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第15話_委員長と異世界

委員長()意外とスペック()高かった()


ルールやマナーがまとめられたJWXA発行の規約集を1人で読んで、ちょちょいと試験を解いて、パワーレベリングは後日にして、異世界サルベージ(債務者との顔合わせ、ニーズの把握)に早速行くことになったのだから。


「な、なにっ……委員長の戦闘力は53万だと……」

「もちろんフルパワーでグスターさんと戦う気はありませんから、ご心配なく(≧ω)♪」

「??? うん、なんか委員長が無理してドヤ顔作っているのだけは、理解できたぞ?」

グスターの指摘に、委員長の顔が真っ赤になる。

「――っ!? ちょ、このネタ、知らないんですか?」

「え? ネタなのか?」

「戦闘力が53万と来たら、これを返すのがお約束でしょう!?」

「お約束って言われても、恥ずかしくないのか?」

「――っ!!!」


「まぁまぁ、桂樹ちゃん落ち着いて下さい……」

「……(恥ずかしいのは理解できるけど、これから異世界に行くんだから、冷静にならないとダメだよ?)」

「そ、そうですね……私が、どうかしていました。主木先輩、釈迦頭先輩、すみません。もう大丈夫です」

「それじゃ、異世界に行きましょうか。――「ちょっと待った!!」――ん? グスターちゃん、どうかしましたか?」

「委員長には、グスターの時みたいな厳しい修業はしないのか? 魔法講座はしないのか? パワーレベリングしないと、異世界は危険なんじゃないのか?」

グスターの心配をよそに、ラズベリとヴィラン先輩は笑顔を浮かべる。


「それも1つの事実ですが、桂樹ちゃんの本格的なパワーレベリングはまた後日です。魔法講座は、簡単なモノを今から少しだけ、疑似異世界でする予定ですけれどね」

「……(まだ、入部テストの途中なんだよ。安全は、ボクやいちごが守るから、大丈夫♪」


 ◇


「それじゃ、異世界に行こうと思うのですけれど――グスターちゃん、初めて異世界に行く人が、最初に何をしないといけないか、覚えていますか?」

「追跡の指輪をつけてから、その後に転移の指輪をつけて、きちんと発動しているか『メニュー』スキルで確認するんだろ?」


「おしい。それは、2度目以降なら合っています。正解は――実ちゃん、よろしくお願いします♪」

「……(異世界での偽名を考えることなんだ。異世界で、本名で交渉するのは得策じゃないからね)」

「そうだったな。グスターは事実上、本名というかあだ名をそのまま使ったから忘れていたぞ。――んじゃ、委員長の偽名を、グスターが考えてやる♪」

「嫌な予感がするので遠慮しておきます。名前が月桂樹なので、『ローリエ』というのはどうでしょうか、先輩方?」

「良いですね」

「……(可愛いし、自然な感じだと思う)」


「カレーの中に入っている、美味しくない葉っぱだよな? 委員長、そんな名前で大丈夫か?」

「問題無い、大丈夫だ――って、グスターさん、私に不穏なフラグを言わせないで下さい。これから初めての異世界なんですからね!!」

「あははっ、ネタが通じるのは嬉しいな♪」

「はいはい。先輩方、グスターさんは放って置いて、話を進めてもらえると嬉しいです」

「ええ、了解です」

「ちょ、ひどいぞっ!」

グスターの言葉に、ラズベリがやんわりと笑顔を作る。

「グスターちゃん、話が進まないので、ボケもツッコミも控えて下さいな?」

「……ラズベリに言われたら、仕方がない。大人しくしておく」

「ということで、次に指輪の説明をしますね。講座で勉強したから覚えているとは思いますが――」


こうして、簡単な説明をラズベリがしながら、委員長も一緒に疑似異世界に飛ぶ。まずは疑似異世界で、簡単な魔法の実演や理論の確認をするらしい。

委員長の適正試験も合わせてすることになり、委員長はそつなく炎槍を生み出して、ゴブリンを退治することが出来た。


魔法を放つ瞬間、いつも無表情な委員長が嬉しそうに笑っていた気がするけれど――うん、明らかに笑っていたけれど――グスターは何も見なかった!!

多分、きっと、絶対に!!


「プログラムが生み出したものとはいえ、ローリエちゃんは、生き物の形をしている魔物を倒すのに躊躇が無いのですね?」

ラズベリの言葉に委員長が頷く。

「はい。世の中は、自分以外はほとんどが敵だと私は考えているので、明確な敵を相手に手加減する理由はありませんから。――あ、でも、主木先輩や釈迦頭先輩は味方になってくれていますので、敵じゃないですよ?」

「グスターは? グスターは、味方に入っていないのか?」

「……グスターさんもです」


にやにや(≡ω)


「ああ、もう! こういう反応するだろうから、言いたくなかったんですよ!!」

「委員長はツンデレだからな~」

「ツンデレなんかじゃありません!!」

委員長が叫んだ瞬間、ラズベリが話に割り込んできた。

「はいはい、ローリエちゃんの適性試験は、合格点ということにしておきます♪ 時間も無いことですし、ちゃきちゃきとお仕事に行きますよ~」

「うむっ、了解だ」

「すみません、主木先輩」

「はい、気分の切り替えができたようで、大変よろしいです。それじゃ、1件目の異世界から行きますよ? 座標の設定は――」


こうして、漫画や同人誌のニーズ把握という名目で、30件の異世界訪問をみんなでしてきた。ヴィラン先輩いわく「ルート営業だから、楽だよね」とのこと。

「……」

社畜の鏡だと思ったけれど、流石に口には出せなかった……。


でも、おかげで債務者が欲しがっている漫画や同人誌の情報を集めることが出来た。

ヒアリングを進める中で、ライトノベルとか一般小説を希望する人もいて、グスター達が気付かなかった需要に気付くことも出来たし、収穫は大きい♪

余談だけれど、男性も女性も泣いて喜ぶ人がたまにいたのが、ちょっとびっくりした。


 ◇


「それじゃ、ローリエちゃんにお金を渡しておきますので、明日の放課後に、今日リストアップされた本を注文して来てもらえませんでしょうか?」

「……(いちご、結構、大量にあるんだよ? 通販の熱帯雨林で注文した方が良くない? それに、同人誌とかどうするの? 作家の指定とかあったけれど、多分、普通のお店じゃ売っていないと思うし……)」

心配そうなヴィラン先輩の言葉に、委員長が口を開く。


「あ、釈迦頭先輩、そこは大丈夫です。鹿児島にもアニメや漫画に詳しい専門店がありますから、同人誌もそこで注文すれば手に入ります。もしもそれで手に入らない場合は、ネット専門店の通販で買うという手段もあります」

「……(そうなんだ? んじゃ、桂樹さんに任せても大丈夫?)」

「大丈夫です」

「それじゃ、ローリエちゃん、グスターちゃん、明日、その専門店に視察に行ってきて下さいな♪」


「え? グスターも委員長について行くのか? っていうか、ネット通販で買うんじゃなかったのか?」

「あら? 荷物持ちは必要ですよ? 買える本は早速、買ってきてもらうつもりですし、それに、ネット通販だけじゃ発見しきれない『おすすめ作品』が専門店なら眠っているかもしれないですよね? 債務者さんへの切り札は、なるべく多めに持っていたいので、グスターちゃんも協力して下さいませんか?」


ラズベリの言葉に、ヴィラン先輩も言葉を続ける。

「……(あとは、グスターさんにも漫画やアニメの知識を持っていて欲しいという思惑もある。ボクらと違って、グスターさんはそれなりに日本の漫画やアニメを知っているみたいだから。グスターさんも、好きなアニメや漫画があるんだよね?)」


「もちろんだ。ジャパニメーションは凄いんだぞ♪」

その後、10分くらい某有名アニメについて熱く語ってしまったのは、ちょっと失敗だった。

でも、委員長とは少し仲良くなれた気がする。


 ◇


ラズベリ達は「明日で大丈夫」って言ってくれたけれど、委員長いわく「漫画やアニメの専門店は23時まで営業している」とのことだったから、今から一緒に行ってみることにした。


さぁ、路面電車に乗って、天文館へ移動するのだ♪

今日の更新はとりあえず、ここまでです。

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