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本職は事務員

作者: ポメ柴

バナナを一本ほい、と渡されて「もしもし」と言われたら耳に当てて電話のフリをするのは嗜み。

お笑いや演劇が大好き。

機会があったらドラマのモブバイトもやってみたい、ちょい目立ちたがりな一人の女子事務員。

「エリーゼ!お前との婚約を破棄する!」


 ガン!と殴られたような衝撃を受けて若干よろける。

(ああ、とうとうこの時が来てしまいましたのね……)




 ん?……来てしまいましたのね?



 そんな言葉使いしとったかな?あれ?コントの最中か?


 ソローリと目線だけ動かして周りを見る。

 中世を舞台にした本格的なコントらしい。

 ドッキリか?カメラどこやろ?それか廃れたと思っとったフラッシュモブか?まぁエエわ。


 相手役全く知らんイケメ〜ンな金髪兄ちゃんで、左腕にドピンク頭のヅラ被った可愛らしい女の子へばりつかせとる。


 ドッキリなら知らんの当たり前やな。

 お!このシチュエーションはアレか!ネットの小説でぎょうさん見た悪役令嬢!

 そっかそっか。あれはドッキリのコントでやれるくらい浸透したんか〜。なるほどなるほど。あたしに破棄する言うとったからあたしが悪役令嬢の役なんやな。

 なら、ちぃと派手にいきましょか。



「破棄……ト、オッシャイマシタカ?」


 見たか!学芸会で担った『木その4』の実力!



「ああ、そうだ!お前には解消ではなく破棄が相応しい!」

「ナンデ デスノん」


 やば!「ですのん」言うてもた!



「トボけるのも白々しい。ならばお前の罪をここで皆に知らしめてやろう」


 おお、さすがやな!セリフ甘噛みしたのに笑わんし無かったことにしよった!



「ここにいるセリナの教科書を捨て、ノートを破り、制服を汚し、挙げ句の果てには階段から突き落として殺そうとした!そんな女に妃は務まらぬ!! よって貴様との婚約は破棄し、このセリナと婚約を結び直すのだ!」


 おー、噛まずに一息で言った。やっぱプロはすごいなぁ。



「オソレナガラ、ワタクシニハ 心アタリ ゴザイマセン」

「そんなぁ、ひどいですう!ちゃんと認めて謝ってくれたら許してあげようと思ってたのにぃ」


 そうそうコレコレ!コントは王道突っ走ってこそ!

 後は退場するのみ!やったるでぇ!



「婚約破棄ノ件、承リマシタ。 ほな、さいなら!」

 


 あー、帰ったらセリフの練習しよ。

 一度しゃがんでスカートの裾を膝の上まで持ち上げ、豪快にガニ股で走り出す。


「オーッホホホホホホ!ご機嫌よう!皆様!」





 後に残されたのは呆然としたパーティーの出席者たち。

 しばらくしてから我に帰り、動き出した。

「エリーゼを捕えよ!国外追放に処する!」


 命を受けて騎士が馬で公爵家に向かうもエリーゼは戻らず、そのまま行方不明になった。



 当のエリーゼはしばらく走った後、カメラもスタッフも見当たらない事に気づいた。

 あれ!?これってもしかしてマジもんやったんか!?



 後はコソコソ王宮のリネン室でドレスを脱ぎ、化粧を落としてメイドに扮し王宮を出た後、なんだかんだ仕事も見つけて無事に出国も出来ましたとさ。


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