第二話 朝日が昇る
空は、鮮やかなオレンジに染められており、端の方は微かに紫が滲んでいる。
先ほど、騎士団への推薦状をもらった、マルクとコリンは二人並んで、帰り道を歩いていた。
「いや〜、騎士団だって!かっこよさそうだな!」
マルクが今にもスキップを始めそうなくらい、楽しそうな口調で話し出す。
コリンもマルクに同意するように、笑顔になる。
「だよね!」
その時、マルクが歩く速度を上げて、コリンより前に出た。そして、マルクはコリンの顔を見るために、振り返る。
「決めた!俺、騎士になるよ!コリンはどうするんだ?」
その言葉にコリンは、俯いた。
「……騎士はかっこいいけど、あんまり自信ないっていうか……」
コリンは不安げに、言葉を濁す。
そんなコリンに、マルクは笑顔を向けた。
「お前なら大丈夫だって!でも、悩んでみても良いんじゃないか」
「……うん。考えとく」
コリンは表情に少し不安を残しながら、マルクの顔を見つめた。
コリンはマルクの笑顔が、酷く眩しいな、と思った。
次の日、コリンの表情は変わっていた。
「僕も、マルクと一緒に、騎士になりたい!」
マルクは正直、驚いた。
コリンは頭が良くて、魔法も上手で、何でもできるすごい親友だ。
だが、少し気弱なところがある。
魔物に遭遇したら、弱い魔物だとしても怯えてしまったり、クラスの素行が悪い生徒に嫌がらせをされて、言い返せずに萎縮してしまったりすることが、しばしばある。
今の声だって、少し震えていた。
だからこそ、マルクは嬉しかった。
コリンがこれだけの覚悟を、決めた。
マルクはこの、気弱だけど、誰よりも勇敢な親友の隣に、立ちたいと思った。
「一緒に頑張ろうな!」
放課後、マルクとコリンは校舎の外にある、訓練場に来ていた。
騎士団に推薦とはいっても、多少の基準は越えなければならない。
マルクとコリンなら、難なく合格できるだろうが、合格したあとにも、正式に騎士になるための訓練や試験がある。
少しでもはやく、立派な騎士になるために、騎士団に入団する前から、訓練をしているのだ。
マルクとコリンはそれぞれ、訓練場の端に置いてある、木剣を手に取った。
今日は魔法ではなく、剣の練習をするようだ。
「俺、剣はあまり得意じゃないんだよなぁ」
マルクが独り言のように、ボソリと呟く。
何においても成績優秀なマルクだが、唯一剣だけが苦手だ。
苦手とはいっても、ある程度の成績はきちんと取れているので、決して下手なわけではない。
「何でなのさ。テストでも上位だったじゃないか」
コリンがマルクの発言に、疑問を持つ。
マルクは苦笑する。
「いやぁ~、だって成績は良くてもコリンには勝てないじゃないか」
魔法戦においてはマルクの方が強いが、剣においてはコリンの方が強い。
「だから、今から訓練するんでしょ」
「……うん。そうだな!」
コリンの言葉で、俯いていたマルクの顔が、上がる。
その顔は、やる気に満ちあふれている。
「頑張ろうな!コリン!」
「うん!」
マルクとコリンは並んで、訓練場の中央に向かって歩き出した。
その先には、太陽が、二人の顔と同じように、燦々と輝いている。
二人の未来が、待っている。




