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13話 逮捕だー!(`・ω・´)

 

 ざっ……ざっ……ざっ。


 私兵を率いて、第二皇子は歩いていた。

 向かうのは――リーデン伯爵家のパーティー会場。


 そこに“憎むべき悪魔”がいる。


 本来なら、これは伯爵家の怪異を止めてくれた少女への感謝を込めた祝賀会だった。

 恥ずかしがり屋の彼女のために非公開とされたが、

 参加者は皆、誰のための会かを知っている。


 きっと会場は和やかで、笑いに満ち――

 本来なら、誰もが幸福な時間を過ごしているはずだ。


 だが。


(あれは悪魔だ……兄様の邪魔になる)


 胸の奥で、囁く声がした。


 小さな頃から兄こそ最も尊敬する人物だった。

 優しく、聡明で、気品があり――誰よりも皇子らしかった。


 けれど周囲は違った。

 兄を排除し、第二皇子を帝位に押し上げようと騒ぎ立てる者ばかり。


(どうして兄様が……兄様こそが正当な後継なのに)


 望んでもいないのに「皇位継承の有力候補」と担ぎ上げられ、

 兄と距離ができ、それが耐えられなかった。


 そんな心を理解してくれた“彼”――

 唯一、孤独を癒してくれたのが教祖だった。


(あの少女は悪魔だ。兄の邪魔になる。

 彼女さえ排除すれば、兄と自分の仲を裂こうとする者はいない)


(排除しなければ。どんな手でも使って……)


 第二皇子の瞳に、不気味な光が宿った。


 ****


「今日はお集まりいただき、ありがとうございます。どうぞ楽しんでいってください」


 リーデン伯爵がグラスを掲げ、会場は拍手で満たされていました。


「なんだか……すごいね。緊張しちゃう」


 姉が笑いながらグラスを軽く上げています。

 私もそれに習いました。


 伯爵が私たちのために開いてくれた祝賀会。

 本当は恥ずかしくて辞退したけれど、

 どうしてもと言ってくださったので受けることにしました。


「ほんとうにありがとうね、お姉ちゃん!」


 エルマー君が無邪気に笑ってくれます。

 ちょっと恥ずかしいです。


 家族以外の誰かが、自分のためにパーティーを開いてくれるなんて思ってもみませんでした。


 かつて私は、魔力が視えるせいで外に出るのも怖くて、

 家に閉じこもってばかりでした。


 姉と父が支えてくれたからこそ、今こうやって外にでて、皆と祝える自分がいるのです。嬉しそうに笑って話しかけてくれるエルマー君を見て、私は少し、胸が熱くなるのでした。



「ちょっとママのところに行ってくるね、お姉ちゃん!」


 パーティーが中盤に差しかかった頃、

 エルマー君は夫人の方へ元気よく走っていきました。


 私は視線で彼を追い――そこで気づきます。


 ――伯爵夫人の様子が、どこかおかしい、と。


 そして何より。


 彼女の隣に控えていた男が、こちらを見た瞬間――

 ぞくりとするほど冷たい笑みを浮かべたのです。


 と、同時に。


 ばんっ!!


 会場の扉が勢いよく開き、

 大勢の兵士たちが、どかどかとなだれ込んできました。


「きゃっ!?」「何事ですか!?」


 場がざわめき、リーデン伯爵がパーティーの客を守るかのように前に出ます。

 注目の集まる中。


 兵士の列が割れ――

 きらびやかな衣装に身を包んだ第二皇子が姿を現しました。


 そして私を指さし、高らかに宣言します。


「倉庫爆破事件、並びにハルシュタイン商会より盗聴器が発見された件――

 皇子権限をもってお前たちを逮捕する!!」


 ――と。


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