「うほおおん?! い、いきましゅ! でましゅうぅ!! ミルク! ミルクくだしゃいいいいい! おっ?! でてりゅううう! ミルクが混ざったこーひーがでてりゅううう!!」
NHKでアニメ化希望!
俺の名前は古賀友也。趣味は落語と歴史。平和と平穏を愛する何の変哲も無い17歳だ。
――だが。しいて言うなら1つ。特殊な能力がある。
それは『エクスマキナズハート』と言う異能の力だ。
「ねぇ、友也! 聴いているの?」
俺の名を呼ぶコイツは『朝比奈夜美』俺の幼馴染だ。
学校でも有名な可愛くて優しい美少女で、家が隣だから今日も一緒に登校していのだが……。
「ああ。聴いているよ。今日クラスに転校生が来るんだろ?」
「そう! 何でも外国の女の子らしいよ?」
「へー。これまた遠い所から……」
「あぁー! 鼻の下伸ばしているでしょ?! もう! すぐ女の子に手を出すんだから!」
頬を膨らませ夜美は怒る。俺が「手を出した覚えは無い」と呟くと怒りに拍車がかかり、もう手に負えない。やかましい女だ。
『おっ! また痴話喧嘩しているぞ!』
『友也と夜美ちゃんはお似合いの夫婦だな!』
今度はクラスメイトの野次馬が茶化してきた。まったく、飽きない奴等だ。朝から勘弁してくれよ。あぁ。何だか朝から疲れた。そうだ、自販機でコーヒーでも買って一服してから行こう。いまだ覚醒しない脳味噌を覚ますには丁度いいだろう。
「夜美。ちょっと自販機で飲み物買って来る。先に行ってくれ」
「また煙草でしょ?! 駄目だよ未成年なんだから!!」
「すぐ済む。じゃあまた後でな」
「あっ! もう! 友也の不良!」
呆れた声をあげる夜美を背に俺は駆け足で裏路地に入り込む。無論、俺は煙草など吸わないが彼女や他の人に俺の『エクスマキナズハート』を見られる訳には行かない。
この能力は危険だ。もし誰かに知られたらそいつを殺さなくてはいけない程に……。
「ふ。何てな……。さて。どれにしようか。おすすめを教えてくれないか?」
『ピッ。ガガー! おはようございます友也様。おすすめは昨日入荷したダックスコーヒーミルクです』
頭の中に声が響く。そう。これは自販機の声。俺には機械の声が聴こえる。それが能力だ。
『120円です!』
「はいよ。ホットで頼むぜ?」
しかも、操る事も出来る。誰かが聴いたら地味だと思うだろうが、この機械時代。その気になれば国を滅ぼす事が出来る。ミサイルや核兵器、PCや携帯だって操れるのだから……。
しかし。欠点もある。機械とのシンクロ率が高まるにつれて起きる脳のバグがもたらす現象。つまりは――
「貴方……。能力者ね?」
――な、何?! しまった!? 見られてしまったか。それに能力者だと? こいつ何者だ?!
「全く。転校初日に会える何てついているわね。――来なさい。世界を救うには貴方の力が必要なの。もし拒むのなら……」
――不味い! 今は不味い! 俺の能力は止められないぃ!
「うほおおん?! い、いきましゅ! でましゅうぅ!! ミルク! ミルクくだしゃいいいいい! おっ?! でてりゅううう! ミルクが混ざったこーひーがでてりゅううう!!」
バグると機械の感情が頭を駆け巡り思っても無い事を叫んでしまうのだ。
――やれやれ。とんだ一日が始まりそうだ。
完結です。
今まで応援してくれた方々、本当にありがとうございました。