表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大精霊の器が辿った道  作者: 安達りあ
風の殺し屋編
18/21

第七話 沈黙の淵から

 今、ノクターンは全員、アーノルド伯爵邸の周辺に身を潜めている。

 アーノルド伯爵邸の裏側の森にアウレリアンとサイラス、邸の屋根の上にクロウとヌルが、左側にある森にレオンとエレボスが待機している。

 今夜は、夜らしい冷たい風が吹いており、レオンの黒い外套がなびいている。

 全員、開始の時間を待っており、過ごし方は様々だ。


「もうそろそろですね。アウレリアン」

「ああ」

「帰ったらシチュー作りますね」

「それは楽しみだ」

 アウレリアンとサイラスは、仲良くおしゃべりをしている。


「…………」

「…………」

 クロウとヌルは、二人ともあまり積極的に口を開くことはない。


「うわ、かってぇ。お前も食うか?」

「じゃあその小さいの」

「ほらよ」

 レオンとエレボスは、干し肉を食べて、英気を養っている。


 それから十五分ほど経った頃だろうか。

 アーノルド伯爵邸の鐘が、夜の空に響いた。

 六時を知らせる鐘だ。

 それと同時に、ノクターンは動き出した。


 まず初めに動いたのはエレボスだ。

 エレボスが敷地内に侵入し、闇魔法を展開した。大広間に集まっている、アーノルド伯爵を始め、アーノルド伯爵夫人、アーノルド伯爵令息、使用人全員に、幻覚の魔法をかける。大広間にいた人々は、外の様子が見えなくなる。

 この時点では、まだ誰も異常に気づいていない。

 それと同時に、アウレリアンとサイラスが魔法で空を飛び、全体の様子を確認する。

 レオンが一歩踏み出すと同時に、風が唸り、正面玄関の警備兵の首が消し飛んだ。

 門にいた警備兵がそれを見て、悲鳴を上げる。

 エレボスが大広間にいる人間に、魔法をかけ、外の悲鳴が聞こえないようにする。

 レオンが風に乗って、門の警備兵のもとに、一瞬で移動し、その警備兵の首も風で消し飛ばす。

 ヌルがすぐさま警備兵を見えない場所に移動させ、地面の血痕を魔法で綺麗に消す。

 そこに何かが起こった気配は、もうない。

 直後にヌルが、人身売買の証拠を回収するために、屋敷内へ侵入する。

 レオンも大広間へ向かおうとした。

 だが、その瞬間、全員の脳にクロウの声が響いた。

「警備が二人、部屋から出て、正面玄関方面に向かってる……」

 全員の顔が少し強張った。

 だが、ノクターンがその程度で揺らぐことはない。

 今度は、脳にアウレリアンの声が響いた。

「エレボス、部屋から出た人間を部屋へ戻せ」

「うーっす」

 エレボスが部屋から出た警備兵二人に闇魔法をかけ、視界の前後を逆転させ、視界は正面玄関に向かっているが、身体は大広間へ戻るように仕向けた。

 警備兵二人は自然に、大広間へ戻って行く。

 クロウがその様子を、遠隔で確認する。

「ちゃんと、戻った。……けど、はやくしないと、不審がられるかもよ」

 レオンもそれには同意だ。

 レオンは小走りで大広間へ向かう。

 扉の前で一旦止まり、自身の魔力の出力を上げた。

 レオンは今から、この部屋の中にいる人間を殺す。

 だが、緊張はしていない。

 レオンは扉を開く。

「だ、誰だっ!?」

 使用人の一人が声を上げる。

 だが、レオンは躊躇いなく、風で首を飛ばす。

 血が噴き出し、レオンに飛び散っているが、血の温度に何も思わない。

 悲鳴が上がるが、そんなものは『音』としてしか認識していない。

 一人、また一人と殺していく。

 そう、レオンには死と恐怖に対する感情が欠落している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ