹下しだって聞いたことがあるような気もするけど、脱水で死ぬよりは長生きできそうな気もする。

 水分とらないと2日で死ぬとか聞いた気がするし。

 ツタの形はしっかり覚えておこう。

 のどが乾いたらとりあえず同じツタを探せるように。

 水が生命線だからね。

 この後、あたりが暗くなり始めるまで歩いたけど、森を出ることも、道らしき場所に出ることもできなかった。

 思っていたより歩けたけど、さすがに足が棒のようだ。

 小動物はいても、捕まえるどころか逃げる音でやっと気が付くのがせいぜいだった。

 ま、捕まえたからと言ってレベルが上がるほどの経験値にはなりそうにないし、解体するすべもない。自分にグロ耐性があるかも不明だしね。

 あ!

 ここで大変なことに気が付いた。

 火、どうしよう。

 “知識”の回答は、火打石を使う。

 無いわ!そんな文明の利器。

 なんか、“知識”なんておこがましいよな、ほとんど役に立ってないじゃないか。

 まぁ、危険な森に準備もせず一人なんて非常識だからだろうけどさ。

でも認めません。

お前は今から“常識”だ。“知識”に戻りたければ頑張りたまえ。

何を?とか聞こえてきそうだな。

はぁ、また無駄なこと考え出してる。

木の枝を手でくるくる回して板にこすりつける方法は、よほどの熟練者でもなければ何時間かけても火はつかない、って、テレビで見た。

 もちろんやったことは無い。

 紐で組み合わせて回転を上げる?紐がないし、そもそもどうやって紐を巻くのか知らない。

 服を裂いて紐を作る?こんな原始的な服、ひもにできるように引き裂く自信はないし、ちゃんと紐になるかも不安。下手すればビリビリバラバラにしかねないから却下。

 火打石を手に入れる?家にあるのが当たり前でどうやって手に入れるのか“知らない”。

 役立たず!

くそ、なんでレベル1でスキルも魔法も無いんだよ。

 魔法系だってあらかた取ってるんだからファイヤくらい使えたっていいじゃん!

なんてやってるうちに、あたりはどんどん暗くなっていく。

やばい!

とにかくレベル上げなきゃ。2になれば魔法が解禁される・・・あ!。

だめだ・・・レベル2で使える魔法は“ライト(明かり)”と“マジックミサイル(魔法の矢)”だ。火はつかない。

そもそも、ここに落とされてから魔物を見ていない。

 これでどうやってレベルアップしろと?

 スタート直後につんでるんですが?

クソゲーじゃねえか!

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