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9 ジェノヴァ

 新しく操舵手を雇った。


「ぴー」

「ピーちゃんは、よろしくと言ってる」

「鳥が本体なのじゃ。」


「私がワイン博士のワイン博覧会が終わる前にローマを目指すぞ」

「イタリア北部も様々な紹介したいワインの産地があるのですが、ワインの発酵は人の都合に合わせてはくれないのです。」

「もうワインはいいのじゃ。」

「そうです。私がワイン博士です。」


 

 イタリアの海はまるで陽気なイタリア人のようにさんさんと輝いていた。


「ごぶごぶーー!」(前方11時、所属不明船2!)


「船なのじゃ」

「また碌でもないトラブルの匂いがプンプンして来たぜ。」


 所属不明な船の所属はジェノヴァ海軍の軍船だった


「臨検でーす。ご協力お願いしまーす。」

「ご苦労さん。何かあったのか?」

「違法な禁制品がジェノバに持ち込まれる危機なのでーす。」

「へーそれは物騒だな。」

「このように、皆さんに迷惑かけまして大変申し訳ないでーす。」

「で、禁制品って何なんだ?」


「詳しくは言えないのですが、トスカーナのあれでーす。」

「ぎくっ!です。ワイン博士です」

「ん?何か知ってるのか?」

「今年のワインの出来は樽を開けるまではわかりません。」


「そんなに汗かいて、どうしたんだ?体調悪いのか?」

「朝露に濡れたブドウを乾燥した日に摘むことで貴腐ワインができるのです。とても貴重なワインなので、臨検は打ち切ってもらえませんか?」

「ごめんなさーい。お仕事でーす。」


「ま、ま、まつのです。万国ワイン自由貿易条約によって、ワインの自由な商取引が保護されているはずです。」

「、、、」

「、、、」

「公権力が違法な権力の暴走を行うのなら、ひとりのワイン愛好家として黙ってはいないのです。!」

「、、、」

「、、、」

「その条約は、いつ批准されたのじゃ?」

「、、、次のワイン学会で提案してみるつもりです。」



 前回の改装時にワイン博士が勝手に作ったワイン保管室についた。


「ほとんどフランス産だな」

「トスカーナのあるフィレンツェはまだ行ってないから大丈夫なのじゃ。」


「ここに隠し棚がありまーす。」


 その隠しワインセラーにはヴィンテージワインがたくさん収納されていた。もちろんトスカーナ産ワインも。


「ジェノバまで同航ねがいまーす。」





 イタリア北西部都市国家ジェノヴア

 古くから栄えた港湾都市で、銀行業に強くイタリアの金融を担う都市として繁栄していた


「釈放されてよかったな。」

「「飲んだからないのじゃ(泣)」しとけばよかったのじゃ。」


「交易所でも行くか」

「最近ずっと「ワイン」を売って「ワイン」を買ってるのじゃ。」


「ワインは喉を潤す生活必需品であると同時に、嗜好品としても蒐集家たちに人気もあり、いろんな階層の人々に広く愛されているのです。なので、どこでも一定以上の利益があり手堅い交易品と言えるでしょう。」

「のじゃ」

「そうです私がワイン博士です。」


「おぬしのせいで捕まったのによく妾の前に顔だせたのじゃ!」

「そこで、耳寄りなワイン情報があるのです。」

「そういうのいいから早く言え」

「のじゃ」


「ここジェノヴァの近くにはピエモンテというワイン産地がありまして、アルプスの恵みにもたらされた上質なコクを私たちに届けてくれるのです。」

「そういうのいいから早く言え」

「のじゃ」


「話は聞かせてもらったぜ」

 そこに怪しい闇商人という身なりをした闇商人が話しかけてきた。


「お前さん達が、拘束されたのはジェノヴァとフィレンツェが限りなく戦争に近い競争状態にあるからなのさ。」

「きな臭くなってきたぜ。」


「お互いにお互いの名産品を禁制品として規制しあってるのさ。」

「迷惑な話なのじゃ。」


「が、そこが俺達商人の金の種ってやつさ」

「のじゃ?」


「届けるのです!!」

「のじゃ!?」

「トスカーナのワイン愛好家達に、ピエモンテを届けるのです!!」

「ふ、腕が鳴るぜ」


「そして、没収されたヴィンテージワインを買いなおすのです!!」

「とんだ私欲なのじゃ。」




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