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69 ニューアムステルダム


 北アメリカ大陸オラン国領「ニューアムステルダム」

 ハドソン川河口部マンハッタン島にある町。オラン国が北アメリカの開拓の為に建造した開拓拠点。後の世の「ニューヨーク」。



 街に入ると、まるで戦争の準備をしていた。


「大変に物騒な様子なのじゃ。」

「モンゴルが攻めてきた時もこんなに防備を固めなかったぜ。」


 街の状況に詳しそうな、強欲なオランダ人商人がいたので話を聞いている。


「そなた、妾に状況を説明するのじゃ。」

「なんだ、おまえ達は?」

「妾達は、」

「世界の人々の平和な暮らしを守るため、」

「妾が、」

「俺様が、」

「来たのじゃ!」「来てやったぜ!」


「何だか知らないが、こっちはそれどころじゃないんだ。」

「だから、その状況を妾に説明するのじゃ。」

「いったいおまえ達は何なんだ?」

「俺様は、」

「世界の人々の安心と笑顔を守るため、」

「おれさ、、、、」


 強欲なオランダ人商人が割り込む。

「ストップ!ストップ!!説明するからそのくだない寸劇をやめてくれ。」


「くだらない?」

「心外なのじゃ。」


「現地人どもが約束を破って攻めてくるのだ。」

「ふむ。」

「このマンハッタン島は厳正な取引の元で我らオラン国が買い取ったんだが、現地人のお粗末な脳みそじゃ覚えきれなかったのか、約束をやぶって力づくで俺達を追い出そうとしているのだ。」

「それは善くない事なのじゃ。」

「しかたないから、壁を作って、砲台を用意し防備を固めているのだ。」


「現地人の装備は骨を削って作った槍とかだろ?こんなに防備が必要か?」

「どうも、他国の奴らが武器を流しているみたいでな。奴らも俺達を追い出して北アメリカの利益を独占したくてウズウズしてるのだ。」


「ひどい話なのじゃ。」

「人の欲望は尽きないな。」


「未来の子供たちの為に、我々が作り上げてきたこの街を奪われるわけにはいかないのだ。」


「俺様にまかせな!」


「なんと!」


「妾にまかせるのじゃ!」


「おぉーなんと頼もしい事だ。もし、この地から無法な襲撃者達を追い出してくれたら十分なお礼をしてやろう。」


 すっと手を差し出す。


「む、その手はなんだ?」

「「おほほ」が言っていたのじゃ。オランダ人と会話したら証文をとれと。」

「ははは、欲の深さではかなわんな。」


 強欲なオランダ人商人は慣れたものでお礼に25ドル相当のものを払うと書き込んだ。この者たちがこれっぽちの金額のために、少しでも時間稼ぎになってくれたら儲けものだと思いながら。




 ~蛮族の野営地~


「やいやい、無法者ども!俺様が来てやったぜ!!」

「オマエは誰だ?」

「俺様は俺様だ。」

「妾もいるのじゃ。」


「ナンの用だ?」

「「ニューアムステルダム」を攻めるのをやめるのじゃ?」

「ナゼだ?」

「物事を暴力で解決するのは善くないことなのじゃ。」


「アソコは俺たちの土地だ。」

「お金を払って買ったと聞いたぞ。」

「ドコかの誰かが25ドルで売ったらしいが、俺たちはお金を貰っていない。」

「25ドルっていくらだ?」

「25ドルなのじゃ。」


「、、、トマト25個分ダ」


「のじゃ!それは安すぎるのじゃ!不当なのじゃ!」

「せめて1000個は欲しいな。」


「物が適正な価格で取引されないのは善くない事なのじゃ。」

「クーリングオフすべきだな。」

「アノ町の人間は俺たちのの話など聞きやしない。」


「妾に考えがあるのじゃ。」

「キこう。」


「オラン国の「ハーグ」にある国際司法裁判所で判定してもらうのじゃ。」


「、、ナゼ俺たちの土地の話を、お前たちの国で、お前たちの法で判断するのだ?」

「妾の国とは違うのじゃ。領土問題などを世界中の皆できめることなのじゃ。」


「セカイとはお前たちの国の事を言うのか?」

「国を超えたみんなの事をいっておるのじゃ。」


「ソノみんなに俺たちも入っているのか?」

「もちろんなのじゃ。世界中のみんななのじゃ。」


「オレにはその国際司法裁判所とやらが、俺たちに公平な判断を下すとは思えない。」


「誰かが判断をしなければいけないのじゃ。」


「ホウは尊重されてこそ法たりえる。俺はお前たちの法を尊重できない。」

「それは無法者の考え方なのじゃ。」


「オマエたちは俺たちの法を尊重しない。」

「妾達はそなた達の法を尊重するのじゃ。」

「オレタチの国で起こった出来事をお前たちの法で判断するのにか?」



「俺様にはよくわからんが、とりあえず殴ろう。」

「妾も考えるの苦手だから殴ったほうが早いのじゃ。」


「ム、ヤハリお前たちは暴力でしか対話ができない。」


「今から一緒に、」

「これから一緒に」

「殴りに行くのじゃ!」「殴りに行こうぜ!」



 「ウォール街」に立てこもっていた強欲なオランダ人商人達をぶん殴った。


「逃げて行ったのじゃ。」

「逃げたな。」

「オマエたちは滅茶苦茶だ。まるで蛮族だ。」


「統治者がいなくなったので、ここを妾の街にするのじゃ!」

「ふ、俺様の町が大きくなっていく予感がするぜ。」

「、、、」



 遥か未来に「摩天楼」と呼ばれ、世界屈指の大貿易都市に成長していく街の歴史に新たな一歩が刻まれたのであった。




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