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Seasons In The Abyss   作者: oga
20/34

第20話 余波


「 三刀さんから聞いた話とほぼ一致しますね 」

「 だな 話の内容は三刀小夜の方が要領を得てたがな 真桑隊長の機動隊時代の話も聞けたしな 」

 僕の言葉に曳井一見が続ける。

「 なっ あのなぁ おまえらがごちゃごちゃ言うから 人がどれだけ苦労してこの話を掻き集めたと思ってんだ 」

 そう言う御国の話した話とは先日 三刀小夜から聞けたガーディアンズなる組織と公安の関係の話と概ね同じ内容のものだった。

「 まあまあ 部局長の無駄な労力は認めますから でも ガーディアンズって元々はウチの龍の巫女様が戦後立ち上げた組織ですよねえ 」

 川上瑠衣が御国を宥めながら話を続けさせる。

星宿零(ほとおりぼしれい)が創ったのは戦後復興期の新宿の単なる自警団だ それがいつしかこの国の裏側のシステムとして組み込まれた 言い方は悪いが悪を取り締まるには更なる悪が必要だったんだよ 組織化されてからは彼女は一歩退いていたはずだ そして自ら終止符を打った 渋谷大火炎だ あの夜 戦後からこの国の裏側に蠢き続けたガーディアンズは解体された 今のガーディアンズはその生き残りにより再編された別組織だ 」

「 超能力集団というのは本当なんですか 」

「 実働部隊はそうらしい 国神から聞いた話だと生い立ちは大戦時まで遡り第0機密兵隊という零を中心とした特殊能力者による部隊だったらしい そのメンバーが戦後 零の下に集まり自警団を結成した 」

「 現在はどの程度の規模の組織なんです 」

「 公安もその辺は把握出来てないらしい ただ 組織としての統制はあまり取れてなく好き勝手やってるヤツらもいるようだ 」

「 そっちのが厄介ですね 」

「 犯罪者としては厄介だが 犯罪組織としてはどうなのかな 1人ずつ狩っていけばいいんだからな 」

「 そうか それで政府がガーディアンズを引き込んで超能力者による部隊を新設するって話はどうなんです にわかには信じられないんすけど 」

「 それがな その話 どうやら宮内庁も絡んでいるらしいんだ 」

 御国と瑠衣のやりとりを黙って聞いていたんだが、なんか話の雲行きが怪しくなってきた。

「 たんまたんま 部局長 それ本当の話なんです 」

「 ああイチミン ただ超能力者云々は分からん しかし公安に取って代わる部署を新設する動きがあるのは事実だ 部署ではなく部隊だな 公安の前身の特高警察のような部隊だ 国家枢機部隊と言うらしい 」

 ちょっと待ってくれ、それは僕が六礼参事官から告げられた部隊名ではないか、今現在、僕が本当に所属しているのは宮内庁第一枢機部隊だと六礼は言ったのだ。完全に話が他人事では無くなってきたようだ。

「 それに宮内庁も関与してるのですか 」

 おそるおそる御国に聞く。

「 正確には宮内庁ではなく宮内庁の一部の人間だな 」

「 誰なのです 」

「 そこまではさすがに分からん 突っ込んで調べれば分かるだろうがこちらも調べてる事がバレてしまうからな それは流石にマズいだろ だが これと例の間宮降ろしは繋がった話だ どうやら国のシステム自体を作り変える腹らしい 事変後とはいえこの国は平和ボケの期間が長過ぎた 強攻策が必要と判断する派閥が生まれても何ら不思議ではない 」

「 他所の内輪揉めの話じゃなくなっちゃってますよ どうすんです部局長 」

「 ルイ 前にも言っただろ ウチは上の指示に従うしかない 独立した機関じゃないんだ 従わなければ不要な人間として処分されるだけだ 」

「 その 上がハッキリしないじゃないですか 総理なのか宮内庁の誰かなのかそれよりも上なのか だいたいウチらは誰の命令で動いてるんす 政府が上手く機能していれば別に問題ないかもですけど ゴタゴタしだしたら上からの命令って言われても ハイそうですかとはいきません 」

「 だから それは各自で判断しろと言っただろ 」

「 そんなのズルいです 」

「 ズルくても仕方ないんだ それが組織に属する人間なんだからな ルイはいざとなったらホーネットに戻れ 道筋は付けてやる 」

「 うわっ 除け者だ 」

「 メンドくさいヤツだなあ だいたい帰りたがってただろう とにかく 今は特にウチに火の粉は降り掛かってない 知らん振りしてるしかないだろ この話はここまでだ ルイ 斑咲 午後から事後報告書を真桑に届けてくれ 」

「 へいへい ついでに探り入れて来いってことですね 」

「 俺は特に何も言ってないぞ 好きにしろ 」


 御国の指示通りに瑠衣と共に午後から警視庁に書類を届けに行くこととなった。真桑の率いるハム特は地下7階に置かれていた、そもそも警視庁舎に地下7階もあるなんて知らなかったし我々外Qと違い警視庁内に部署が置かれているのも少し意外だった。僕たちとは違い秘密裏の部署という訳では無いようだ。


「 わざわざこんなブタ小屋まで降りて来なくても上の受付に預ければよかったのに 」

 相変わらずキリリとした姿勢で前園クリステンが書類を受け取る。室内は恐らくこのクリステンが目を光らせているんだろうか、極端に整理整頓が徹底されてある。

「 クリスさん ゲンさんと真桑隊長は 」

「 ゲンさんはここに居ること自体レアよ 隊長は奥の班長室でダラダラしてるわ 何 ルイさん隊長に用があるの 」

「 用は別に無いんだけど 少しお話しを とか なんとか ね トワ君 」

「 あっ うん そんな感じです 」

「 2人とも煮え切らないわねぇ 五月雨君の事でしょ 別に警戒しなくていいわよ 私は監視役って訳じゃないから 上からはそう言われてるけど ここに来た時点でキャリアは諦めたわ 隊長に関わった時点で運の尽きよ あなた達も注意しなさい ヤツに関わるとろくな事無いわよ 」

 そう言って班長室に案内してくれた。僕も瑠衣もこのクリステンの立ち位置が今一つ分からずに緊張気味だったんだがそこまで警戒する必要もなさそうだ。


「 おまえらか 何しに来た 」

「 事後報告書を持って来ました 」

「 そんなもん受付に渡しゃ済むだろ 」

「 シズクさんの事も聞きたいと思いまして 」

「 斑咲 だったな 言っただろ 余計な口出しはするなと 」

「 そういう訳にはいきません 三刀さんに協力してもらう提案をしたのは僕なんです 」

「 あっ トワ君ズルい 私もです 真桑隊長 」

「 おまえらなあ 例えそうでも実行したのは五月雨本人の意思だ 2度とその事は口にするな それにアイツが女神を逃亡させた事はそんなに問題じゃない 独房で頭冷やさせた後は精々謹慎と減俸処分くらいだ 問題なのはアイツの能力の方だ だからおまえらには関係ない事だ 」

「 洗脳されるとは本当なんですか 」

「 ちッ ゲンさんだな 余計なことを おまえらでも公安内部に首突っ込んだら流石にマズいだろ 御国に絞められるぞ 」

「 部局長からは好きにして良いと許可は出てます 」

 瑠衣が平然と言ってのける、あれは許可とは違うように思えるんだが。

「 アイツ 意外に甘チャンだな 足元すくわれるぞ だがどうにしろ相手が分からん以上打つ手が無い 打つ手が無い以上おまえらの出る幕は無い さっさと帰れ 」

「 ところがそうでもないんです 宮内庁もゴタゴタしてまして それが公安の件に無関係じゃないっぽいんです 」

「 どう無関係じゃないんだ 」

「 政府再編 しかもかなり大掛かりな その一つが公安警察の解体及び国家枢機部隊の設立 ガーディアンズを組み込んでのね 」

「 おいおい 川上 そんな訳の分からん話俺に聞かせるなよ 俺は公安なんて別にどうなったっていいんだからな 」

「 でも真桑隊長は誰かの特命で動いてるんでしょ 」

「 あのなあ 世の中には知らない方がいい事があるんだ もし仮に俺に特命が掛かっていたとしてもそれは貴様らは知らない方がいい事だろ 組織に居るならそれくらい分かるだろうよ 」

「 そりゃそうですけど だから外Qを利用しませんかっつう提案ですよ 利用されただけなら最悪利用した真桑隊長が責任を取れば済む話ですし 」

「 可愛い顔しておっかないこと言うなよ嬢ちゃん そん時はおまえらのボスの御国の首も飛ぶんだぞ 」

「 ボスの首で済めば安いもんですよ 国家枢機部隊なんて立ち上がったら私ら全員お払い箱で口封じに処分されちゃうかもなんすよ ここはお互い利用し合いませんか 」

 瑠衣の言っていることが的外れでないのは僕が一番よく知っている、六礼は外部部局をメンバーごと処分するつもりなのだ、そして それこそが僕に課せられた真の任務なのである。

「 ちっ 分かったよ 情報は共有してやる 今日はもう帰れ 長居すると疑われる ここは敵の本拠地なんだからにゃ 」

「 あっ 」

「 …… 」

「 ……い いいからサッサと帰れよ 噛んだことクリスにチクんなよ 」


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