第24話_日本異世界研究開発機構(JWXA)
午前8時55分。
おにーちゃんに対する強制執行に同行するため、グスターとラズベリとヴィラン先輩の3人はJWXAの本部にやってきた。
「うっは~、なんかすっごいな! あと、お金が掛かってそうな建物だ!!」
広い駐車場に、広い池と、広い日本庭園。そして5階建ての4つのビルが組み合わさったような建物群――現代建築というのか? 効率的とはとても言えそうにない空間――のせいで思わずそんな言葉が口から出ていた。
横にいるヴィラン先輩が苦笑する。
「……(グスターさん、その表現、発想と語彙力が残念な子が使う言葉だよ?)」
「ぐっ、遠回しにグスターのことを馬鹿って言うな! JWXAの鹿児島県支部が、こんなに大きな建物だと知らなかっただけだ!!」
「……(異世界サルベージに関わるものとしては、JWXAのことはちゃんと調べておかなきゃ。その調子だと、うちの事務所に置いてあるJWXAのパンフレットも見ていないでしょ? この建物が表紙裏にデカデカと載っているはずなんだけれどさ)」
「ぐっ――見てない――けど――」
「……(JWXAの建物の配置には、陰陽道とか霊的な意味があると言われているんだ。例えばあっちの白い壁だけれど白虎を――)」
「はいはい、中に入りますから、実ちゃん、説明は後にして下さいな。先方さんとの約束は9時10分ですからね?」
「……(そうだね、説明はまた後にしよう)」
「うむ。JWXAのことは、ちょっと気になるけれど……グスターも了解した」
「それじゃ、行きますよ♪」
ラズベリを先頭にして、グスター達はJWXAの建物に入って行くことにした。
◇
「――という流れで、本日の強制執行を実施したいと考えております。何かご質問等はございますか?」
強制執行の執行官である、JWXAの水神さんが会議室を見渡した。
会議室には、水神さん以外は、立会人としてのグスター達3人と、ボディガードとしてのベテラン異世界サルべーザーのおっちゃん達が5人。
前回、レベル500台の水神さんが瞬時に行動不能状態にされたことから、ボディガードのおっちゃん達は、みんなレベルが800でカンストしている強者が集まっているとのことだった。
ちなみに、ファースト、セカンド、サード、フォース、フィフスという偽名を使っているとのこと。
職務に忠実なのか、おっちゃん達は誰もしゃべらずに静かに座っているだけ。
――と思っていたのだが、リーダーっぽいスキンヘッドのおっちゃんこと「ファーストさん」が手を挙げた。
「立会人のお嬢ちゃん達の数が多い。3人ともレベル500台はあるとはいえ――うちの5人で4人を護衛するのは、正直、難しい」
暗に数を減らせ、もしくはついて来るなと言ったおっちゃんに、ラズベリが言葉を返す。
「勘違いされていませんか? あなた達の護衛対象は1人だけ、執行官の水神さんだけですよ?」
「どういう意味だ?」
おっちゃん達が不思議そうな顔をする。
「うちのグスターちゃんはレベル700を超えていますから、わたくし達の身は自分達で守れます。そちらの護衛対象は、執行官の水神さんだけでお願いします」
だから干渉するな、放っておいてくれ――そんな作り笑顔をラズベリが浮かべた。
「……今、鑑定スキルで確認したが、そこのお嬢ちゃんのレベルは713あるな、ぱっと見た感じでは」
「見た目だけじゃありませんよ? 実力も戦闘経験もありますので♪」
小さな沈黙が流れる。
「……分かった。うちの護衛対象は、執行官の水神さんだけで良いんだな?」
「ええ♪」
「最近の女子高生は、怖いもんだ」
うん。
ラズベリとおっちゃんとの間で、激しく火花が散っている。
◇
異世界に転移するにあたり、装備するドレスアーマーをどの組み合わせにするのか迷ったけれど――闇色甲冑と漆黒のドレスをグスターは選ぶことにした。
喪服代わりと言ったらいけないのかもしれないけれど、委員長の仇を取るために、おにーちゃんとばっちゃんに会いに行くのだから。
さて、気合いを入れよう(≡ω)




