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大精霊の器が辿った道  作者: 安達りあ
火の騎士編
28/31

第四話 新米の騎士

 マルクとコリンは騎士団の入団試験を受けに、王城に来ている。

 第一の筆記試験を終え、今から第二の試験である実技試験を受ける。

 二人とも、筆記試験である緊張に慣れたのか、凛々しい顔で前を向いている。

 試験官が順番に名前を呼んでいる。

 これで、実技試験の対戦相手が発表される。

「第五チーム、マルク・フェルドとアイラ・ヴァンス。第六チーム、コリン・スタイナーとジュリアン・ローズ」

「分かれたな」

「そうだね。でも、お互い頑張ろうね」

「ああ」

 マルクとコリンはそれぞれ、案内された場所へと向かう。

 そこで、それぞれの対戦相手と向き合う。

 試験官が全員揃ったのを、確認する。

「一同、礼!」

「「よろしくお願いします」」

 その場にいた、全員の声が綺麗にそろった。

 そして、腰から下げていた剣を引き抜く。

 試験官が大きく息を吸い、声を張り上げる。

「それでは、はじめ!!」

 その瞬間、全員が動き出す。

 マルクは知らない人が相手なので、まずは間合いを探るように、軽く打ち合いをしている。

 対して、コリンは知らない人が相手なのに、すでにある程度の間合いは掴んでいて、積極的に攻撃を入れている。

 中庭には、剣を打ち合う音が絶え間なく響いており、空気が暑く、揺れている。

 王城の高い階から、白い髭を撫でつつ、ちゃっかり試験を見学している国王に気づく者なんていない。

 二組とも、火花を散らすこと数十秒、ほぼ同時に結果が出た。

 コリンは積極的な攻撃で、相手の体勢を崩し、勝利した。

 マルクは攻撃のわずかな隙の間に、懐に入り込まれ、判断を誤り、敗北した。

 他のチームも試合が終わって、訓練場は皆の上がった息しか聞こえなくなった。

 その時、試験官が全体を見渡して、声を張り上げる。

「一同、礼!」

「「ありがとうございました」」

 礼を言ったあと、すぐにマルクはコリンのところに駆け寄った。

「くっそ、負けちまったぜ」

「え?負けちゃったの?」

「ああ。悔しいが完敗だった」

「君がそんなにやられて悔しがってるところ、初めて見たよ」

「うっせ」

 マルクはアイラという女性に負けたことを、大層悔しがっている。

 コリンは勝ったにも関わらず、何事もなかったかのようにケロッとしている。

 だが、勝敗は試験にあまり影響はないので、マルクは負けてしまったが、大幅に減点されてはいないだろう。

 それに、次は魔法の試験がある。

 マルクは元の位置に戻り、魔力を体中に意識して、巡らせる。

 魔法の実技試験の準備が終わったのか、一旦場を離れていた試験官も戻ってきた。

「では、魔法の実技試験を始める。それでは、はじめ!!」

 訓練場の空気が、大きく揺れ始めた。

 マルクははじめから魔力量を考えずに、どんどん上位の魔法を連発している。

 対して、コリンは防御に徹しながら、下位の魔法を敵の反応を伺うように撃っている。

 たくさんの人が、同時に魔法を使っているので、それなりに騒音がしている。

 だが、誰もそれに気づいていないのではないかと思うほど、全員が集中している。

 結果は予想していたよりも、あっさりと出た。

 マルクは上位の魔法を連発し、相手を無理矢理下がらせて、トドメに上位の魔法をぶち込み、勝利した。

 コリンも徹底的な防御と、相手の弱点の把握で、勝利した。

 試験官が全体を見渡し、今までで一番大きく息を吸い、全員を見つめて、声を張り上げた。

「これにて、実技試験は終わりだ。最後の面接試験も気を引き締めるように」


 その後、マルクもコリンも無事に面接試験を終え、帰路についている。

「いやぁ~、意外とあっさり終わったな」

「うん。なんか、楽しかったね」

「合格してると良いな」

「推薦だし、受かってるでしょ」

 結果は明日の昼頃に、自宅に届くことになっている。

 それまでは、結果は分からない。

「じゃあ、また明日」

「ああ。一緒に合格しような」


ーー翌日。

 家に、鮮やかな青色の、鳥が止まった。

 鳥は立派なクチバシに、巻いた紙を咥えている。

 マルクはそれを受け取り、紙を読んですぐに、家から飛び出した。

「おい!コリン!」

「マルク!」

「「合格した!!」」

 二人は何回も飛び跳ねて、喜んでいる。

 その顔は、笑顔で満たされている。

 二人はこれから、どのように道を歩んでいくのだろうか。

 マルクとコリンを温かい太陽が、見守っている。

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