出発のとき
今私がいるのは、まさしく空中だ、、。正直に言うと地面につくまでに時間がかかるわけで、暇なわけですw
「何はともあれ、ステータスの確認のやり方教えてよ、、(「異世界読本」とか開くの面倒くさいから)」
「(あれほど言ったのに....)」
「おいしい食べ物手に入ったら料理おごるからさ〜、お願い!」
「それで教えたら、本当に読まなくなるでしょう。」
説明書が嫌いなのは、さすがに姉には筒抜けだ。笑ってる姉の顔にも窘めるような雰囲気が漂っていて恐さを感じる。よく言うが女の笑顔は雰囲気が大事だと思う。
「私が持っている鑑定の能力使った結果を言うから、メモしておいてね。」
そう言ってノキア姉さんは話し始めた(鑑定の能力っていう時点で結構チートなのかな?)。
#鑑定結果(大島美海)
Registered Name:Mimi Oshima
Age:20
潜在能力値:100
能力適正:土魔法、治癒魔法、光魔法、飛行、火魔法
スキル:一撃必殺の心得(開花済み)
背水の陣での心得(開花済み)
根性(成長中)
ステータス隠蔽能力(鑑定が妨害されたため表示できないらしい)
動体把握(鑑定が妨害されたため表示できないらしい)
隠蔽察知(鑑定が妨害されたため表示できないらしい)
美食家(鑑定が妨害されたため表示できないらしい)
破壊の心得(鑑定が妨害されたため表示できないらしい)
双子は常に共にある(設定されていません)
手加減(覚醒済み)
となっている。なんとなくわかるのはステータスの隠蔽能力は備考を隠しているのではなくゲームとかにあるような英語の横文字みたいなのを隠しているようだ。(STRとかAGIの数字とか)。姉が言うには一撃必殺の心得は敵意を込めた時に筋力と敏捷と器用があがる代わりに体力が減りやすくなるらしい。これらの能力は野球をやっている時に意識してきたことが多く反映されているようだ。それに、個人的には体力には自信がある。また、手加減というスキルの中にある覚醒という言葉には何かの意味がありそうだ。
ついでにノキア姉は
#鑑定結果(大島ノキア)
Registered Name:Nokia Oshima
Age:20
潜在能力値:100
能力適正:水魔法、隷属魔法、闇魔法、生命干渉魔法、魔法陣作成、野太刀(武器術)、二刀流、魔力操作、飛行
スキル:武芸百般(成長中)
器用貧乏症(開花済み)
危険感知(成長中)
ステータス干渉(成長中)
貫通の心得(開花済み)
1を聴いて10を知る(開花済み)
悪食(開花済み)
消化機能極大化(成長中)
スピードスターの心得(成長中)
双子は常に共にある(設定されていません)
やっぱりチートなのは否めなさそうだ。
姉はステータスは教えてはくれなかった。
アビリティーみたいなのは教えてくれたけどね....。
アビリティービルドが明らかに暗殺系のビルドなのはあの笑顔の裏にあるものを反映しているのかもしれない....。
恥ずかしがっているところを見ていると問い詰めたくなる、強制するほど自己中心人間ではありたくないのだ。
そしてようやく下の景色が見えてきた。
上から見ているとどうやら人間以外にもちらほらと動いているのが見えるので魔獣とやらが住んでいるのは間違いない。
これらの魔獣は邪神の眷属ではないのだそうだ。しかし、ほとんどが夜だというのに思った以上に人工的な光ばかりでなんだか異世界にきた感じがしないというものだった。
魔法のような力をつかって飛ぶ異世界の空はとても清々しく、吸う空気はほどよく冷えているようだった。
一言文句を言うなら空に近いのか日焼けが怖い。
日焼け止めで対策してはいるが紫外線が女の敵であることぐらい自分がよく知っている。
よくある魔道具とかいうやつがあれば、そのあたりを防げるかもしれない。
それはともかく、人間たちがいなさそうなところに降りた。
そして、人気がなさそうな場所に転移するためのポータルポイントを設置した。
そして、空から偵察していた時に見つけた魔物が多そうな森に方向転換して突入した。
ーーーーーーーーーーー 人間サイド(始まりの街:青空町 通称:ブルースカイ) ーーーーーーーーーーー
通称:青空町といわれるこの街にはあまり人の集まらない街の一つである。
雨が降らず、気温は温暖でないこの街は綺麗な青空が有名である。
そのせいか農業には適さない土地の一つであり、狩猟採集が有名な町である。
そして、寒くもなりにくいため、別荘地としてお金持ちとハンターが共存する街である。
もともと、開拓者と呼ばれる人間たちが魔獣や魔物を討伐したり使役をすることにより、人間は安全を手に入れる。この町も開拓者が魔物たちを討伐したことによってできた町の一つである。
まあ、開拓者と呼ばれた人間は要するに冒険者のことである。
大抵が魔法の能力を一生使える加護を受けた人間が徒党を組み街開きをして領主になる。
魔法を一生使える人間は数少なく、開拓者と言われる人間はとても強い。
開拓者の中では魔物が強いという考えだって笑いものにされるぐらいの能力差があるらしい。
しかし、開拓者は町を一つしか持てない制度らしく、学を持たないものが多いため開拓者は一つ町を作ればあとは引きこもるか、魔物による災害を待つものもいるし、暇そうにしていることが多い。
しかし、その開拓者も立ち入らないように気をつけると言われる森がこの始まりの街のすぐそばにあるのだ。これがスライムと呼ばれる魔物の森である。このスライムという魔物は不定形であり、よく偏見として知られる核があるからそれを見つけて壊せばいいと言われているが、大きくならないと核を持たないとも言われるし、核を自らよく見えるところに見せているスライムというのはいないらしくスライムの核というのは10年に一度くらいしか手に入らないらしい。また、魔法攻撃をすると、攻撃魔法を取り込み、その魔法に耐性を持つ個体が必ず現れて増えてしまうため討伐するたびに新しいスライムが発生するらしいし増殖速度が速いので放置気味になるようだ。そのため、開拓者たちもあまり手をわずらわせているのだそうだ。
最近その森のスライムの多くが融合し始めて、あらゆる耐性を獲得した攻撃のきかないスライムが発生するらしい。その兆候が現れ始めているらしい。この兆候が出ると極端に不定形の通常のスライムが発生しなくなるらしい。そのために迷宮担当の兵士として、領主立会いのもと、開拓者の一人に声をかけているところらしい。
「今更知能のない生物を討伐するの?頭大丈夫?」
と言っているのは緑色の目と金色の髪が特徴の魔術師の女である。
エルフっぽいが、耳は長くなく、彼女のコンプレックスだそうな。
名はバミューダ・グラント・フルマフと言って、開拓者の一人。
魔物の使役に優れ、スライムのテイムに唯一成功している人物である。
この人物は他の開拓者と違い魔物に対して親愛の感情を抱いていて、彼女は領土というものを持たない。
スライムの扱いに長けた変態扱いされるこの人物がいるからこそ青空の街が成り立つとも噂される。
そして、街の警備を任されている兵士の一人である俺にたびたび不満を主張している。
「スライムを討伐しちゃダメ」
「スライムは人間の味方」
「このキモ可愛さが分からないなんて人間としてどうかと思う」
「他の人間がスライムと会話できないせいで私の仕事が増えている」
とかこんな話だ。
「仕事の引き継ぎしないのバミューダ様が悪いのです。早く、誰かにあなたの技術を教えてあげれば済む話でしょう?」
「なにそれ、そもそも普通の動物とも会話できないやつばっかで、会話能力の高い獣人どもを差別で追い出した領主は誰?そんなこともわからないの?将来が心配ねー!」
「申し訳ありません。報酬外にも白金貨を用意させていただきました。この依頼はあくまで機密にお願いします。」
そう言って差し出した白金貨を奪い取るように持っていくとその瞬間、扉の音がバタンとなるぐらい音を立てて外に出て行った。
それに私の背後に私たちの主人である領主様の気配がする。
「開拓者に逆わないで。法律で決められていないからって、兵士が逆らっていいと思っているの?」
「最初から機嫌悪そうでしたよ。領主様が何かしたんじゃないんですか?」
「ふざけるな!あんな食えないやつを怒らせる領主がどこにいるんだ!お前は今日から配属を迷宮対応に変更する。すぐに行ってこい!」
どうやら、僕が何か悪いことをした扱いになるらしい…。
顔が綺麗な女だったが、人の悪口ばっかり言っている女だった。
あのエルフもどきに森を任せるのかと思うと不安になるが、命令は命令だ。早く身支度をするとしよう。
ーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーー
私たちが森に降りると、広いが見晴らしの良い森が広がっているとわかる。
その中で異色なのは、建造物が建っていることだろうか。深い森で人間の気配はないが蔦のはった建物や崩れ落ちて、地下室だけがむき出しになっている場所もある。というわけで、探索をしてみると、、
「スライムかな?」
「ベトベトしているし、さっきから空気までジメジメしている感じでイライラするわー。」
「害意のある魔物じゃなさそうだから、放置しましょう。」
人間には襲い掛かる魔物も私たちには積極的に襲撃をかけようとしないみたいだ。目もないし、これで人間だけを襲っているなら手のつけられない魔物だ。だが、私たちを襲う奴らもいる。それは、全長は4mはあろうかという大きさのスライムで真ん中には核のようなものが見受けられる。だが、明らかな弱点と思われる核にも手が届かないであろうと思うぐらいの大きさである。何があるかわからないので、気をそらす工夫だけはしてもらおう。
「気をそらして逃げる時間作れない?魔法とかあるでしょ?」
「最初から逃げるつもりね。よし、水魔法の!『フリーズ』」
「おお、凍った…。とりあえずたたきつぶしとくねぇ。てい!」
とりあえず、ノキア姉が魔法?で凍らせた奴を空手の要領で周りごと粉砕する。ただ、思ったより威力が高く、粉砕した魔物も動く気配がない。どうやら、破壊の心得というスキルが何らかの影響を及ぼしているみたいだ。手も傷が付いていない。ストリートファイトみたいなスタイルに才能があるかもしれない。
「すごい威力だねー。ミミはもともと強かったけど能力値って結構受け継がれているのかもね…。」
「空手出身者だし、木造だったから大したことないってことよ。それにしても襲われるとはね、、気をつけなきゃ、、、」
「しばらく、素手で戦う感じだね…。スライムとか私苦手だし頼むわ…。」
「(スライム素手で殴るとか勘弁して…)」
そんなことをしていると、ノキア姉が何かに気づいたらしい。
「そこのクローゼットに隠れて様子見するのよ。」
「へ?」
「誰か来ているの。近づいているから観察しましょ。」
「うん(音立てないようにしよう。)」
その近づいているものの正体は、どうやら人間のようだ。
「全くどうしたらこうなるのよ!スライムが粉々って何の冗談よ?再生してない?核は残ってたから何とかなるでしょうけど。。。。まあいいわ!こんなことができる奴がいるなんて是非私が研究がてら解剖してみたいものよ。それに、一時的だけど水属性が使われたのかしら残滓が感じられるわ。いくら凍らせられて壊されてもすぐに元に戻れるぐらいなのにそれに魔力が感じられないのはドレインでもされた可能性もあるってとこかしら。でもドレインができる人間がいるならそれは魔人化している可能性もあるのかしら。わからないわ。」
金髪の女がそこにはいた。どうやらエルフのような外見だが耳は長くはない。しかし、魔力の濃厚な気配がその体を覆っている。明らかに魔法に優れたタイプだとわかる。その目は何かを探しているが、見つかった様子はどうやらないようだ。しかし、
「あのスライムがいなきゃ金はもらえるし、討伐の証拠も手に入ったから帰るかー。楽すぎてつまんないー。」
どうやら金髪の女は帰っていった。しかもさっきのスライムが目的だったみたいだ。全然調べようとしなかったところをみると慎重な人間ではないのかもしれない。
『とりあえず村に行くかなー。』ってことで一番近い村に行くことにしよう。ただ拠点づくりをしてからだろう。何よりこの村には魔物がいるくらいだし何らかの情報があるだろうし、さっきの女の情報も念のため集めなければいけない。拠点づくりに向きそうな場所を持ってきていたテープを用いて区画を作り、拠点づくりをはじめることになった。
金のバットは前回のあとがきで書いたネタの奴です。