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Seasons In The Abyss   作者: oga
34/34

第34話 Blue


「 我々は民間だ そう警戒するな 宮内庁外部部局雑務処理係と公安警察特殊事例対策班か 厄介な組み合わせだな 訳わからんぞ 特に特事班の方は現在 警察に指名手配中じゃないか 」

 僕たちに詰問している女性は青狛蒼(あおこまあおい)と名乗った。青狛は3年前の新帝国事変ではホーネット西部地区総隊長として瀬戸内海戦の指揮を執った人物で川上瑠衣の元上官でもあるらしい。

「 アオ隊長 それが色々と止むに止まれぬ事情がありまして 」

「 貴様等は事情で動いていいような機関では無いものと心得ていたのだが違うのか 」

「 うわっ そんなド直球投げ込まないでくださいよ 相変わらず容赦無いなぁ 」

「 ルイ 少し黙ってろ 私は御国部局長と真桑班長に聴取しているんだ また懲罰房にブチ込むぞ 」

「 げっ…… 」

「 青狛さん 私たちは今 非常に微妙な立ち位置にいる このままでは存在自体が無かったことにされるだろう まあそれは最初から承知なのだが だからと言ってハイそうですかともいかんのです 」

「 甘ちゃんだな 元自衛官と聞いてたんだが 御国部局長 軍人としては30点だな 」

「 もう軍人では無いもんで 」

 今現在、僕たちは都内のホーネット医薬研の本社ビルに拘留されて青狛から聴取を受けているのだ。ホーネット医薬研は本来 医療企業ではあるのだが先の新帝国事変の際は民間反政府組織あらがいの団ホーネットの母体となった企業でもある。事変後の国内の不安定な時期には新政府に協力する形で民間の特殊部隊として存続しているのだ。

「 それで鎌池を追っていたらガーディアンズに遭遇したということか 」

「 まあそんなとこです 」

「 しかしあの鎌池が生きていたとはな 」

「 青狛さんは鎌池を知っているのですか 」

「 鎌池を追っていたんなら施設の事はもう知っているのだろう 私もあの施設の出身者なのだよ もちろん私はまだ幼かったから鎌池の顔などほとんど覚えてないがな 先日 ツクと三刀さんに頼まれ貴様等のとこに出向いたサイキッカーは私の腹違いの弟だ ホーネットの人間だぞ 」

「 そりゃ礼を言わねぇとな あんがとよ で 隊長さん 俺らどうするつもりだ 」

「 どうもこうもない 真桑班長 言ったはずだぞ 我々は民間だ 政府のゴタゴタに首を突っ込むほどマヌケではない 鎌池が何を言ったか知らんが岬様もそんなヤツの事を今更構う気など無い ただ あの場所を穢すな 彼処は私らの仲間の魂がある場所だ 彼処を穢す者は政府だろうが鎌池だろうがガーディアンズだろうが殲滅する 」

「 あの場所をゴースト化して管理してるのはホーネットだったんすね なら国から払下げて私有地化して立ち入れないようにすればいいのに 」

「 彼処を訪れるのは私たちだけでは無いんでな 今のままでいいんだ 」

「 他にも初代あらがいの団の生き残りがいるってことですか 例えば瑞浪空とか 」

「 ルイ 下手な詮索はするな 空は死んでる それは事実だ 貴様のその感の鋭さはいつか命取りになるぞ 気を付けろと言っただろう 」

「 むぅっ 怒られた アオ隊長は手 貸してくれないんですか 相手はガーディアンズのバケモノサイキッカーと朝廷の闇の呪術師なんすよ 」

「 手は貸してやっただろう そこのイケメン君の洗脳を解くのにな あとは知らん 貴様らには貴様らの特別顧問がいるだろ 国神を頼れ国神を 何の為の顧問だ 役に立たんのならさっさと殺してしまえ 」

「 宮を管理してるのは宮内庁なんすよ 私らはあくまで外部なんすから 本末転倒ですよ 」

「 貴様らが勝手に動いてること自体本末転倒だろう 明らかな人選ミスだ 」

「 アオ隊長は国がどうなってもいいんすか 」

「 どうかなったら その時はまた岬様が叩き潰すだけだ 一向に構わん 」

「 うわっ アオ隊長が言うと洒落になんないからなぁ 」

「 まあ武器くらいは調達してやる その時はツクか三刀さんに言え それから御国部局長 例の深雪の死体はどうなった 」

「 どうしてその話が あれは私も探ってはいるんだがどうもガードが固くてわからんのです 」

「 これは私と岬様だけが知ってる情報だが教えてやる 神である深雪は3年前に既に死んでいる あれはハナから死体だ その死体を動かしているヤツがいる しかも神の死体をな ネクロマンサーとかいうヤツだ そして深雪の死体を3年前から捜してる災厄の男がいる この男が話に絡むとロクな事にならん しっちゃかめっちゃかだ 国神の作戦が派手に失敗したのもこの男の所為だ 今 現れんのはどうせまた脱線しまくってるんだろう 前回は北極まで行ったらしいからな 今は月面にでもいるのかもしれん とにかくこの男が現れる前に全て解決しろ さもなくば3年前の二の舞いだぞ 」

「 いやいや そんなこと突然言われても困りますよ 解決どころか糸口すら見えない状況なんだから 」

「 あのぅ ちょっといいですか 」

「 どうしたイケメン君 」

「 青狛さんも施設出身なら超能力者なんですか 」

「 さあな 私の場合 特に特殊な能力は有しておらんよ ただ無意識下で何らかの影響があるのではと言う人もいる ちなみに対人戦で負けた事は無い 熊くらいならソバット一発だ 」

「 アオ隊長 それって既に人外っすよ 」

「 いやルイ 鍛えれば熊くらい普通イケるだろ 」

「 隊長 ちっこいじゃないっすか 普通鍛えても熊はムリっすよ 」

「 ……それで 僕 自分の能力がよくわからなくって どう使えばいいのか どう制御すればいいのか 」

「 鎌池に教わらなかったのか 」

「 洗脳されてましたし 僕の場合 その洗脳がなかなか上手くいかないらしくて 鎌池先生も手を焼いてたみたいです それで この前洗脳を解いてもらったレッドさんにもう一度会えませんか あの時はお礼すら出来ずに 青狛さんの弟さんなんですよね 聞きたい事がたくさんあるんです 」

「 アカか 」

「 えっ レッドってアカ様のことなんすか アカ様ってアオ隊長の弟なんですか 」

「 何だルイ 知らなかったのか 」

「 初耳です だって名前違うし 」

「 腹違いと言っただろ わかった アカには伝えといてやる 」

「 ありがとうございます 」

「 御国部局長 真桑班長 今回の件は無かった事にはするが 私らも一応国の一部だ 重々注意してくれたまえ 」

「 感謝する 」

「 あんがとよ 隊長さん 」




「 ルイが居てくれて助かったぞ 」

 ホーネットから解放されて移動中の車の中でようやくひと息付き御国が口を開く。

「 えへん もっと褒め称えなさい 」

「 調子に乗るな 」

「 トワ君はいつものことだけどイチミンも一言も喋んなかったよね 」

「 いつものことって あの状況で僕が話す方が不自然だよ ルイだって黙ってろって怒られてたじゃん 」

「 俺は緊張してただけだ 噂には聞いてたが実物の英雄青狛蒼があんなに小さくて可愛くて美人なのは想定外だ 」

「 ちょっとイチミン アオ隊長は私だけの隊長なんだかんね 」

「 それより真桑と五月雨はどうしてあの場所がわかった 」

「 はっ 今更かよ おまえらにわかることだ ウチのクリスをナメるなよ 遅れをとったのは……あれだ 五月雨の寝坊が原因だ 」

「 はぁぁッ 隊長が道間違ったのが原因でしょ この人最低だ 」

「 それより おまえら何抜け駆けしてんだよ 」

「 それはお互い様だろ おまえらだってこっちに知らせてないじゃないか 」

「 まぁまぁ 喧嘩しないでくださいよ 誰も死ななかったんだから シズク君来なかったら確実に私ら全滅してましたよ 」

「 僕たちだけでもあれはムリ ワンターンキルされちゃうだけだよ 隊長 ヤツの事知ってるんでしょ 」

「 さぁな 昔過ぎて忘れたよ 」

「 マイナスセルシウス 氷剣の六華 氷のガーディアンズ 触れるものすべてを凍結させる 」

「 斑咲 おまえが何で知ってんだ 」

「 前に三刀さんと海乃さんから聞きました 真桑隊長との経緯も 」

「 ちッ 余計な事を 」

「 俺も知ってたから真桑隊長があの場でヤツをすんなり行かせたのは意外だったぜ 刺し違えるんじゃないかってヒヤヒヤしてたんだぜ 」

「 そんなバカするか曳井 単なる自殺じゃねぇかよ 」

「 話したくはないだろうが知ってることは聞かせてもらうぞ 真桑 」

「 メンドくせぇなぁ……


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