土の聖子は囲まれて
ルカの周りには本当に人が多い。
皆、ルカを崇めているのだ。
だが、ルカは正直、人と接するのがあまり得意ではない。
嫌いというわけではないが、何を言えばいいのか分からなくなってしまうのだ。
それを周りの人間はある程度理解しているので、ルカが静かに過ごしたいと言えば、数人のお付きは配置されるが、渋々立ち去っていく。
今日も、ルカは静かに過ごしたいと言ったので、後ろにお付きが二人ほどいるが、かなりのびのびと過ごせていた。
ルカは最初、部屋で本を読んでいたのだが、少し体を動かしたい気分になった。
そして、あることを思いつく。
「あの、散歩に行きたいんですけど……」
ルカは許してもらえるか不安なようで、後ろにいたお付きにおずおずと聞いた。
お付きは顔を見合わせて、神妙な顔でコソコソと話し合い始めた。
しばらく経って、ルカの方を向いて、微笑んだ。
「建物内なら良いですよ」
ルカの不安で少し暗かった顔が、ぱあっと明るくなる。
「やった!」
正直、許してもらえるとはあまり思っていなかったので、かなり嬉しい。
お付きが、ルカに薄手の上着を掛ける。
そして、ルカは楽しそうに部屋を後にした。
建物の外に出ることは許されなかったが、この建物はかなり広いので、建物内の散歩でも多少は満足できるだろう。
とりあえず、ルカはすべての階を一周しようと思い、一階に降りるため、階段を下りようとした。
その時、ルカが階段の段を踏み外してしまい、階段の上から滑り落ちてしまった。
「「ルカ様!!!!」」
お付きが血相を変えて、ルカのもとに駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫ですよ。ちょっと足を怪我しただけです」
ルカは微笑みながら、お付きを落ち着かせるように穏やかな声で言った。
だが、ルカの足首は赤く腫れ上がっていて、立ち上がるのは大変そうだ。
ルカは足首がかなり痛むが、お付きを安心させようと思い、何もないかのように言ったのだ。
それでも、お付きは慌てており、一人は他の人を呼びに行った。
「大丈夫ですか、ルカ様。足首以外に?」
「ないです」
すると、廊下の向こうから、ものすごい勢いで、人がたくさんやってきた。
お付きが人を呼びに行ったのはつい先ほどなのに、相変わらず来るのが速いなとルカは思った。
「ルカ様大丈夫ですか!!??」
「大丈夫です……」
ルカは苦笑いで、皆を見つめている。
そして、お付きが手早くルカを抱き上げ、ルカを部屋に運ぶ。
部屋に着くと、豪奢なソファーに座らせられた。
「包帯はどこ?あなたは薬を取ってきてちょうだい」
お付きは華麗に皆に役割を与える。
そして、ルカの足首に優しく薬を塗り、丁寧に包帯を巻いていく。
「すみません。僕が転んでしまったせいで……」
ルカは、なんだか申し訳ないと思い、落ち込みながら、お付きに謝る。
「そんなそんな!ルカ様は悪くありませんよ」
お付きはルカを安心させようと、穏やかな笑みを浮かべ、ルカの背を優しく撫でる。
「ありがとうございます」
ルカはお付きの顔を見つめながら、静かにお礼を言う。
この村は居心地が良いと思ったことはなかったが、なんだかんだでみんな優しくて良い人だなとルカは思った。
つい先程まで暗かったルカの顔が、心なしか少し柔らかくなっている。




