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17話 お巡りさんこの人です(。・∀・)ノ゛

「な、何これ……光?」

「頭の上に……変な線が……?」


 最初は現れた幻想的な光の光景に見惚れていた貴族たちがやっと見える光の中に紫の光があることに気づきざわめき始めた。


 貴族たち全員の頭上に、もやもやとした“紫の光”が浮かんでいる。

 しかも紫の光は宰相やセレナたちを除き、ほぼ全員にまとわりついているのだ。


 恐怖と嫌悪と混乱が、波紋のように広がっていく。


「今、君たちが体験しているのはわが婚約者であり神子であるセレナの《魔力視認》のギフトの力。どうだね?神の祝福をその身をもって体験するのは?」


 セドリックが演説するかのような声が会場内に響き渡る。声に嘲笑を含みながら。


「神の祝福?」


「そう神子の力は神より祝福されたものだけが使える特別な力、神に愛されしものだけが使えし特権。そして、これこそが、私が“配偶者の能力”にこだわった理由」


 セドリックがぱちんと指を鳴らすと、そのまま光が空を舞い、光る蝶やきらきらとした光が会場全体に現れる。


「わぁ、きれい」エルマーが感嘆の声をあげ、貴族たちがその幻想的な光景に見惚れる。


「これを視認できるのは、今この場にいる者。

 そして神の祝福を行使している我々のみ――なぜそれができるのか、それが私の能力」


 言って、セドリックが手を掲げ――


「愛を誓い合った者の祝福を周りと共有できる『ギフト共有』」


 と、言葉を紡いだ瞬間。蝶たちが爆ぜた。

 そして宰相の声色が変わる。


「さて――先ほど君たちは言ったな。

 “紫の光は悪魔”の証拠だと」


 宰相はセレナを優しく下すと、おもむろに貴族たちに向かって歩き出す。


「その論理でいくならもちろん“悪魔の光”を頭にまとっている君たちは私からみると完璧に悪魔だ」


 宰相の手が剣の柄に添えられる。


「……っ!」


 貴族たちの顔が、一気に蒼白になった。


 自分たちの頭に漂う紫のもやが、はっきり見え、それにたいして


 宰相。

 セレナ。

 ベルン。

 そしてエミリア。


 彼らの頭には、紫の光はまったくない。


「君たちはこう言った。悪魔は殺せと」


 ピシィッ……!


 空気が凍った。


 セドリックがすらっと剣を抜き放ち、剣を構える。


「さて、君たちの主張通りのことをしようじゃないか。

 これは君たちの自身の望んだことだ異論はないだろう?」


 にたぁっとセドリックが笑う。

 とたん、会場にいた者だれもが恐怖で顔をひきつらせた。


「ひっ! 違う!! 私は悪魔なんかじゃない!!」


 一人の貴族が悲鳴をあげて恐怖のため崩れ落ちる。

 声高に「悪魔は殺せ」と叫んだ貴族だ。


「いやいや、悪魔はうそつきだから信じてはだめなのでしょう?

 悪魔は殺さないといけませんねぇ~?」


 ベルンが笑いながらそういいながら


 がちゃり。


 と、最新式の近代魔道具――多弾式魔導銃を取り出しこれ見よがしに装填した。



 とたん。


 その場の誰もが理解した。

 自分たちこそが処される対象であることを。


「違う!!私は悪魔なんかじゃない!!」

「助けてくれ!!魔族じゃない!!」


「大体お前が殺せなんていうから!」

「なんだと俺だけのせいなのか!?」

「わ、私はそんなこと一言も言ってなかったわ」


 会場に怒号が飛び交う。

 恐怖でその場から逃れようとするもの。

 醜くののしりあうもの。

 互いに互いの罪をなすりつけあうもの。

 恐怖が会場を支配したその瞬間。


「大体、紫の魔力が魔族だなんて誰が決めたんだ!!!」


 貴族の一人が殺されまいと叫んだその瞬間。


 どんっ!!!!!


 宰相が魔法をこめた剣を床に突き刺したその衝撃で、視線が再び宰相に戻る。


 そして、先ほど叫んだ貴族のほうに宰相は視線を向けると


「素晴らしい。貴公の言う通りだ」


 と、わざとらしい笑みとともに手をたたいてほめたたえた。


「……え?」


「へ……?」


「考えてみたまえ、『紫の魔力が魔族』。そんな話を君たちはいままで習ったことがあるのかね?」


 会場全体がざわつく。


「……確かにそんな話、聞いたことないわ」

「あれ、そういえば俺も初めて聞いたきがするぞ。そもそも誰が最初に言い出した?」

「そうだよな。よく考えたらそんなこと誰から聞いたんだ?」


 自分たちの“前提”が崩れ始め、混乱が広がっていく。


 猜疑は疑念に。

 疑念は疑惑に変貌していく中


「私、誰が言ったか知ってます」


 混乱を打ち破ったのはセレスだった。


 静かだが、よく通る声。


 会場が水を打ったように静まり返り、全員の視線が、注目が、期待がセレナに集まる。


 セレナは、ゆっくりと会場を振り返り――


「あの人が言ってました」

 まっすぐに指を伸ばした。



 その指の先にいたのは――


 真理の灯教会・教主ハインリッヒだった。


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