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皇国の守護者  作者: ひらさん
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第一話「日の本の国」

陸軍大臣「桜川将勝」と海軍大臣「神海忠勝」は来る第二次世界大戦のため、着々と動き出していた...

1936年帝都東京 御前会議

廣田総理「海軍はまだかね?」


廣田首相が言う。


桜川「まあ総理、気長に待ちましょう。神海大臣も相当な資料が大臣室においてありましたから。」


そうなだめる陸軍服を身にまとう男、『桜川将勝』陸軍大臣である。前陸軍大臣の汚職を告発したことで参謀長から大臣に就任した。相当な実力者として内外に知られており、その統率力は高い。


(扉が開き海軍制服の男が入ってくる)


神海「大変申し訳ございません。庶務に追われていましたゆえ、遅れてしまいました。」


慌てて入ってきた男は『神海忠勝』海軍大臣。陸軍出身でありながら海軍に転向し大臣にまで上り詰める天才である。陸軍時代は桜川と行動をともにしていた。


廣田「言い訳は後でいい、“陛下”もお待ちだ。さっさと着席しろ」


神海「はっ」


海軍制服の神海大臣は靴を揃え一礼して着席した。


挿絵(By みてみん)


緑:大東亜共栄圏 黒:中央同盟 青:連合国 灰:内戦中 白:陣営未加入


桜川「では早速私から、簡単に世界情勢についてご説明させていただきます。まずはヨーロッパから。ヨーロッパではドイツがドイツ帝国として頂点に君臨しており、ドイツ、オーストリア・ハンガリー、フランス北部、デンマーク、を領有し大清帝国、インドネシア、ヴィシーフランスを影響下においています。世界の超大国としてアメリカと肩を並べていますが、国内は疲弊し外敵が多く崩壊が近いでしょう。次にフランスです、本土の北部はドイツ軍政下であるため南部はヴィシーに首都を置くドイツの傀儡国であるヴィシー・フランスが統治しています。元々のフランス政府であるフランス共和国はアフリカの植民地に亡命し、自由フランスとして本土奪還を狙っています。イギリスは社会主義者、帝国主義者による内戦が勃発し、イギリス王室はカナダのニューイングランドに亡命中です。戦況は帝国優勢とのこと。イタリアとギリシャはソ連の庇護下に入り赤化しています。スペインはドイツに追従、ポルトガルは米国への追従を望んでいますがドイツが圧力をかけているようです。ソ連は順調に勢力を拡張し、その影響力は絶大です。がしかし、スターリンがキーロフとトゥハチェフスキーにより引き釣り降ろされ権力闘争の真っ最中です。ソ連は我が国の友好国奉天政府が国境を接している他、ドイツら中央同盟の加盟国と国境を接しています。そのため二正

面作戦となればソ連の敗北は必至と思われます。」


廣田総理「なるほど。アメリカはどうだ?」


神海「今日開票の大統領選挙があるアメリカは国内で分断が進んでいます。世界大戦に不参加であったためそれを機に国内の分裂が進み、今回悪化しています。」


廣田総理「我が亜細亜はどうだね。」


神海「我が国日本は現在軍備拡張に邁進中であります。周辺諸国とは徐々に友好関係を築いています。ドイツ植民地と国境を接していますが今の所大きな動きはありません。中国は分裂状態にあり、我が国と友好関係を持つ奉天政府、ドイツの傀儡である大清帝国、ソ連の衛星国の中国共産党を筆頭に内戦中です。インドは自由インド、英領インド帝国、藩王国で内戦を行っています。」


廣田総理「欧州と亜細亜が混乱を極めているな...我が国が権益確保を狙えそうな地域はあるか?」


桜川「やはり中国です。奉天政府を支援し、中国統一戦争に武力介入することが望ましいです。奉天政府はドイツ傀儡の大清帝国に苦戦しており、政府並びに現地国民は歓迎するでしょう。インドにも介入はできそうですが、英軍も参加しているため介入すれば英国から批判は受けるものと思います。自由インドは比較的我が国に対して友好的ですので、自由インドに武器提供などを行うことが得策でしょう。」


廣田総理「インドの件は了解した。そちらは武器支援等行っておいてくれ。中国の方は介入に十分な戦力は揃っているのか?」


神海「海軍は問題ありません。」


桜川「陸軍は数十師団新設を予定していますが短期間での設立が可能なため問題はありません。航空戦力は零戦を派遣します。作戦によっては海軍と共闘することが必要になるものと考えます。」


廣田総理「よろしい。」


桜川「今後も内戦や未加入国の陣営加入によって情勢が大きく変化する可能性があります。そして今回の戦争は二度目の世界大戦、『第二次世界大戦』を引き起こす可能性があり、我が国が勝利を確保するためにも陸海軍の協力体制の樹立と統合参謀本部の設置を提言させていただきます」


廣田総理「陸海軍の実質的統合か?簡単に行くとは思えんが」


桜川「すでに両軍の要人には話をつけております」


廣田総理「了解した。責任は君たちにとってもらおうか。作戦立案に取り掛かりたまえ」


桜川・神海「はっ。必ずや陛下に勝利を献上し、皇国に尽くさせていただきます。」


陸軍省大臣執務室


桜川「全く、御前会議は苦手だな...なんであんなに堅苦しいのやら」


桜川がため息交じりに言う


神海「まあそう言うなよ。」


神海が苦笑しながら続いて部屋に入る


(コンコン)


桜川「入れ。」


山下「失礼いたします。お久しぶりです大臣」


山下奉文、現在は統合参謀本部参謀長を務める。史実ではマレーの虎と呼ばれる猛将。


桜川「おお、山下君!君が今日から参謀長になったのか」


山下「はい。神海大臣もお元気そうで何よりです」


神海「おお山下、久しいな」


三人が談笑していると執務室の時計が正午の知らせの鐘を鳴らした


『帝都ラジオ、昭和11年7月10日正午のニュースです。』


桜川「もう夏だな。神海、また今年も良い西瓜が届いたんだ。山下もどうだ?」


神海「おっ、いいな。いつもすまんな」


山下「ありがとうございます。楽しみです」


桜川「いいってことさ。麦茶も送るよ」


『・・・アメリカ合衆国大統領選挙の結果のお知らせです。現職のフランクリン・ルーズベルト大統領が勝利しました。』


次回 眠れる巨人

お読みいただきありがとうございました!

Thank you for reading!

※実在する(した)国家、人物、団体とは全く関係ありません

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