2話 ( •̀ ω •́ )✧<犯人を捕まえてみせます!(キリッ)(;゜Д゜)<ぇぇ…(困惑
「右から二番目の人です」
舞踏会会場の隅で、セレナがこっそりと目で宰相に合図を送る。
「なぜあれが犯人だと断定した」
「あの人は私と同じです。
たぶん魔力の“色”を覚えています。その軌跡を追って特定してるのでしょう」
「ほう。そんなことまで分かるのか」
「はい。視線が明らかに魔力を追っていました。
あれだけ濃密な魔力を持つ魔石なら、移動したあともしばらく魔力の痕跡が残ります。
それを辿ればどこに隠したか、すぐ分かります」
そう言って、セレナは「閣下にはあの人がどう見えますか?」と尋ねてきた。
――よくいる貴婦人にしか見えない。
印象に残らない。
「なるほど。《認識誤認》の魔法か」
「はい。貴方と同じです。認識誤認で変装しています」
少女の言葉を受け、ベルンを見ると、
何らかの魔法で確認したらしく、ベルンは頷いた。
「部屋から出ていきましたね」
「はい。でも、隣の人は気づいていません」
(なるほど。相当に高度な魔法使いと見える)
そんなことを考えていると、
セレナはつかつかと歩き、テーブルのワインを片手に取ると――
どばーーーっ!!
なぜか自分の頭からぶちまけ、
会場を騒然とさせたのだった。
***
簡単な仕事だった。
貴族のパーティーへ忍び込み、魔石を盗んで逃げる。それだけのはずだった。
パーティーの最中は盗みやすい。
客が多いため、普段なら作動させている魔力警報器を切ることが多い。
今回のような大規模パーティーだと魔力所持者が多く、
警報器が誤作動を起こすためだ。
誤認魔法を使って視認を誤らせれば、会場内を自由に歩ける。
そして魔法と盗賊技術を駆使し、こっそり魔石を盗む。
もちろん、そのまま逃げるのはまずい。
このタイミングで姿を消せば、かえって怪しまれる。
犯人は宝石を盗み、いつも通り会場に戻った。
貴族たちは相変わらずくだらない話に花を咲かせている。
「大変です!! 宝石が盗まれました!!」
「いったい、いつ!」
「この十分の間です! この十分の間に会場にいなかった者は?」
貴族たちはガヤガヤと騒ぎはじめる。
「この方はずっと一緒に話してました」
「誰も出ていってないぞ」
自分の隣にいた貴族も、
「この方も一緒にいました」
と証言してくれる。
もちろん彼女が嘘をついているわけではない。
誤認魔法で“そう錯覚させて”いるのだ。
「そうか……では一体だれが」
相手が貴族とあれば、警備隊もこれ以上強く出られない。
最後は持ち物検査が厳しくなるが、それも簡単に突破できる。
大量の魔石の装飾品を身につけ、
それらにも誤認魔法をかけておけば、どれも“強い魔力反応”が出る。
鑑定士も見抜けない。外へ出るのは容易い。
今回も完璧だ――。
そう確信した、その瞬間。
ちょんちょん、と裾を引っ張られた。
「すみません。貴方、私のこと知ってますか?」
白いドレスを着た少女――セレナが顔を覗き込みながら尋ねる。
「あら、お嬢さん? 誰かしら。初めて見る顔ね?」
犯人が言った瞬間、周囲の空気が凍りついた。
「え?」
見渡す犯人。
「あれ見てて、あの子を知らないはないよな?」
「ありえませんわよね?」
という声が聞こえ……。
「犯人みつけましたーー!!!!」
一斉に警備兵が飛びかかってくるのだった。




