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大精霊の器が辿った道  作者: 安達りあ
風の殺し屋編
14/21

第三話 動き出す日

 今日は珍しく、居間に全員が揃っていた。

 次の計画について話し合いをするためだ。

 レオンは正直に言って、全員での会議が苦手だ。

 ノクターンは、個々の能力が高すぎて、協調性に欠けるからだ。

 部分部分を見れば、仲がいい者たちもいるが、全員が揃うと、一気に協調性がなくなる。

「全員揃っているな。では会議を始める」

 アウレリアンがいつも通りの低く、淡々とした口調で話し出す。

「今回の案件は全員で動く。狙うのはアーノルド伯爵邸だ。アーノルド伯爵が裏で人身売買をしているそうだ」

 アウレリアンが説明をしている途中にも関わらず、エレボスが元気に手を上げる。

「はいはーい!どっからどこまでやるんすか?」

「全部だ」

 部屋が沈黙に包まれる。

 その沈黙を破ったのは、部屋に引きこもっていたところを引っ張り出されて、機嫌が悪いヌルだ。

「つまり屋敷の人間を皆殺しにしろってことか?アウレリアン」

「そうだ。使用人もアーノルド伯爵夫人も、令息も含めて、全員だ」

 アーノルド伯爵領は土地が豊かで、国内の食料自給に大きく貢献している。

 そのため、アーノルド伯爵は国王からも一目置かれている、発言力の大きい人物だ。

 もちろん、屋敷も広大で、使用人もかなり多い。

 そんなアーノルド伯爵を徹底的に潰すというのは、至難の業だ。

「それはいつ実行するのですか?」

 サイラスがアウレリアンに問いかける。

 全員で動く案件のとき、実行日から逆算して情報収集などの準備日程を組むのはサイラスだ。実行日が気になるのだろう。

「2週間後の夜だ。その日はアーノルド伯爵の使用人が全員招集される。今は社交シーズンでもない。夫人も令息も屋敷から出ることは少ないから、全員が揃うと見ていいだろう。クロウにもっと詳しい情報収集はやってもらうが」

「……頑張り、ます。アウレリアン様」

 そう言った直後、クロウが気まずそうに、顔を俯けてしまう。

「詳細な作戦は、次の会議で伝える。それまでは、刃を研いでおけ」

「うっす」

「……はい」

「了解しました」

「あいよ」

「承知いたしました」

 それを最後に、全員が散っていく。

 アウレリアンは立ち上がらず、何かを考えるように、床を見つめている。

 クロウはアウレリアンに元へ寄っていき、アウレリアンの膝の上に座る。

 サイラスは頭の中で完成させた日程を、紙に書き起こしている。

 エレボスはその日程表を、覗き込んでいる。

 ヌルは一目散に部屋へ帰っていった。

 レオンも自室へ戻り、寝台に寝転がった。

 目を閉じ、今日の会議を思い出す。

(今日はアウレリアン様が話を止めなかったから、話が脱線しなかったな……。いや、そんなことはどうだっていい)

 レオンは会議の内容を思い出そうとした。

 だが、その前に、レオンは眠りに落ちてしまった。

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