第三話 自信と笑顔
先生から、騎士団への推薦状をもらってから、二ヶ月ほど経っただろうか。
マルクとコリンは騎士団の入団試験を受けるために、騎士団の本部ーー王城に来ていた。
入団試験は主に三つに分かれている。筆記試験、実技試験、それから面接だ。
入団試験は、王城の騎士団ということもあって、多少難易度は高いと言われている。だが、二人は推薦で来ているし、イグニス学校でも上位の成績を収めていたので、問題はないだろう。
二人は今、筆記試験の会場である王城のなかにある講堂へ向かっている。
王城はイグニス学校とは比べ物にならないくらい、豪奢で、廊下も広くて長い。
「き、緊張するね」
コリンは緊張で言葉は震えているが、背筋はぴんと伸びていて、堂々としている。
「ああ、そうだな。てか、講堂はこっちで合ってるのか?」
王城はとてつもなく広い上に、講堂までの案内もない。
玄関で案内役から、行き方を教えてもらったが、マルクは自信がないようだ。
「うん。合ってるはずだよ」
コリンはマルクよりも記憶力が良いので、覚えているようだ。
そうこうしているうちに、講堂の扉が見えてきた。
コリンの表情が一段と、引き締まる。
「頑張ろうね、マルク」
「頑張ろうな」
マルクのその言葉はコリンを励ますと同時に、自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
講堂の扉を開けると、マルクとコリン以外にも試験を受ける人たちが数十人ほどいた。
皆、参考書を開いたりして、試験開始に備えている。
マルクとコリンは入り口に立っていた、案内役に指示された席に座る。
「いよいよだね」
コリンが筆記用具を用意しながら、呟くように言う。
「俺らなら大丈夫さ」
マルクは太陽のように、笑ってみせる。
その時、講堂の教卓のところに試験官が現れた。
そして、試験官が筆記試験について説明をし、テストを配り始める。
講堂の空気が急に、張り詰める。
マルクもコリンも、緊張している。
だが、二人にこの試験を突破できる実力は、十分にある。
だから、二人は自信を持って、紙に向かっている。
試験終了の鐘が鳴った。
マルクとコリンは顔を見合わせて、クスクスと笑った。
「結構簡単だったな」
「そうだね」
マルクもコリンも、かなり良い点数を取れた自信があるらしい。
だが、試験はこれで終わりではない。
「次は実技試験だな。よし、中庭に行こうぜ」
「うん!」
実技試験は、王城の中庭で行われる。
王城で騎士団の練習場は、二ヶ所ある。
一ヶ所目が一番使われることの多く、今日の試験場でもある中庭にある訓練場だ。
そこでは主に、練習や簡単な模擬戦が行われる。
もう一ヶ所目は王城に隣接しており、実戦や他の騎士団などと合同演習を行うこともある森のなかの訓練場だ。
二人は荷物をまとめ、中庭にある訓練場に向かって、歩き始める。
実技試験は試験官が、適当に選んだ二人を一組として行われる。
その二人で、一回目が剣のみ、二回目は魔法のみで戦う。
勝敗はあまり関係なく、動きや技術が判断材料となる。
「誰と組むことになるんだろうな。もしかして、コリンだったりして」
「どうだろうね。結構人多かったし、可能性は低いと思うけど」
「そうだよな〜」
そうこうしているうちに、中庭に到着していた。
「ここだよね。ちょっと体動かしとこうか」
「そうだな」
実技試験開始までには、まだ少し時間があるので、二人は準備運動を始めた。
残る試験は、あと二つ。
それを突破しなければ、騎士団に入団することはできない。
二人は準備運動をしながら、同じことを考えている。
ーー絶対合格してやる。




