第四話 新米の騎士
マルクとコリンは騎士団の入団試験を受けに、王城に来ている。
第一の筆記試験を終え、今から第二の試験である実技試験を受ける。
二人とも、筆記試験である緊張に慣れたのか、凛々しい顔で前を向いている。
試験官が順番に名前を呼んでいる。
これで、実技試験の対戦相手が発表される。
「第五チーム、マルク・フェルドとアイラ・ヴァンス。第六チーム、コリン・スタイナーとジュリアン・ローズ」
「分かれたな」
「そうだね。でも、お互い頑張ろうね」
「ああ」
マルクとコリンはそれぞれ、案内された場所へと向かう。
そこで、それぞれの対戦相手と向き合う。
試験官が全員揃ったのを、確認する。
「一同、礼!」
「「よろしくお願いします」」
その場にいた、全員の声が綺麗にそろった。
そして、腰から下げていた剣を引き抜く。
試験官が大きく息を吸い、声を張り上げる。
「それでは、はじめ!!」
その瞬間、全員が動き出す。
マルクは知らない人が相手なので、まずは間合いを探るように、軽く打ち合いをしている。
対して、コリンは知らない人が相手なのに、すでにある程度の間合いは掴んでいて、積極的に攻撃を入れている。
中庭には、剣を打ち合う音が絶え間なく響いており、空気が暑く、揺れている。
王城の高い階から、白い髭を撫でつつ、ちゃっかり試験を見学している国王に気づく者なんていない。
二組とも、火花を散らすこと数十秒、ほぼ同時に結果が出た。
コリンは積極的な攻撃で、相手の体勢を崩し、勝利した。
マルクは攻撃のわずかな隙の間に、懐に入り込まれ、判断を誤り、敗北した。
他のチームも試合が終わって、訓練場は皆の上がった息しか聞こえなくなった。
その時、試験官が全体を見渡して、声を張り上げる。
「一同、礼!」
「「ありがとうございました」」
礼を言ったあと、すぐにマルクはコリンのところに駆け寄った。
「くっそ、負けちまったぜ」
「え?負けちゃったの?」
「ああ。悔しいが完敗だった」
「君がそんなにやられて悔しがってるところ、初めて見たよ」
「うっせ」
マルクはアイラという女性に負けたことを、大層悔しがっている。
コリンは勝ったにも関わらず、何事もなかったかのようにケロッとしている。
だが、勝敗は試験にあまり影響はないので、マルクは負けてしまったが、大幅に減点されてはいないだろう。
それに、次は魔法の試験がある。
マルクは元の位置に戻り、魔力を体中に意識して、巡らせる。
魔法の実技試験の準備が終わったのか、一旦場を離れていた試験官も戻ってきた。
「では、魔法の実技試験を始める。それでは、はじめ!!」
訓練場の空気が、大きく揺れ始めた。
マルクははじめから魔力量を考えずに、どんどん上位の魔法を連発している。
対して、コリンは防御に徹しながら、下位の魔法を敵の反応を伺うように撃っている。
たくさんの人が、同時に魔法を使っているので、それなりに騒音がしている。
だが、誰もそれに気づいていないのではないかと思うほど、全員が集中している。
結果は予想していたよりも、あっさりと出た。
マルクは上位の魔法を連発し、相手を無理矢理下がらせて、トドメに上位の魔法をぶち込み、勝利した。
コリンも徹底的な防御と、相手の弱点の把握で、勝利した。
試験官が全体を見渡し、今までで一番大きく息を吸い、全員を見つめて、声を張り上げた。
「これにて、実技試験は終わりだ。最後の面接試験も気を引き締めるように」
その後、マルクもコリンも無事に面接試験を終え、帰路についている。
「いやぁ~、意外とあっさり終わったな」
「うん。なんか、楽しかったね」
「合格してると良いな」
「推薦だし、受かってるでしょ」
結果は明日の昼頃に、自宅に届くことになっている。
それまでは、結果は分からない。
「じゃあ、また明日」
「ああ。一緒に合格しような」
ーー翌日。
家に、鮮やかな青色の、鳥が止まった。
鳥は立派なクチバシに、巻いた紙を咥えている。
マルクはそれを受け取り、紙を読んですぐに、家から飛び出した。
「おい!コリン!」
「マルク!」
「「合格した!!」」
二人は何回も飛び跳ねて、喜んでいる。
その顔は、笑顔で満たされている。
二人はこれから、どのように道を歩んでいくのだろうか。
マルクとコリンを温かい太陽が、見守っている。




