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俺の幼馴染は理想とは程遠い。  作者: 黒白(こくびゃく)
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【プロローグ編】



『幼馴染』。──それは誰もが1度は憧れる存在であり、アニメ・ラノベ・漫画にも必ずと言っていいほど重要な位置で登場する人物だ。


お節介で、世話焼きで、でもどこか可愛くて、ほっとけなくて、いつまでも隣にいて欲しいような存在。


幼馴染が身近にいない者達は皆、口を揃えて羨ましいと言い、身近にいる人は「その気持ちは理解できない。」等と言いつつも内心はとても優越感に浸っているものだ。


しかし。俺はそんな奴らとは違う。


俺は幼馴染(あいつ)は欲しくも何ともなかった。


俺は自分の部屋のベランダに出て、空を見上げながら思い出す。


遡ること14年ほど前。クソ暑い真夏日だった。


当時3歳だった俺の前に現れたのは、隣に引っ越してきたという挨拶を母親としにきた可愛い女の子だった。


目鼻立ちは整っていて、黒髪ロングで白いワンピースを着ており、麦わら帽子を被っていた。


彼女は恥ずかしさからか自分の母親の後に隠れ、何も興味を示さなかった俺に向かってこう言ったのだった。


「…な、夏海(なつみ)…です。よろしくね、秋也(しゅうや)君。」


彼女は誰から聞いたのか俺の名前を口に出してそう言った。彼女は微笑んでいた。


その瞬間に胸の中から熱い何かが込み上げてきた感覚を今でも覚えている。あれが恐らく、初恋だったのだろう。


その日以降、彼女は毎日のように俺を遊びに誘いに来た。


小さい頃は決まって近くの公園で2人で遊んでいた。俺が手を引くと麦わら帽子を被り直し、一緒になって走っていった。


小学校に入学し、一緒に登校するようになると、当然、周りから冷やかしも受けた。しかし、そんな事全く気にもせずにずっと2人で一緒にいると、その冷かしも次第に無くなっていった。


家族ぐるみで仲も良かったので夏休みは毎年、キャンプや旅行に行った。そんな事もあってかいつしか彼女の事を『幼馴染』ではなく『家族』の一員だと思い始めた。


いつまでもこんな関係が続けば。俺はそう願っていた。


しかし、その頃からを境に夏海が変わり始めた。


俺と仲良くする友人に対して排除し始めた。


具体的には俺との関わりを無くすために、俺を友人達から遠ざけたのだった。


それに気づいた頃にはもう手遅れで、周りには俺の友人と呼べる人はおらず、たった1人だけ夏海がいつもそばにいた。


初めてその事を知った日、俺は泣いた。誰もいなくなった放課後、教室の隅で1人で泣いていた。


すると、ドアが開く音が聞こえた。それと同時に俺を誰かが抱きしめてこう言った。


「大丈夫。誰もいなくても私がいればもう十分。私がたくさんたくさん愛してあげる。」


夏海の声だった。


顔を上げると、夏海は、初めて出会ったあの日のように優しく微笑んでいた。


しかし、目があの頃と違っていた。






最後に友人とまともに会話したのはいつだったろうか。


確か、俺を友人達から遠ざけていると教えてくれた子だったかな。


あれは小学校高学年の時か。それ以来は夏海と家族としか会話してないな。


中学も高校も夏海と同じ。朝起きてから夜寝るまで一緒だ。


まぁ夜は電話で話しているだけだが、隣にいるような気がしてしまう。


だからずっと一緒なのだ。ずっと。ずっと。






あの日、夏海が俺に言った言葉が今でも耳に残っている。


それは嬉しかったとか、安心したとかじゃない。


ただ夏海の声が。顔が。全てが。不気味に思えて仕方なかったからだ。


夏海を何が変えてしまったのかは分からない。ただ…。


ただ考えない日は無いのだ。


もし夏海の異変がもう少し早く分かっていたら?


もし夏海が友人達から俺を遠ざけているのに早く気づけていたら?


もしも……そもそもあいつと出会っていなければ?


夏海と初めて出会ったあのクソ暑い真夏日が近づいている。


この頃になると俺はいつもこの事を思い出してしまう。


俺は自分の部屋の中に戻り、椅子に腰掛け、机に置いてあったジュースを1口飲んだ。


そして、ふぅ。とため息をついて呟いた。


「やっぱり。幼馴染(あいつ)なんて……クソッタレだ。」


よく想像する幼馴染なんて理想でしかない。


理想なんてものは存在しない。それが現実だ。


はぁ。ともう一度ため息をついてカレンダーを見る。


明後日から夏休みが始まる。友達なんていない俺には特別嬉しいというような感情はない。


毎年のように過ごすだけだろう。


「…寝るか。」


天気が心地よかったのもあり眠気を感じ、俺は昼寝をする事にした。


そして俺はすぐに深い眠りに落ちた。











「……あら。寝ちゃったか。お昼寝なんて珍しいなぁ。」




「いや…ジュースの中にお薬入れておいたからかな?まぁどっちでもいいや。」





「もうすぐで夏休みか……。今年の夏休みもずっと私と居ようね。秋也君。」





「あ、でも今年は()()()()()()違うね。」




「フフフ…楽しみだなぁ。」










初めまして!黒白(こくびゃく)です。

今回は(個人的な趣味のもと)、メインヒロインはヤンデレっぽい感じにしました!

あえて、友達を遠ざけ自分に依存させるといった感じですかね。

これからも色々ヒロイン枠を登場させていく予定です!

ご意見、感想お待ちしております!

それでは次回まで、しばらくのおわかれです!ではではー

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