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77 ガイアナ


 南アメリカ大陸オラン国領ガイアナ「ジョージ・タウン」

 南米大陸北部デメララ川河口に位置する。名前の由来はイギリス王「ジョージ3世」。



「当然のようにここでも人質の換金に断られたのじゃ。」

「がはは。貴族の威光の賜物だな。」

『こんなでも名門貴族出身です。高度な外交問題になりかねませんので現地の役所じゃ判断できませんね。』

「やっぱ、ポイしたほうが良くないか?」

「こんなでも名門貴族出身なのじゃ。ポイしたら外聞が悪いのじゃ。」

「名門貴族の尊さをようやく理解できたようだな。がははは。」


 港町をブラブラと歩いていていると、買い物したりしている現地人を見かけた。


「この街は現地人と共存できてるようなのじゃ。カリブ海では全然見かけなかったのじゃ。」

「やっぱり現地人は海に弱いんだな。」

「船が苦手なのかもしれないのじゃ。」


「へへっ。それには理由があるんですぜ。」

「ノーなのじゃ!その話はノーサンキューなのじゃ。」

「おや、お気に召しやせんか?」

「物語の雰囲気が悪くなるのじゃ。何回書き直したと思ってるのじゃ。」

「俺様達は愉快で楽しい旅をするさ。」

「見たくないものは見ないのじゃ!」


 すると、現地人の兄妹が仲良く買い物で通りかかった。


「お兄ちゃん。キャンディ美味しいね。」

「キャンディ食べれてよかったね。みーちゃん。」


「アレなのじゃ。妾が見るべきはアレなのじゃ。尊いのじゃ。」


「でも、、、」

「畑のお砂糖あまり育たないね、、、」


「なんだかトラブルの匂いがしてきたぞ。」

「闇商人が不穏な事を言う前に干渉するのじゃ!」



 現地人の兄妹に声をかけることにした。


「おい貴様ら!俺様に悩みを話やがれ!!」

「わぁ!怖い海賊に話しかけられたの。」

「妾達は怖い海賊違うのじゃ。善い船主なのじゃ。」

「みーちゃん。後ろに下がって。何があっても泣いたらダメだよ。」

「みーちゃんは泣かないの。。」ウルウル


 現地人の兄妹はとてもとても警戒していた。


「がはっはっはは。偉い名門貴族出身の私がきたのだ。」

「わぁい。名門貴族がきてくれたのー。」

「名門貴族様、お助けください。」

「がはは。任せるがいい。さぁ悩み事をいうのだ。」


「実は、カクカクシカジカで、、、」


「解せんのじゃ。。」

「解せんな。。」


 名門貴族出身が聞き出したところによると、オランダ人が最新の農業をこの地に持ち込んだのだが、他の植民地のようにうまくいってないとの事だった。

 このままでは現地人は役立たずと判断され、他の植民地のようにみんな抹殺されて南アフリカから無理矢理連れてきた奴隷と置き換えられてしまうので困っていた。


 農業が上手くいかない原因が川にあるとの事で川に来た。


「臭いのじゃ」

「黒く濁っているな。」

「私が「ワイン」博士ですが、このような「珈琲」色の水では「ワイン」適した「ブドウ」は育たたないのです。」

「ぼ、ぼくはなぜか珈琲博士ですが、「珈琲」も黒い水と呼ばれることがありますが、これは珈琲とはべつの油が混入されてますね。」

「フラン国で乗船してからほぼ役に立っていない油男の出番なのじゃ。」


「ビアンシュール、これは「石油」ですね。川がこんな状態になるなんて、かなりの量が流入してますよ。勿体ないですね。」

「「石油」は聞いたことがあるのじゃ。臭い水などと呼ばれ土地をダメにするものと忌み嫌われておるのじゃ。」

「アラビアでも見かけたが、そんなものが勿体ない?」


「オウイエノン、庶民の生活水準の向上により油の消費量は年々増えてます。「石油」を蒸留することで、使い勝手のいい「灯油」が生成されるようになってきたのです。」

「ほぅそれはすごいな。」

「人類は常に前に進んでいるのじゃ。」


「でもお兄ちゃんのお砂糖畑をダメにする悪い水なの!」

「みーちゃんや。これはチャンスかもしれないのじゃ。」

「チャンスなの?」

「川の上流を調べて「石油」の調査をするのじゃ。」

「石油の流入を止めれるかもしれないぜ。」


 ふたりの兄弟は大層喜んだ。


「水がきれいになれば砂糖がちゃんと育ちます。みーちゃんがオランダ人に抹殺されなくてすみます。」

「お兄ちゃんのお砂糖は甘くておいしいのー。」




「みーちゃんハンカチはもったかい?」

「ちゃんとあるのー。キャンディもー。」


 お気に入りの猫さんリュックを背負って準備万端である。


「妾の探検隊、出発なのじゃ!!」


 底の浅い川船で川を遡る。大河の流れは緩やかで、船足は軽快。時々見かける南国特有の鮮やかな鳥たちが目を楽しませてくれる。


「この石油臭さえなければ快適なのじゃが。」

「鼻栓をしてしまうと僅かな変化を見逃すからな。」

「鼻をつまむなど妾の趣味じゃないのじゃ。」


 川沿いの集落を3つ4つ超えると、人の手の入っていない密林の気配がしてきた。


「大型の肉食獣に注意なのじゃ。」

「ここいらだとジャガーとかか。」

「謎の人食い部族もいるかもしれませんよ。」

「みーちゃんはおいしくないのー。」


「虫もどんな毒をもっているのかわからないのじゃ。」

「そのための案内人なの。みーちゃんにまかせるの。」

「とても頼りになるのじゃ。」


 本流を離れ支流に入ると、川の流れが早くなってきた。


「臭いも強くなってきたのじゃ。」

「水が粘りを帯びて、船じゃこれ以上むりだ。」


 そこからは徒歩で進んだ。



 いろいろあって、黒い水が湧きだす湿原についた。


「やっと着いたのじゃ。ここが幻のエルドラドなのじゃ。」

「たぶんエルドラドじゃないけど着いたな。」

「セパヴレ!こんなにたくさん「石油」が湧いているなんて。」

「何か問題が?」

「オラーラ。この量では流出を止めるのは無理です。」


「そんな、、流れ出る黒い水をとめないと畑が、、みーちゃんが、、」

「そういえば、みーちゃんはどこにいったのじゃ?」


 周りを見回すと、一番近くの「石油」が湧いているそこそこ深さのありそうな泉にみーちゃんのお気に入りの猫さんのリュックが浮かんでいた。


「のじゃ!!みーちゃんが黒い泉に落ちたのじゃ!!」

「早く助けなければ!」

「セパブレ!入ってはダメです!粘性を帯びた黒い泉に入ると大人でも助かりません!」

「そんな!僕が目を話したばかりにみーちゃんが!みーちゃんが!」

「妾がこんなジャングルの奥地にみーちゃんをつれてこなければのじゃのじゃ。。」


「諦めるのはまだ早いぜ!」

「のじゃ!何か策があるのじゃ?」

「このバケツで泉の水を掻き出す!」

「いくらみーちゃんが小さいとはいえ、そんな小さなバケツじゃ無理なのじゃ。」

「無理と言うから無理なのさ。やり遂げれば無理じゃなくなる。」


 そこからみんなで小さなバケツで代わる代わる油を掻き出した。

 滾々と湧きだす黒い泉の水位は全く下がる気配を見せなかったが、掻き出し続ける事が命を沈めた小さな少女への贖罪かのように、だれも手を止めることができなかった。


「みんなで何をしているのー?」


 森の中からみーちゃんが出てきた。


「みーちゃん!無事だったのか。」

「みーちゃんおトイレいってたの。。」


 みんなの平穏ならざる様子に少女は少し不安になった。


「あ!みーちゃんの猫さんのリュック!!」


 少女はお気に入りの猫さんのリュックが泉に落ちているのに気づいた。


「お兄ちゃんにもらった猫さん。。一緒に食べようと思ったキャンディ。。」


 泣き出した少女を見ながら。大人たちは笑った。もっと大きな声で精一杯泣いていい。君が泣ける未来があったことが、とてもとても嬉しいのだから。



「しかし、湧きだす黒い水の問題がまだ解決してないぜ。」

「妾にまかせるのじゃ。準備してきたのじゃ。」


 その時、南国の密林の空から一匹の小鳥が舞い降りた。


「ぴー」

「ちょうど、ぴーちゃんに頼んでいた仕事が済んだみたいなのじゃ。」


 小鳥の足には一通の手紙が括り付けてあった。


『名門貴族のコネを使わずにヨーロピアから取り寄せた蒸留装置と技師がジョージ・タウンに届きました。by名門貴族の副官』


「シラクサ一家の若衆に任せた第2陣も資材を運んでもうすぐ着くのじゃ。」

「「石油」の湧きがが想定より多いようですが。」

「少々、追加の投資が必要なのじゃが。妾にとっては、「金」が湧き出てるに等しいのじゃ。」


「整ったな。」

「整ったのじゃ。ここは新大陸で一番儲かる土地になるのじゃ。」

「わーい。」




 ガイアナの密林の中に発見された油田に作られた製油所は、思った程の利益を生むことはなかったが、そこに暮らす人々が生きていくのに十分な収益を出すことができた。この地に作られた「みーちゃんとお兄ちゃんのガソリンスタンド(株)」の役員室には、黒く汚れた猫さんのリュックが大切に保管されているのであった。






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