表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

電車の窓

作者: 懐花
掲載日:2015/01/27


酷く疲れた顔をした女が、窓ガラス越しに私を見返した。





まっすぐとこちらを見ているはずなのに全くかみ合わない視線はぼんやりと宙をさまよっている。

不鮮明なガラスを通してでさえ伝わるその女の顔色の悪さに知らず背筋が冷える。


パッとあった視線は、互いにすぐに逸らされた。





いつからそこに座っていたのか。まるで世に絶望するくたびれた老人のように身を縮めて座る女の姿は、

しいんと静まる閑散とした夜の電車の中で不吉な不気味さを醸し出している。



一瞬交わってしまった視線にどうしようもないいたたまれなさを感じた。






【ありがちな1シーン。夜の電車。】


一体彼女に何があったのか、20代前半のように見える彼女の表情はとても暗い。まるで疲れきった老婆のようだ。


見ているだけで運気が下がりそうな女。





ああ関わりたくない、ますます気分が沈むわ。


自分だって仕事帰りで十分疲れているのだ、これ以上気が滅入ることは勘弁して。そう心底思った私が、しかしよく見ると窓越しの彼女に大変見覚えがある。



触れると崩れてしまいそうな不安定な表情、気を抜いているようで周りに視線をやって警戒するピリピリした空気。ストレスの塊。





私は、彼女をよく知っている…




どこかできっと、いえいつも見ているような既視感がある。


ややあって私は思い出した。







なんてことはない。

窓ガラスに写り込む女の顔は、疲労と眠気に耐える自分の顔そのものだった。




ああ、私いま すごく疲れてるんだな。




「今日くらいゆっくり休もうか」


久しぶりに、素直にそう思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 日常生活を切り取った、数秒間のショートストーリー・・ 短いのに、とても感情移入しやすいです。 [気になる点] もしかして・・リアルで疲れてらっしゃる??? 心配です・・。 [一言] 文章を…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ