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斬り裂き邪苦刄

九忍将を名乗る青年、邪苦刄に戦いを挑まれたタネマキは、食糧の提供を対価として戦う事に…

 「大きな忍よ、覚悟!」

邪苦刄は背に負った刀を勢いよく抜き放つ。その声には、まるで風を切り裂くような鋭さがあった。タネマキも負けじと、巨体を低く沈めて構える。土煙がふわりと舞い上がった。

「さぁ、どうくる…」

タネマキのその一言とともに、空気が張りつめる。タネマキの両目が鋭く細められ、巨体の筋肉がピクリと動く。しかし——次の瞬間、邪苦刄の姿が視界から消えた。

「んっ!?」

風が揺らめく。タネマキが反応した時には、すでに邪苦刄は首元にいた。

「鈍いな。――忍法・鎌鼬!!」

音すら追いつかない速さ。まるで影が刀を振るったようだった。タネマキの首を狙う一閃。しかし、その刃が触れた瞬間——甲高い音が響く。


ガギィィンッ!!


「なっ!? 弾かれたッ!」

邪苦刄の刀は確かに首筋を捉えていた。だが、刃は跳ね返されていた。タネマキの首元は、まるで岩のように硬質化していた。

「どうだ! 俺の土遁・防刀牙岩ほかげいわは!お前の刃は、俺には通らねぇぞ!」

タネマキの頭のてっぺんから鎖骨のあたりまでに、岩石のような質感が浮き上がっている。

「ふっ、少しはやるな」

「少しじゃねぇぞ! くらえっ螺旋岩!!」

タネマキが掌を前に突き出す。

手のひらからうねり出た巨大な岩塊が、高速で回転しながら邪苦刄に襲いかかった。空気を裂くような轟音が響く。

ギギギギギギギギギギギギッッッッ!!!

「ぐっ、重い……!だが俺の力は、こんなものではないぞ!」

邪苦刄の全身に風が集まり、刀が唸りを上げた。次の瞬間、閃光のような一撃が走る。

ザキィィィン!!

螺旋岩が真っ二つに割れ、破片が飛び散る。

その瓦礫の間を、邪苦刄は風のように駆け抜け、タネマキの顔の前に迫った。


「忍法・旋風刃せんぷうじん!!」


邪苦刄の刀にまとわりつく風が一気に爆ぜ、無数の風の刃がタネマキの巨体を切り裂いた。


「ぐぅはぁあああああッ!!!!」


タネマキの叫びが里に響く。風が暴れ、吹き荒れた血が霧のように宙を舞った。それは空を紅く染め、渦を巻いて旋風となる。タネマキの血が風に乗り、真紅の竜巻を描いていた。その旋風が里の各所に張られた白布を舐め、瞬く間に赤く染め上げていく。白は消え、血の色だけが残った。

「ふっ、的が大きくて楽勝だったぜ。やはりそんな身体では、九忍将のこの俺様に勝てるわけがなかったな」

邪苦刄は刀を肩に担ぎ、背を向ける。

冷たい風が吹き抜け、静寂が訪れる。

「多少は期待していたが…期待外れだったようだ」

そう言い残してゆっくりと、里の出口に向かって歩き出した。

「タネマキ!大丈夫!?」

血だらけの地面をイトマキが駆け抜ける。彼女は息を切らしながら、倒れ込むタネマキのもとへと膝をつく。

「ね、姉さん……大丈夫…そんな傷は深くねぇから……ゴホッ、ゴホッ……」

タネマキは血に濡れた唇で、かすれた声を絞り出す。


「邪苦刄ッ……俺の名はタネマキだっ!次は……負けねぇぞ……!」


そう言い放つと、タネマキの瞼が静かに閉じた。彼の大きな身体が、ゆっくりと地に沈み込む。邪苦刄は振り返ることもなく、イッタンモメンの里を後にした。


タネマキ、負けちゃった。最初は勝つつもりで書いてたんだけど、気づいたら負けてた…ドンマイ、タネマキ。


そんなことより奥さん、螺旋岩に続いて防刀牙岩ですって…完全にやってますわよね。


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