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73 ハバナ


「栄光ある名門貴族出身の北米守備艦隊提督を引き渡しに来たのじゃ。」

「来てやったぜ」

「この名門貴族出身の私の身柄は、とてもとても高い人質料で交換されるであろう。がーははっはは。」」

「いかにも私がワイン博士ですが、人質料が入ったらスペイ国産のヴィンテージワインを買いますです。」

「がーはははっ。本国にある名門貴族の栄えある領地ではブドウの生産も盛んなのだ。十分に楽しむがよかろう。」


「ぼ、僕も「珈琲」が飲みたいです。」

「よいよい!名門貴族に不可能は無いのだ!最高級のものを私の人質料で取り寄せよう。」


「自分は新しい筋トレグッズが欲しいっす。」

「ダコール、オイルの補充をお願いします。

「ぴー」

「がはは。賢いぴーちゃんの為の泊まり木も買っていいぞ。」

「。」

「もちろんドラコの鉢植えも名門貴族に相応しい最上級だ。」


「いつの間にか馴染んでいるな。」

「みんなとすごく仲良くなっておるのじゃ。」


「この船はなかなか良い船だ。私が解放された暁には名誉ある名門貴族が歴史ある証人としてスペイ王国の勲章をくれてやろう。がははっはは」


 名門貴族提督の副官がペンを走らせた紙には『とても悪い予感がします。』と書いてあったが、手に入るであろうお金と名誉に目のくらんだ俺様達は見るヨシもなかった。




 アメリカ大陸中部、スペイ王国領「ハバナ」

 カリブ海に浮かぶキューバ島北西部に位置する港町。



「軍人か海賊かわらない様な奴ばかりの街なのじゃ。」

「剣呑な雰囲気だな。」

「現地人はまったく見かけないのじゃ。」

「山にでもいるんだろ。」


「着いたのじゃ。」

「着いたな。」


 行政的な手続きをしてそうな建物に着いた。


「海で拾った貴国の貴族を届けに来たのじゃ。」

「届けに来たぜ。」


「はいはい。そこの書類に名前と所属を書いてください。」


「なんだか携帯電話の機種変更みたいな対応なのじゃ。」

「毎日毎日、遭難者だの漂流者だの連れて来られるのですよ。やってられませんよ。」

「ふむ、それはご苦労様なのじゃ。」


 書類に名門貴族出身の北米守備艦隊の提督の名前を書き込んだ。


「どれどれ、む!これは!?」

「これ公僕、栄えある名門貴族出身の私が帰ってきたのだぞ。早く、人質料を渡してやるのだ。」


「ほ、本物の北米送りにされた馬鹿貴族だ。。。」


 役人の言葉にまわりの人間が反応する。


「なに!北米送りにされた無能な馬鹿貴族だと!!」


 近くにいた男がいきなり拳銃を抜いて発砲した。


 ダーーーン!!


「のじゃ!!いきなり撃ってきたのじゃ!?」

「やっべ!ずらかるぜ!!」

「ま、待てーい!!名門貴族出身の私も連れてゆくのだ!!」


 ダン!ダーン!


「奴が消えれば、俺が明日から提督だ!」

「馬鹿を言うな!提督になるのは私だ。」

「なんか仲間らしき奴らがいるぞ。」

「構わねぇ、まとめて消しちまえ!」


 ダーーン!ダン!ダーン!!


「引換券の交換どころの話じゃないのじゃ。」

「栄えある名門貴族の威光が届かぬとは愚かな者どもだ。」

「さっさと船に戻るぞ!」



 なんとか出港して一息ついた。


「初カリブなのに全く観光できなかったのじゃ。」

「次の港に期待だな。」


『コネで提督になった名門貴族様はこの海域のスペイ国海軍に大変嫌われており、そこにいるだけで消されてしまうので北米監視を名目に「ジャクソンビル」へ逃げていたのです。なので、スペイ国領のどの港に行っても追われることになると思われます。』


「面倒な事になったのじゃ。」

「フロリダの「ジャクソンビル」に返しに行くか?」

『すでに「ジャクソンビル」も海軍の手が回っていると思われます。』

「斬るか?」

「海にポイするのは後味が悪いのじゃ。近くの「スペイ国」以外の港で受け入れ先を探すのじゃ。」

「がーははは。他国が名門貴族の威光を求めるのであれば、照らしてやるのもやぶさかでないぞ。」



 こうして、俺様達の後悔は続いていくのであった。




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