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土の聖子の回復魔法

 これは、ルカが中級回復魔法を習得して、しばらく経った時の話である。

 今日もいつも通り、ルカのもとに皆がやって来ている。

 本当は回復魔法の練習をしたいところだが、お付きに怒られるのも嫌なので、ルカはきちんと皆の前に出る時間を取るようにしている。

 今日は午前は皆に崇められ、午後からは回復魔法を練習しようと思っている。

 ルカは回復魔法を練習できる時間が減ってしまうので、アガサに申し訳ないと思っているが、アガサはルカの事情を理解しているので、特に何も気にしていない。それどころか、ルカが一刻も早く魔法の練習をしたがっているのを知っているので、その時間を取れるようにルカについて行って、スケジュールを管理したり、周囲の人たちの誘導をしたりしている。

 今も、ルカを後ろから見守っている。

 アガサは、一生懸命でどこか不器用なところもあるルカのことを可愛がっており、気分は孫を見守るおばあちゃんだ。

 ルカの周りに、小さな子どもが集まり始めた。

 アガサは穏やかに微笑みながら、遠くからその様子を見守っている。

「ルカ様!こんにちは!」

「ルカ様!ルカ様!」

「ルカ様!こっち来て!」

 ルカは子どもたちに促されるまま、あちらこちらをぐるぐると回っている。

「こら!ルカ様を連れ回したら駄目ですよ!」

「そうですよ!」

 それを見ていた、大人たちが子どもたちを叱っている。

「僕は大丈夫ですよ」

 だが、ルカがキラキラとした笑顔で明るく言うので、大人たちは渋々引き下がる。

 そんな暖かい時間がしばらく続いていた。

 ルカがそろそろ魔法の練習を始めたいなと思っていたその時、ルカの後ろから、ドタンという鈍い音が聞こえた。

 振り向くと、そこには転んでしまって、地面に手をついている子どもがいた。

 地面につま先が突っかかって、バランスを崩してしまったのだろうか。

 そんなことを考えていたら、その子どもは泣き始めてしまった。

「うわあぁぁあぁあああ!!」

 しかも、かなり大きな声で泣いているので、周りの子どもも皆びっくりしている。

 よく見ると、膝から血が流れていた。

 アガサが子どもに回復魔法をかけに行こうと思っていた時、ルカが動いた。

 ルカは、子どものもとに駆け寄って、膝の怪我の前に手をかざし、つい最近覚えたばかりの中級回復魔法を発動した。

 ルカの手から、淡い色の光が溢れて、それが子どもの怪我を包んでいく。

 そして、子どもの怪我は綺麗に治った。

「だ、大丈夫ですか?痛くないですか?」

 ルカは、人に回復魔法を使うのは初めてだったので、不安になりながら、子どもに尋ねる。

 すると、子どもは無邪気な笑みを浮かべ、大きく頷いた。

「ありがとう!ルカ様!」

 その言葉に、不安そうなルカも笑顔になる。

 この出来事は、ルカに大きな自信を与えた。

(想像以上に成長していますね)

 アガサはそう思いながら、午後の授業の用意をしようと、部屋に向かった。


 その日の午後、アガサはルカの手を包むように握りながら、穏やかに言った。

「流石でした、ルカ様。どうか、その優しい心をなくさないようになさってくださいね」

「はい!」

 ルカは、自信満々な誇らしげな顔で、大きく返事をした。


 この後、ルカは絶望的な状況にぶつかることになる。

 だが、今回の出来事で自信を持つことができたルカの道は、遠くまで続いているのかもしれない。

大精霊の器が辿った道を読んでいただきありがとうございました!本日でこの作品は完結となります。今まで読んでくださった方々のおかげで、ここまで続けることができました。拙い作品でしたが、読んでくださってありがとうございました!これからも、たくさん作品を書いていくので、まだまだよろしくお願いします!

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