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レコードキューブ47  作者: TKCパート2
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転生編

転生神との出会い。

第2話

神?


俺は不思議な場所にいた。


その場所には色がなく、音も聞こえない。あるのは地面を覆っている霧の様な物だけ。そんな空間に俺は一本の樹の如くぽつんと立っている。


見たこともない場所だが、何故か懐かしいような、心が落ち着くような不思議な感覚だ。


と、その時、俺は10メートル程先に人が1人立っているのを見つけた。さっきまでは誰も居なかったのに。途端、背筋に冷たい者が走るが、必死でこらえる。


見渡す限り、俺以外には前にいる青年しか人がいない様だ。ならばここがどこか、聞けば分かるかもしれない。


そう判断した俺は、その青年に歩みよった。歳は同じくらいだろうか。身長もさほど変わらない。

そんなことを考えながら青年に声をかけようとした途端、その青年がくるりと振り返った。


その顔には見覚えがあった。


いや、いつも見ている。朝の洗顔の時に。


そう、俺が観ていたのは俺だったのだ。


俺は声が出ず、唖然としていると、もう1人の俺が逆に声を掛けてきた。


「ようやく目覚めたか。ようこそ、転生の間へ。

永谷崇史君。」


俺は、更に唖然とした。一瞬鏡をみているのかと思ったが、それは直ぐに打ち消された。もう1人の俺が喋ったのだ。それに…今コイツ転生のナントカって言ったような…


「俺は…死んだのか?」


俺は必至に恐怖を押し殺し、それだけ言葉を紡いだ。するともう1人の俺は口元に笑みを浮かべながら返事をしてきた。


「おー、いきなり喋れるのか。普通はもっとガッ

クガクに震えてなだめるのが大変なのに…。め

ずらしい個体だな。そうだ、その通り、お前は

死んだ。出血多量でな。今頃お前の身体は棺の

中だとおもうぜ。」


妙に明るい者言いに、だんだん恐怖が晴れてきた。個体トカナントカ失礼なワードが聞こえた気がするが…悪い奴ではないらしい。


俺は質問してみることにした。情報は大事!mmorpgで学んだ俺の人生教訓の1つ。カードは出来る限り、多く持っていたい。


「アンタ…誰だ?」


「俺か?…俺はうーん…お前らの概念だと神って

のが一番近いな。そうだ、俺は神だ。ここで死

んだ魂の転生やってる。お前もこれから転生予

定だ。どこ行きたい?言ってみろ。」


「それは…行きたい世界に行けるという?」


「まあ…そうだ。ここは前世の教訓生かして次の

世界を選ぶ場所だからな。特に希望がないなら

元の世界にぶち込むが…良いか?」


俺の頭はオーバーヒート寸前だった。コイツは今、行きたい世界に転生させてくれると言った。

ならば…こんな現実にオサラバして…


「おーい、おい。どうした?ラグか?」


「お前!良いやつ!俺!お前の事忘れない!

レコードキューブ47の世界にいっちょよろ

しくお願いします!!!!」


俺はそういうと、神の手を強く、それは強く握りしめた。対する神は「お…おぅ…」と若干弱々しい声を出した。語尾が引き気味だったのは気のせいだろうか…。


「わ、分かった。やってやるからそこに立て。記

憶消して、直ぐ転生だ。他の個体の導きもある

んだから早くしろ。…………ん?どうした?」



俺は、愕然とした。今コイツは記憶の削除をすると言った。つまり…嫌な思い出だけじゃなく…消えるのは…あの子への想いも消えてしまうという事だ。今まで俺を支え続けてくれたあの子。どんな時でもあの笑顔があったから頑張れた。だから

、俺はここで引く訳にはいかなかった。


「あのー、記憶の削除…パス出来ませんかね?」


「ん?どうしてだ?」


「俺、日本にいる時、毎日毎日退屈で、生きる理

由がわからなくて…。毎日、涙を流さず泣いて

たんですよ。でも、そんな俺をあの子の笑顔が

救ってくれたんです。だから、俺はあの笑顔を

消したくないし、忘れたくない。憶え続けてい

たいんです。だから…」


そこまで言うと、脳裏に1つの情景が浮かんだ。

アニメの最終回、向日葵畑の中、登場人物全員が笑顔で撮った写真。俺も写りたかった写真。


神は顎に手をあて、暫く考えていた。やがて顔あげ、顎に当てていた手を放すと…


「まあいっか。お前1人が、前世の記憶があるって

言ったところで、誰も信じないしな。今回だけ

特別だ。次はないからな。」


神はそういうと、ニコッと笑ってみせた。普段なら自分で自分の笑顔を見るなんてタダの恥ずかしい人だが、今日は不思議と恥ずかしくはなかった。


「よーし、じゃあ記憶を消さない代わり、お前の

頭に向こうの世界での生い立ちの記憶を流し込

むぞ。記憶が消せないんじゃ、赤子からやり直

すのは無理だからな。えーと、産まれた時から

親に捨てられ…15年間施設で過ごし、この春施

設を出た。こんな感じでいっか。あとは向こう

でなんとかしろ。そんじゃ、1ついくぜ。やれ

やれ、とんだサービス残業だ。」


俺は神に感謝していた。やはりコイツ、悪い奴じゃ無いらしい。世の中には神に反逆をする人間を描いた作品も数多くあるが、神はそれほど悪い奴ではないようだ。


「ありがとな、神様。俺頑張ってくるぜぇ!」


「サービス残業は普通、礼なんかいわれねぇよ。

あ、1つ注意点。お前が行く世界、なんかのア

ニメらしいが、原作通りには行かないからなー

。そこんとこだけ注意しとけ、それじゃな。」


そういうと神は指をパチンッと鳴らした。途端、視界がぼやけ、色の無い世界が回り始めた。それはどんどん加速し、やがてその色の無い世界は薄れ、やがて何も見えなくなった。

ついに転生編終了です。次回からは、早速異世界生活について書いていきます。まだまだ続く予定なので乙ご御期待!です。

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