3セーブ目(5)
「ふむふむ、なるほど。それはなかなかに難儀な問題だ」
一通り聞き終えた住職はいつも通りの口調で言うと、何やら横でソワソワしていた園香を目で制した。
「う……」
と小さく呟いてそっぽを向いた園香は知らん振りをしている。どうやら何か変な事を言い出そうとしていた様だ。
「やれやれ、人の真剣な悩みを茶化そうとするのは駄目だと、いつも言っているだろうに」
言葉と違い特に気にした様子もなく、住職は月照に向き直った。
(いつもって……結構前から知り合いなのか?)
「さてさて、結論から言うと、君の悩みの解決方法は無い」
「は? え?」
二人の関係を気にする間もなく、月照は残酷な現実に思考を止められた。
「いやいや、君はまだまだ若い。時間さえあればなんとでもなろうが、今回はあまりにも時間が足りん」
住職は予め言葉を用意していたかの様にすらすらと続ける。
「三日で修行を終えられるのなら、『三日坊主』は立派に苦行を終えた者に使う言葉になっていただろうね」
ご尤も。
「そ、それならお守りとか、なんか便利な道具に頼れないかと――」
「これこれ、こんな頭だから見間違えているのかもしれないが、ただの霊にそんな道具を出せる訳ないだろう。便利なポケットなどどこにも付いていないからね」
言って住職は自分の無毛の頭部を一撫でした。
「…………」
いやまあ、未来の猫型ロボットどころか過去の人物だときちんと理解しているが、この人がどれくらい世俗に詳しいのかは理解できていない。
(ど、どうすれば……)
最後の頼みの綱が冗談交じりにぷっつりと切れてしまったので、月照は頭を抱えそうになった。
「まあまあ、そんなに気にする事もない。刃物を持つ霊など、儂もあれが初めてだからね。そうそう出没するとは思えんし、その話の霊なら君を狙う理由もない。人を驚かしてはいても、あのご婦人のように襲いかかってはおらんのだろう?」
「あ、は、はい。聞いた限りでは、そうですね……」
「ふむふむ、では会話くらいはできるだろうて、それ以外なら君の体力で充分対応できるだろう。後は寝首をかかれなければ良いだけだ。これについては推測だが、君は普段から寝所で使っている魔除けの道具があるんではないかな?」
「いや、そんな物があったらこんな相談――……あっ……」
否定しかけたが、そう言えばそれらしい物があるにはある。
魔除けとは少し違うが、随分昔――物心が付いて間もなくの頃、夜中に室内で騒がれないよう霊の精神を鎮める札とやらを父親から貰っている。
父親も外泊の時はいつもそれを持ち歩いて安眠を確保していると言っていた、銅に彫金したちょっと重い札だ。一ミリ近い厚さがあってお札のイメージからかけ離れた物だったが、旅行鞄に入れても曲がりにくいように分厚く作っていたのだろう。
貰ったその日から勉強机の引き出しの奥にずっと入れたまま触ってないはずなので、無くなってはいないと思う。
ただ、朝から夜まで霊が好き勝手部屋に出入りし、ハイテンションで歌ったり叫んだりはしゃいだ事が何度もあるので、全く効果が無いと決めつけていた。
しかし言われてみれば確かに、深夜寝ている時に霊に叩き起こされた経験も暴れられた経験もあまり無い。
(ん? ならなんで、今までの旅行では別の用意してたんだ)
ふとそんな事を考えるが、もしかしたら無防備になる睡眠時だけしか効果が無いとか、長期的に効力が持続する分効果が薄いとか、そんな理由があるのかもしれない。
とにかくそれを持って行けば、少なくとも「気が付けば奴等の仲間」という最悪の事態だけは避けられる可能性が高い。
「うんうん、どうやら大丈夫の様だね」
「はい、ありがとうございます!」
やはり相談して良かった。今度の旅行最大の懸案事項が無くなった。後は当日までに、怪我した右手がちゃんとボールを握れる程度に回復するかどうか位なものだ。
(しかし今回はどうしようもないけど、アイテムだけじゃ駄目だ。実際深夜に叩き起こされた事も無い訳じゃないし……。坊さんさっき、時間があればなんとかなる様な事言ってたし、次回以降の為にその方法は聞いとかないと)
「あ、あの……次の旅行はもうそれ以上対策できないとして、今後の事を考えると――」
しかしそこで言葉が途切れた。
いくら何でも相手に甘え過ぎではないだろうか。
住職と顔を合わすまでは、彼の都合を全部棚に上げたまま自分の我が儘を相談するのは図々しいと感じていた。なのに彼が親切な対応をした途端、今後の為にと自己都合を優先した相談をずけずけするのは、人として間違えている気がする。
そう考えた月照は、自分を恥じて質問を飲み込んだ。
だがそれ以上に、住職の方が己の行いを心底恥じていた。
「いやいや、これは失敬。本当に申し訳ない」
「え? いや、何の事です?」
「そうかそうか、それはそうだ。君にあの『お願い』をして、後は知らぬ存ぜぬではあまりにも無責任だった」
月照には住職が何を言いたいのか分からない。ただ『お願い』が何を指すのかだけは明白だ。
「そもそも、君のその問題は、あの『お願い』が終わったとしても一生ついて回る事だ。あれはこの町を他の町程度に正す為の物だからね。その後はこの町もその旅先と同じという事だ」
「あ……そう、ですね……」
ようやく彼の言わんとする事が分かった。
住職は自分の「お願い」の後、月照が今度の旅行に対して抱いている危機感を一生持ち続ける事になると思ったのだ。
しかし月照はその辺りについては冷静に、今のままの方が危険性は高いと理解できている。御神体を持ち帰った日から今日まで毎日ずっと悩んでいたのだ。その程度の事はとっくに考察済みだ。
要するに、霊の数が多ければおかしな霊が混ざり易いし、無害な霊が多くなると霊への警戒心が薄まってしまうのだ。
事実今までだって、奇襲への備えなんて自分ではしていなかった。あの銅の札の存在を忘れるくらい暢気に過ごしていた。
だからこんな風に深々と頭を下げられると、余計に自分が悪い様な気がしてしまう。
(今回は悪霊の巣に行くから余計気になったってのもあったし、仕方ないよな……)
頑張って自分に言い訳してみるも、頭を下げたままの住職を直視できずに視線を逸らした。
「うむむ……困ったことだが、拙僧で良ければ修行をつけさせて貰えんか?」
「え……?」
やっと頭を上げた住職は、月照の表情を勘違いしたのか元からそう切り出すつもりだったのか、月照が頼もうとしていた事を自分から言い出した。
「いやいや、君の為というよりも儂の為だ。不満はともかく遠慮なら無用だよ」
返答に困っていた月照に住職は続ける。
「『お願い』を叶えて貰う前に君に何かあっても、その後に何かあっても困るのでな」
そこまで言われてしまうと月照からは断りにくい。というか元々自分から頼むつもりだったので断る理由がない。
「あ、じゃあ……どんな事をすれば?」
「まずは毎日朝晩腕立て伏せと腹筋背筋を三百回ずつ、四股踏みを左右で五百回、それから――」
「いやすんません。あの『説法』俺には無理っす」
米軍特殊部隊にも入れそうな訓練メニューを上げ始めたので、割って入って無理矢理止めた。
ありがたいお経とか時間を掛けて霊力を注ぎ込んで呪符制作だとか、そういった代物を予想していたのに、もう何というか一周回って納得してしまう位目茶苦茶脳筋な修行――というかトレーニングだ。
住職は少し表情を曇らせた。
「……そうかそうか。まあ残念ではあるが、体力作りはしておいた方が良い。しっかりと経を上げ真っ当に応じるなら仏門に入りに総本山を頼るべきだしの。そうでなければやはり、究極的には体力勝負だろう」
「は、はあ……」
一応納得できない訳でもないので曖昧に相槌を打つ。完全に納得できる訳もないが。
「さてさて、それでは相談は終わりかな?」
「あ、はい。修行の件はまあ、また相談するかも知れませんが……」
「はっはっは。いつでも来なさい。君ならきっと儂の編み出した説法奥義『爆殺陰惨地獄落とし』を体得できるだろう」
「体得していいもんなのか、それ!?」
技名がもう既に僧侶の口から出てはいけない響きなのだが……。
「はっはっはっはっは」
(この坊さん、本当にどこまで本気なんだか……)
楽しそうに笑う住職に釣られて少し笑ってしまう。ここ数日ずっと月照を悩ませていた、彼の「お願い」の重みを忘れてしまいそうだ。
(でも……)
しかしそんな風に人の厚意に甘えるだけなんて、月照には無理だ。
(まるで何ヶ月も何年も時間がある様な言い方してくれてるけど、あの時この坊さんはあまり時間が無いって言ってたんだ。本当はきっと――……)
「よーし、じゃあお姉さんは君に相談しようかな」
「うひゃあっ!?」
今まで大人しくしていた園香に突然耳元で囁かれて、月照は反射的に飛び跳ねた。
「あっはははは! 『うひゃあ』って、そんな声で驚く人本当にいるんだ」
園香は無邪気に笑っている。住職はそんな園香に呆れ顔だ。
「びっくりさせないで下さい。てか何ですか、相談って?」
「ん? 本当に和尚さんとのお話は終わり?」
問われて月照が住職を見ると、彼は小さく頷いた。少なくとも彼からの話はもう無い様だ。
「はい、大丈夫です」
結局ご神体をどうするかはモヤモヤしたままだが、ゴールデンウィークが明けるまでは彼の厚意に甘えて気にしないようにしよう。
「ええと、それじゃあとりあえずここを離れようか。君はあんまりここにいない方がいいし」
「え? それってどういう?」
園香が窓を閉めようとしたので、思わず体を乗り出して止めた。彼女はびっくりして少し仰け反っている。
色々と噂のある場所だが、住職以外にも何か妙な霊障でもあるのだろうか。
もしかすると包丁女にここで見つかったのも、この場所に何か危ない霊を呼び寄せる理由があるからかもしれない。
緊張する月照に、園香は神妙な面持ちになって口を開いた。
「籠城犯の君が開いた窓から中に入ろうとしてるところ、先生に見つかったらどう思われるかな?」
「あ、はい……」
ただの日頃の行いだった。
「君には興味あるし、お外でデートしながら色々お話ししよう。校内デートね」
「デーッ!? ――って、何言ってんですか!」
月照の頬が一瞬で熱くなった。
殆ど会話した事はないが、少なくとも見た目は凄く可愛いしずっと笑顔で明るい女子だ。デートしたくない男子は少数派だろう。
それに何より、彼女は霊と会話できるのだ。
これは月照にとって極めて重要だ。
住職との話を優先して中途半端になったが、確かにゆっくり話を聞きたい。
「じゃ、戸締まりしてそっち行くからちょっと待ってて」
言いながら園香は窓を閉め、鍵をかける。
(そういやこの先輩――えっと花押先輩だっけ? どうしてここに? それに鍵も、よく借りられたな)
まあそのあたりもすべて、この後本人に聞けばいいだけだ。
窓の向こうでは園香と住職がしばらく話し込んでいたが、やがて園香が手を振るとそれに応えて住職がすぅ、と姿を消した。
月照は視線を彼女から渡り廊下へと移した。
彼女が出て来るならその新校舎との渡り廊下からだ。旧校舎の廊下の端から端まで歩く事になるが、そんなに大きい校舎ではないので歩いても数分程度――。
「おっ待ったせ~」
月照の視界の端ギリギリ、さっき閉めたばかりの窓付近から園香が出てきた。
すぅぅ……、と。
ガララ~、とかではなく。
(ん、んん~~……?)
真横から声を掛けられた月照は、声を出せずにそちらを見た。眉間が皺くちゃになっているのが自分でも分かる。
「あ、あれ? なに、どうしたの?」
園香が怯えて後退る。
「……花押先輩?」
「あ、うん。え、ほんと何?」
うん、やはり文句なく可愛い。キョトンとして頭の上に「?」を飛ばしている仕草はちょっと反則の域だ。
「え、ええと……」
だから月照も「細かい事はもういいか」とか思ったが、残念ながらこれは細かい事ではない。
「今、どっから出てきました?」
「え? そこの壁」
しれっと園香が応えた。
(ああ、そうか。窓閉まってたんだから壁だよな。うん、窓からは出られないもんな)
「――ってなぜじゃぁぁ!」
「うひゃあっ!?」
月照が突然変な言葉遣いで叫んだので、園香も思わず変な声が出た。
「壁って通れましたっけ!?」
月照にとって壁とは霊ならすり抜けられて生者にはすり抜けられない物だ。昔顔面強打して泣きながら覚えた常識だ。それがそんな簡単にすり抜けられては、今まで培ってきた価値観が根底から覆されてしまう。
「え? や、え? えぇ~っと……?」
園香は月照の迫力に数歩後退り、腰から校舎の壁にめり込んだ。
すぅぅ……、と。
メキメキ~、とかではなく。
(んんんんんん~~……?)
月照はその光景に声にならない声を漏らし眉間の皺を倍増させ、両手で目をごしごし擦った。
瞼の皮が磨り減りそうな位そうしてから手を離し、壁にめり込む園香の臀部を前のめりになって注視する。
「ちょっ!? たまたま君、どこ見て!?」
園香が慌ててお尻を押さえながら飛び退いた。
「あっ!? す、すみま――って咜魔寺です! その呼び方はやめてください!」
「じゃあエロ寺君! 何、人のお尻ガン見してんの!」
「エロ――って、いやそんなとこ見てないです! 先輩が壁にめり込んだりするから――」
「君は女の子が壁にめり込んでたらガン見するの!?」
(しない奴いんのか!?)
突っ込みたかったがこれ以上園香を刺激しては何も聞き出せなくなる。今はとにかく混乱している自分の頭を整理すべきだ。
「もう! 折角高めだった好感度が六は下がったと思ってよ!」
「中途半端に具体的な数字のせいで今どれ位なのかメッチャ気になるんですけど!?」
十段階なのか、百段階なのか……。
余計な事が気になってしまって、いつまで経っても考えが纏まらない。
「ひ、み、つ!」
怒っているのかふざけているのか、園香は強めにそう言ってそっぽを向いてしまった。
「あ~、その……ええっと……」
このままへそを曲げられて会話出来なくなるのは困る。気になる事があまりに山積みだ。
月照は何とか上手く取り繕おうと呻くが、上手い言葉が全く思いつかない。
「そもそも私が壁抜けした位でどうしてそんなに騒ぐのか分からないから!」
そのまま数秒悩んでいると、園香が振り返って月照の眉間当たりをビッと指差した。
「壁抜けくらいみんなしてるでしょ!」
「みんなしてんの!?」
どうしよう、会話するほどに雪だるま式に聞きたい事が増えていく。
(えぇ~? 高校生って壁抜けできないと駄目なのか? じゃあ昔俺が流した鼻血は無駄だったのかよ!? てか俺だけ中学生レベルのままなのか!?)
月照の脳はもう処理が追いつかず、負荷に潰されかけておかしな演算を始めている。
「ま、まあ? 私みたいに鍵を開けたりとか、器用で繊細なポルターガイスト起こせる悪霊はなかなかいないだろうけど……?」
そんな頭から煙が出そうで固まっている月照に焦れたらしく、園香は頬をうっすら染めながらどこか自慢げに話し始めた。
「私もこう見えて昭和鬼籍入りだし、下手な年配の幽霊よりも経験豊富なのよ。だから――」
「れーいっ!?」
「わっひゃあ!?」
突然上がった月照の奇声に、園香は腰を抜かしたのか尻餅をついた。
「な、なに……?」
見上げた先の月照は何やら目が怖い。
「先輩、れいっ、れい!?」
「えっ? ええっ!? よく分かんないけど、こんにちは!」
園香は地面に座ったまま頭を下げた。
「じゃなくって!」
「えぇ……? じゃあ、おはようございます?」
もう一度、姿勢を正して挨拶した。
「そうですけど、そうじゃない!」
「え~……? じゃあ何? もうお姉さん分かんないよ」
「霊! 今『霊』って言いましたよね!?」
「え? ううん、言ってない」
厳密には「悪霊」とか「幽霊」と言っていたので、園香はそう答えた。
「あ、れ……? じゃあ俺の勘違いですね。済みません」
言いながら、月照は園香の手を取った。
「ううん、びっくりしたけどいいよ別に」
園香は月照に引っ張られるまま立ち上がり、元の可愛い笑顔に戻った。汚れが気にならないのか、制服を叩こうともしない。
至近でその笑顔を見た月照は、心臓が跳ねる様な感覚に驚き手を離した。
「そ、それで先輩の話ってなんですか?」
照れ隠しの為に無理に話を切り出したが、本当はまだまだ聞きたい事が山ほどある。ただ彼女の前ではどうやっても自分の質問を整理できそうもないので、とりあえず諦めた。
園香の方も何か考え事でもあるのか、不思議そうに自分の手を見詰めている。
「ねえ、そんなことより今、私の手……握ったよね?」
手を見詰めたまま、独り言の様に呟いた。
「はっ!? いや、済みません! ついなんとなく、助け起こそうと――」
「あ、ううん。怒ってるんじゃないから。ただ、聞いてはいたけどほんとに凄いんだなぁって……」
園香はそう言ってから、慌てた様子の月照を見てくすりと小さく笑った。
それに気付いた月照は、バツが悪そうに視線を逸らした。
「えっと……凄いって何がですか?」
「うん。今は壁抜けの為に変身の霊障を消してるから、普通の人なら触るどころか見る事もできないのに」
「ああ、そういう――ってどういう事ですかっ!?」
「うひゃあっ!? ま、またそんなノリで騒いで……私もびっくりするし、人に見られたら君、完全に危ない人だからね!」
「そうじゃなくて、『霊障』ってそれ! 一体どういう意味ですか!?」
月照の知る限り、霊障は霊が起こす障害の事だ。生きた人間が起こすなど聞いた事がない。
「え? 霊障って言うのは、霊が起こす障害の事、だと思ってたけど……違うの?」
「いや違いませんけど、だったらなんで先輩が起こせるんですか!?」
「え? だって私、霊だし」
「え?」
「え?」
「「…………」」
そのまま二人でしばらく言葉を失っていたが、やがて園香が口を開いた。
「……あれ? だって君、霊感凄いんでしょ?」
「え? ええ、まあ。霊に触るくらいには……」
「ん?」
「へ?」
「「…………」」
更に二人で黙りこくること数十秒、今度は月照が先に口を開いた。
「さっき、確か先輩は霊じゃないって言ってたと思うんですけど……?」
「え? ううん、言ってない」
「え?」
「え? ――ってもう、このパターンやめっ!」
「あ、はい」
園香がいい加減しびれを切らして大きめな声を出し、月照も腕を組んで長考に入った。
さっきから全然会話が噛み合わない。
「ちょっと君が何考えてるのか分からないから、色々確認させて!」
「あ、はい!」
園香に勢いよく言われたので同じ勢いで返事を返し、二人で齟齬の埋め合わせを始めた。




