私は彼が好きである。
「春にはじまる恋物語企画」に参加作品です。
恋愛ジャンル初執筆ですのでご了承を!(一一")。
私の名前は高村日和、15歳。
先週から最初の高校生活が始まった。
そして今日は、月曜日。
今私は、学校の前で一人、仁王立ちをして立っているところである。
その理由は簡単。
自分の下駄箱が分からないからだ。
「そ、そこのキミ! ずっとそんなところに突っ立って何をしている。早く中へ入りなさい」
「……何だ、先生か――じゃなくて、おはようございますっ! 桜山先生! あのぉ、一年三組の下駄箱の場所を忘れてしまったので、どこだか教えてくれませんかね!」
「ああ、それなら……――」
その期待は何だったんだろうか。
それ以前に、高校が始まって早々最悪だ。
まさか、自分の下駄箱の場所を忘れてしまった上に、先生に向かって変なことを言ってしまうとは……
やはり、慣れてない生活は大変だと思う。
――だから、しょうがないかな。
私は先生に教えられた位置に自分の靴をいれると、即座に内履きへと履き替えてその場から立ち去った。
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場所は教室へ。
まず私は、自分の席へと座った。
さっきの先生に、顔覚えられて無ければいいんだけど……
そう言えば私には入学して早々、好きな人が出来ていた。
先週、初対面で目が合った時に恋に落ちた。
今の場所的に言うと、私の席の右斜め前にその人はいる。
後ろの人にプリントを渡すときに、よく目が合う。
その人の名前はまだ曖昧だ。
だけど優しそうな目をしていて、実際初対面なのに話しかけてきてくれて嬉しかったのを覚えている。
私は他とは遠く離れた場所からこの高校に通っている。
だから、この高校には私の知り合いと言う知り合いが皆無と言っても過言ではない。
そんな私に話しかけてくれた彼は、闇に溶け込んでいた私を救ってくれた唯一の光である。
今後、この高校生活で数々の友達と話していくだろう。
その中の、彼が第一隊だ。
今はそんな彼のことが頭から一向に離れようとしない。
こんな短期間で恋に落ちることとはこのことである。
スポーツをやってそうな見た目をしている人だったが、実際の所はよく分からない。
まだ、情報不足である。
その人の事をよく知るためには――
こっちから話しかけるのが必須である。
私が立ち上がろうとしたその時、目の前には――私が先程心の中で語っていた彼がいた。
「そこ、俺の席なんですけど……」
「――あっ、え?!」
察した。
彼のことを意識しすぎて無意識に彼の席に座っていたとは想定外である。
引かれてなきゃ、いいんだけど。
チャンスはここしかないっ!
「ホ、ホントだっ。ゴメンっ!……それとさ、良かったら私とLINE繋がない?」
勇気を振り絞って、私はその言葉を口から発した。
私は彼が好きである。
今も、そしてこれからも。
――ここから始まる高校生活。