洋画の吹き替え風実況
「さぁ、一斉にスタート! ナイススタート。いいねぇ、さすがは我が赤組の子、こんなに速いと他が追いつけないんじゃないのかぁ? 二位の白組も頑張っているみたいだ。うん、いい走りだけど、これじゃあ赤組には追いつけないなぁ、はっはっは! むしろ、後ろの緑組に抜かれないように気を付けるので精一杯なんじゃないのか? ほら、緑組が随分と距離を縮めている。これじゃ、時間の問題だな。あ? 四位? お、これはこれは、学園ナンバーワンのウエイトを誇るジョナサン君じゃないかぁ。なんでこんなレースにでてるんだ? アメリカンドリームなんて古いことを考えてるんじゃないだろうなぁ。ま、精々他の選手たちの邪魔にならないように走ってくれれば問題はないんだが……。そんなことより我らが赤組の好走を称えようじゃないの。ほぉら。もうすぐでゴールだ。はっはっは、そうだ、そこのお前、おう、そうそう、そこでプログラム見てる君。アイツの好きなコーラを一ダース買ってこいよ。ほら、金はやる。これでいっちょパーティでもやりますか……(ドテッ)オーマイガッ! あの野郎、転びやがった! ったく、最後まで気を抜くなとあれほど忠告して置いてやったのに……おいおいおいおい、早く起き上がらないと後ろの白組と緑組に抜かれちまうぞ! 早く立て! 立て! オウ……抜かれちまった。あーあ、これはもう仕舞だ。さっさと帰ってNBL見るぞ……おい、お前、その買ってきたコーラ飲んでいいぞ。俺はもう帰る。実況? んなもんやってられっかって……。あぁ、そうか。うん。まぁ、確かに、同じ組である赤組に肩入れしすぎた実況をしていたのは俺も分かってる。でも、同胞を応援したくなる気持ちがあって当然じゃないか。ニューヨーカーなら誰だってヤンキースを応援するもんだろ? あぁ、分かった分かった。ギャラが発生してるんだな、そう、だったら俺もプロ根性ってのを見せてやるよ。はい。レースの方は……もう、緑組と白組ゴールしちゃったの? おいおい、これじゃあ実況のやりがいがないじゃないか……。走ってるのはあのジョナサンだぜ? 競歩してんじゃないかってぐらいに遅いじゃないか。次の競技まで時間圧してるから、さっさとゴールしろよ。子豚のジョナサ……(ごつんっ)いだっ! だ、誰だ! 俺の頭をぶちやがった奴は……こ、これは、これは、そのぉ……どちら様で? あぁ、ジョナサン君のお父さん。これはこれは……あぁ、いえ、誰も彼のことを子豚ちゃんだなんて、むしろ、お父さん似の、小猪ちゃんと……ぐわっ!(バキッ)」
どうも作者です。トランペット吹きの休日を聞きながら思いついたら書いてみようと思ってます。良かったらまたどうぞ。では、さよーならー。