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大精霊の器が辿った道  作者: 安達りあ
土の聖子編
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第八話 安心をもたらして

 今、村の中央の建物に、村の人間が全員集められている。

 今から、村で起こっている異変についての情報共有を行なうのだ。

 ルカもすべての異変を把握しているわけではないので、説明はお付きの代表がやってくれるそうだ。

「今起こっている主な異変は、子どもの失踪、多数の家畜の突然死、一部地面の変色、井戸水の減少です」

 ルカが知っていたのは子どもの失踪と家畜の突然死だけだったのだが、どうやらルカの知らないところで他にもたくさんの異変が起こっていたらしい。

「いずれも原因は不明です。原因を調査していますが、まだ手がかりを全くつかめていない状態です」

 その言葉に、ざわめきが広がる。

 無理もないだろう。身の回りで、たくさんの原因不明の異変が起こっているのだから。

「ひとまずの対策ですが、なるべく不要な外出をしないようにしてください。そして、一日に一回、家族が全員揃っているか確認してください。何か異変があれば、すぐに報告するようにしてください。話は以上です」

 代表者からの話は終わった。

 だが、村の人々は出ていこうとせず、不安そうな目でルカを見つめている。

 ルカはそんな皆をしっかりと見据えて、大きく息を吸った。

「皆さん!落ち着いてください!」

 ルカが声を張り上げると、村の人々の顔がほんの少しだけ明るくなる。

「早急に原因の解明をします!できることはすべてやります!なので、どうか、落ち着いて、ください!」

 感極まっているのか、ルカの目には涙が滲んでいる。

 代表者や後ろに控えていたアガサはその様子をただただ見守っている。

 場に沈黙が漂った。

 だが、すぐに皆揃って笑顔になって、お互いに顔を見合わせている。中には、泣いている人もいる。

 ルカは安堵のため息をついた。

 そして代表者に近づいて、小声で話しかける。

「……これで良かったかな?」

「ええ。完璧でございました」

 その言葉に、不安そうだったルカの顔も微笑みに変わる。

 ルカとて不安だったのだ。

 だが、どうしてもみんなを安心させたいと思ったのだ。

 あれから数日後、村に国王からの使者が来た。

 どうやら、再びルカと交渉を試みるために来たらしい。

 だが、村に到着してすぐに、村が静かすぎることに気づいたようで、急いでルカの元にやって来た。

 事前に届いた手紙よりも早く使者がルカのいる建物に来たので、ルカの周りの者たちは村の異変で混乱していることもあって、前のようにルカを隠すことができなかった。

 そして、ルカと使者はばったり出会ってしまったのである。

 使者は小さな子どもを見つけた瞬間、血相を変えて駆け寄った。

「もしかして、ルカ様ですか!?」

「え、はい。そう、ですけど……」

 あまりにも急なことだったので、ルカは非常に戸惑っている。

 そのことに気づいた使者が、いつも通りの真摯な態度を取り戻し、背筋を伸ばす。

「失礼しました。実は、ルカ様にお話したいことがあるのです」

「……えーっと……」

 ルカは村の人間以外と話したことはほとんどないので、人見知りを発動している。

 その時お付きが、使者と出くわしてソワソワしているルカを見つけた。

「ルカ様!大丈夫ですか!?」

「はい、大丈夫です」

 そして、お付きは使者を一瞬睨み、低い声で話し始めた。

「ルカ様と話をするのは駄目です。どうかお引き取りください」

 だが、使者も帰れと言われて帰れるはずがない。

「そこをどうにか!お願いします!」

 使者とお付きのやりとりを見ていたルカは、どうしようか迷っていた。

 いつものようにお付きの言うことに従うか。それとも、使者の話を聞くか。

 結論はすぐに出た。

「そのお話、お伺いします」

 ルカは真剣な眼差しで、使者を見据える。

「ルカ様!駄目です!」

 お付きは必死に止めようとしている。

 だが、ルカはそれでも引き下がらない。

「お願いします。あなたも後ろで聞いていて大丈夫ですから。それに、話を聞くだけです」

「……ですがっ……」

 ルカが目を細めてお付きを睨む。

「ここから逃げますよ?」

 お付きは言い返そうとしたが、観念したようで、ため息をついた。

「少しだけですよ……」

 ルカはいつも通りの笑顔を浮かべた。

「ありがとうございます。では、行きましょう」

 そして、ルカは使者を部屋に連れて行く。

 ルカは初めて周りの人間に反抗したのだ。

 そして、これからの使者の話でとんでもない事態に陥っていたことに、気づくこととなる。

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