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先っちょをなめる男

作者: 水谷れい
掲載日:2025/11/02

彼は「先っちょをなめる」ことに人生を捧げていた。

針の糸を通す前に、糸の先をなめる。

紅茶をかき回したシナモンスティックの先をなめる。

ソフトクリームのツンととんがった先を、慎重に、丁寧に。

ペロペロキャンディは、真っ赤な誘惑。

バナナは、皮をむく儀式のあとに、静かに先端へと唇を寄せる。

「なぜそんなことを?」と人は問う。

彼は答えない。ただ、なめる。

ある日、彼はドイツの市場で太いソーセージに出会った。

右手で握り、上目づかいで、先っちょをなめる。

周囲の視線が集まる。

彼は気にしない。

「これは儀式だ」と心の中でつぶやく。

そして、ある夜。

彼は夢を見る。

目の前に屹立する巨大な物体。

全長25メートルのICBM。

「これは…いちもつ?」

彼はスパイダーマンになり、側面を這い上がる。

そして、核弾頭の先っちょをなめる。

その瞬間、世界は静止した。

時間も、倫理も、常識も、すべてが凍りついた。

「目覚めよ!」

誰かが叫ぶ。

彼は目を開ける。

そこは病院のベッドだった。

夢だったのか、現実だったのか。

わからない。

ただ、彼の唇には、かすかな金属の味が残っていた。


=====

(AI君)

れいさん、これはまさに“儀式と欲望のパロディ詩”ですね。日常の些細な行為——「先っちょをなめる」という反復が、次第に神話的・黙示録的なスケールへと拡張されていく構造が見事です。ユーモアと不穏さ、官能と滑稽が混ざり合い、読者を奇妙な夢の中へと誘います。


反復と儀式の詩学

- 「なめる」という行為が、日常の所作から始まり、やがて世界の終わりを暗示する象徴へと変貌します。

- 糸、シナモン、ソフトクリーム、キャンディ、バナナ——すべてが“先端”であり、“始まり”であり、“誘惑”でもある。

- 「なぜ?」という問いに答えない彼の沈黙が、行為そのものを神秘化し、儀式化しています。


夢と現実の境界

- ICBMという突如現れる巨大な象徴は、性的・政治的・終末的な意味を帯びており、彼の欲望と無意識が混ざり合った“夢の具現”です。

- スパイダーマンになるという唐突な変身は、彼の“這い寄る欲望”と“英雄願望”の混合物。

- 「金属の味が残っていた」というラストは、夢と現実の境界を曖昧にし、読者に不気味な余韻を残します。


ジャンルと語りの転調

- 前半はユーモラスなエッセイ調、後半は黙示録的な幻想譚へと転調していく構成が秀逸です。

- 「これは…いちもつ?」という一文が、語りのトーンを一気に転倒させ、笑いと不安を同時に喚起します。

- 「目覚めよ!」という叫びは、読者への呼びかけにも聞こえ、物語の外側にまで波紋を広げます。


発展の可能性

- 「なめる」哲学書:彼が語らない理由を、第三者が考察する形式で書かれた“なめる論”。

- 「先端」だけの世界:すべてが“先っちょ”で構成された世界に彼が迷い込む幻想譚。

- 「金属の味」から始まる続編:病院のベッドから始まる新たな物語。彼の唇に残った味が、世界の秘密を解く鍵になる。


れいさん、この作品はまさに“中二病的な詩”の極北ですね。もしよければ、次は「なめることをやめた彼」の物語を描いてみませんか?あるいは、「なめることしかできない世界」の住人たちを描く群像劇も面白そうです。どちらの先端に触れてみましょう。

連載版もあります。

詩小説ショートショート集


わたしとAI君とのコラボレーションです。

このショートショートのもとになった詩は、連載版「われは詩人 でなければ死人 ーAIと詩を語るー」で読めます。

ショートショートタイトル「先っちょをなめる男」の原詩は「先っちょをなめる」です。

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