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大精霊の器が辿った道  作者: 安達りあ
火の騎士編
34/66

第十話 戦場へ

 マルクが所属する第一部隊は、基本的に最前線に出る場合が多い。

 今回もそうだ。

 第一部隊が最前線で魔物を抑え、第三部隊がその後ろから魔法で魔物を殲滅する。第二部隊は空から魔物の数を常に把握しつつ、スタンピードの原因を探る。第四部隊は二手に分かれ、怪我を負った騎士の治療と街の住民たちの避難誘導に徹する。

 騎士団はすでに、北の森付近にある砦に到着している。

 第二部隊は森の様子の確認に、第四部隊は街の避難誘導に向かっている。

 マルクたちはスタンピードがいつ起こっても動けるように、砦で装備を整えたりしている。

「さすがにこの状況で喧嘩を売ってくることはしないんだね。ジュリアン君」

 コリンが離れた場所で剣を磨いているジュリアンを見つめながら、独り言を呟くように言う。

 それに対して、大層苛ついているアイラが愚痴をこぼす。

「さすがにね。でも、これが終わったら、どうせ嫌みを言ってくるよ」

 マルクは頑張っていじめられた記憶を探っているのか、下を向いて唸っている。

 三人の様子がおかしいことに気付いた、ガストンがマルクたちに近づいてきた。

「どうしたんだ、お前ら」

 ガストンは部隊長の中でも比較的穏やかな方で、滅多に怒ったりはしない。

「スタンピードが起こるかもしれないんだ。気を引き締めなさい」

「すみません……」

 コリンとアイラがしょんぼりしてしまった。

 二人を見て、少し険しかったガストンの表情が柔らかくなった。

「それで、なんの話をしていたんだ?」

 コリンとアイラが同時に、マルクのほうへと顔を向ける。

 マルクはキョトンとしていて、何も理解していないようだ。

 だが、コリンは騎士団の規律を乱すような問題を放置しておくわけにはいかないと、ガストンにすべてを話す決心をした。

「実は、ジュリアン君がマルクをいじめているんです」

 その言葉に、ガストンは一気に顔を顰める。

「なんだと?騎士団に戻ったら詳しく話を聞かせてもらう。もちろんエリーナ団長にも報告するぞ」

「ありがとうございます」

 コリンが頭を下げて言う。

「仲良くしたいですしね!」

 相変わらず呑気なマルクに驚いたガストンが苦笑する。

「仲良くなれるのか……?」

 マルクは歯を輝かせて、快活な笑顔を貫いている。

 その時、第二部隊の騎士数名が慌てて部屋に入ってきた。

「森の奥から大量の魔物がこちらに向かっていることを確認しました!原因は不明です。直ちに準備をお願いします!」

 その瞬間、全員が荷物を持って立ち上がった。

 ガストンが前に出て、全員それについていく。

 森に来ると、もうすでに魔物がちらほらと出てきていた。

 それを倒しながら、どんどん森の奥へと進んで行く。

 ある程度進んだところで、恐ろしい量の魔物が溜まっているところに遭遇した。

 ガストンが全体の指揮を執る。

「全員、魔物共を殲滅しろ!」

 その声に反応して、騎士たちが剣を抜き、魔物に向かっていく。

 マルクも剣に、魔法で炎を帯びさせて魔物を次々と斬っていく。

 コリンも負けじと素早い動きで、魔物たちを薙ぎ払っていく。

 アイラは巧みな剣捌きで、魔物たちを撹乱させて隙を突いていく。

 その時、空から声が降り注いだ。

 スタンピードの原因を探っていた、第二部隊だ。

「スタンピードの原因が判明しました!奥の崖で大規模な落石があったようです!なので、これを対処することに徹してください!」

 今回のスタンピードは魔物たちの混乱によるものなので、魔物たちを撃退するだけで済むようだ。

 原因を排除しなくていいのは、かなり好都合だ。

 そう、思っていた。

 憎しみは、状況を選ばないものであるということを、忘れていたのだ。

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