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75 イスパニョーラ島


 カリブ海イスパニョーラ島フラン国領「ポルトープランス」

 イスパニョーラ島西部に位置する。名前の由来はフランス語で「王子の港」


「この島にも現地人はいないのじゃ。」

「畑でも耕してるのじゃないか?」


 そこに奴隷を連れた軍人らしき人がきた。


「現地人はこの島にはいないが、このフラン領「ハイチ」は世界で一番うまくいってる植民地なのである。」

「軍人らしき人が話しかけてきたのじゃ。」

「またろくでもないトラブルの予感がするぜ。」


「確かに、今まで見てきた植民地よりは雰囲気が良い気がするのじゃ。」

「この奴隷を見なさい、とても健康状態がよいのである。」

「新鮮な太陽を浴びて筋肉が喜んでいるっす。」


「ここで働くとアフリカで奴隷をしている家族に余った砂糖を送れるんです。フラン国政府とフラン人の皆さんには感謝しかないですね。」

「とても良心的な経営をしているようなのじゃ。」


「けれども困った事があるのである。」

「やっかい事のにおいがして来たぜ。」


「このイスパニョーラ島の東側の「ドミニカ共」はスペイ国が占領しているのである。」

「島に二つの勢力がいるのは珍しいのじゃ。」

「こんなところにフラン国の街があるのも珍しいけどな。」


「あちらでは奴隷がそれはそれは酷い扱いをうけているのである。」

「スペイ国の鎖には鉛が混ざっているのです。患部がかぶれて痒くなるのです。」

「それは酷いのじゃ。」

「フラン国の鎖はちゃんと鉄でできてるんです。名前まで彫ってくれるんです。」

「フラン国は良い国だな。」


「それで我々は島の東側にいるスペイ国の奴らを追い出すために攻勢の準備をしているのだ。腕に自信があるならご助力して頂けないであるか?」

「こんなカリブ海にまできて、戦争をしとるのじゃ。もっと生産的な活動をすればいいのじゃ。」

「その生産的な活動の為に、邪魔をするスペイ国に出て行ってもらうのである。」

「暴力では何も解決しないのじゃ。戦争は絶対にダメなのじゃ。」

「家族や友人、大切な人たちの安全を本気で考えた事のない奴が言いそうな安っぽい言葉である。」


「とにかく、妾達は平和でストレスフリーな旅をしておるのじゃ。」

「暴力が望みなら別の物語に期待するんだな。」

「残念である。」




 ~カリブ海上~



「フラン国でも名門貴族の換金拒否されたのじゃ。」

「あと残ってるのはどこだ?」

「南アメリカ大陸のポルトガル領にでもいくかの。」

「がーははっは。この名門貴族出身の私がお勧めする場所が近くにあるのだ。」


「なんか言ってるぜ。」

「なんか言ってるのじゃ。」


『目的地も決まってないですし名門貴族のコネに期待するのも悪くないのでは?』

「いつの間にか仲間面しているのじゃ。そなたも人質なのじゃ。」

「実際、優秀なのが憎いな。」


「自分は自分とキャラが被ってると思うっす。」

「ん?名門貴族が?」

「いえ、副官殿っす。」


「「人間の男」しか共通点がないのじゃ。」


「悩んだときに行き先を示す参謀キャラっす。」

「自己評価が高くて結構なことだ。」

「「参謀」という言葉を辞書でひくのじゃな。」


「自分は前から自分の扱いが悪いのではと疑っていたっす。」

「ちゃんと給金はらっているのじゃ。」

「鉛の鎖でもいいくらいだぜ。」


「自分は怒ったっす。リクルートの為に「セントクリストファーネイビス騎士団領」を目指すっす!!。」




 カリブ海ロドス騎士団領「バセテール」

 西インド諸島に浮かぶセントクリストファー島の中心都市。名前の意味はフランス語で「低い土地」。フラン国から認められた「国境なき騎士団」の領地。


 港に近づくと一隻の小舟が近づいてきた


「例のアレ(35話「ロドス」参照)なのじゃ。」

「騎士の歓迎ってヤツだな。」


「止まったのじゃ。」

「ドリル見てるな。」


「櫂をランスみたいに構えたのじゃ。」

「一騎打ちでもするのか?」

「サービスで回転してあげるのじゃ!」



 騎士はランスを構えられたら答えねばならぬ。

 たとえそれが水面下で回転していたとしても!!

 相手と正対するには小舟を海に潜らせねばならぬ。

 それが海に生きる国境なき騎士団の誇りだから。



 前方に大きな荷重をかけると、小舟は沈み始めた。

 長く来訪者を歓迎する任を担ってきた小舟も今日でお別れだろう。少し寂しい気もするが、この強敵と一戦交えるためであれば惜しくはない。

 ドリルの回転が生む潮流が、小舟を引き寄せる。まるで、相手も戦いを望んでいる様ではないか。心が昂ぶる。こんなに素晴らしいドリルと対戦するのは何時ぶりだろうか。否、はじめての事。むしろドリルを見る事じたいが初めての体験だ。

 惜しむべくはこちらの武装が秘蔵のランスではなく小舟にのっていた有り合わせの櫂でしかない事か。常時戦場。騎士としての己の未熟を突きつけられた気分だ。だが、この櫂も悪くはない。まるで、この戦いの為に小舟に乗っていたかのような、そんな手になじむ感覚を覚える。

 騎士として海上での戦闘に恥じ入るものがないように鍛えてきたつもりだが、このような面妖な相手に対するとは思いもしなかった。あるまじき事だ。戦闘想定の範囲を広げるように作戦部に打診しよう。


 間合いが狭まる、勝負の時は一瞬だ。その瞬間を逃さぬように全神経を尖らせる。本来なら馬が補ってくれる運動エネルギーも自分で用意しなければいけない。鍛え上げた脚力を全て出し切る。手で掻くか?。ダメだ、両手は槍に添えなければ。では、何を使えるか?鋼のような腹筋があるではないか。推進力の一助になるよう腹に力を入れる。

 放たれた矢のように櫂を突き出す。騎士史上最高の突きを放てたはずだ。あとは、慣性が相手の装甲を貫いてくれるはず。騎士だけが知ることのできる快感。栄光への軌跡が波を切り裂く。

 だがしかし、弾かれた。生半可な素材で作られたドリルでは無かったらしい。ただの木製の櫂では強度が不足した。ぬけられない。海の底に引っ張られる。金属製の全身鎧が重く感じる。騎士として溺れるわけにはいかない。泳法を駆使して水面に顔を出す。そこにはいつか見た強敵が、船の上から手を差し伸べていた。


「なかなか、見どころのある勝負だったな。」

「なんのまだまだ精進が足りませんでした。」

「自分は猛烈に感動したっす。やはり自分が男を磨くのはココしかないっす。」

「入隊希望者でしたか。某の一存では決められないので騎士団長のもとに案内します。」

「よろしく頼むのじゃ。」



 ~騎士団長の館~


「入隊希望者が来たと聞きましたぞ。」

「自分は男を磨くためシラクサからやって来たっす。是非、男にして欲しいっす。」

「男と騎士は似て非なる物だ。それでもなお騎士を目指すか?」

「今の自分には、まだ見えないっす。でも男を磨く過程で見つかるものがあるはずっす。」

「有望な若者を受け入れよう。騎士は決して見捨てないのだ。」


「おぉおーー!!」「何年ぶりかの入隊者だ!」「今夜は盛大な宴だな。」


「して、給金はいかほどもらえるっすか?」


「、、、」「、、、、」「、、、」


「、、「ラム酒」なら好きなだけ飲むがいい。。」


「「ラム酒」!?栄えある「国境なき騎士団」が「ラム酒」と言いましたか!!」

「のじゃ!ワイン博士がご乱心なのじゃ。」

「そうです私がワイン博士ですが、上質な「スパークリングワイン」の製造をおこなっていた誇りある騎士団が、海賊が作るような「ラム酒」などをだしてくるなど聞き捨てならないのです。」

「郷に入っては郷に従えとも言う。騎士団も相手に合わせる事を覚えたのだ、、」

「そういうのいいから事情を言え。」「言うのじゃ。」


「実は、「ブドウ」の栽培がうまくいかなくてな。。」

「確かに、このセントクリストファー島は熱帯もしくは亜熱帯に属し「ワイン」用の「ブドウ」の生育にむいているとは言えないのです。しかし、土壌の改良や品種の厳選などの工夫をすれば不可能ではないはずです。「ワイン」の可能性は無限大なのですぞ。」


「この島を購入する時に、用立ててもらった資金を返す宛ても見当たらないのだ。。」


「金金金!騎士として恥ずかしくないのか!」

「その台詞が言いたいだけなのじゃ!」

「騎士以外の発言は認めません。」

「かくなる上は勝負!勝負!!」


 とりあえず、挑んで来た騎士をひっくり返した。


「我ら「国境なき騎士団」も年々と規模が小さくなってきて、このまま歴史の陰に埋もれるしかないと嘆いていたのですが、新大陸で砂糖農園を経営すれば大儲けできるという戯言にまんまと騙されて、こんなところまで来てしまったのです。」


「騎士ではないが発言してもよいかの?」

「発言を認めます。」

「妾にいい考えがあるのじゃ。」

「我らの窮状を打破できる案があるというのか!?」

「妾は案を出すだけなのじゃ。実際に動くのはそなた達なのじゃ。」

「是非、是非お願いします。体だけは無駄に有り余っております。」


「隣のイスパニョーラ島でフラン国とスペイ国が戦争をしておるのじゃ。そこに傭兵として参加してみるのじゃ。」

「なんと!我らを求める戦場がすぐそばに在ったのとは!」

「フラン国の軍人と知己を得たのじゃ。紹介するのじゃ。」



 こうして「国境なき騎士団」はリクルートに成功して新たな仕事を得たのであった。


「やっぱり、この船に自分が必要っす。もう少し付き合ってあげるっす。」

「がははは。私も名門貴族の威光で助けてくれようぞ。がはは。」




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