68 ボストン
「このあたりはイギリ女王国からの入植者が多いようじゃ。」
「すでに、入植がはじまっているのか。」
原住民の取引や、すぐに採取可能な産物をを採るための拠点ではなく、その地に住まい産業を興していく入植は難しい。だが、イギリ女王国は積極的に入植を推奨していた。
「各地で現地人とのトラブルが起こっていると聞いていたが。」
「妾の目には友好的に接してるようにみえるのじゃ。」
「すこし聞いてみるか。」
通りかかった現地人に声をかけた。
「おい貴様!俺様の質問に答えやがれ。」
「ナンダ?」
「イギリ野郎どもとうまくやれてるか?」
「フン、彼らはお前のように横柄じゃないからな。」
「イギリの奴らが横柄じゃないだと?そいつはどんな冗談だ!?」
「ハッ!所属する組織で色分けせずに自分の目で見てみるがいい。」
「俺様は曇りなき眼に自身があるのさ。」
「己では曇り具合は判らぬものだ。」
生意気な現地人の助言に従って、イギリ女王国の入植民に会って見ることにした。
すぐ近くの入植地では人々が畑仕事をしていた。現地人の真似をしてトウモロコシやジャガイモを育てている。麦も少し見える。あちらの畑は綿花だろうか。ボロいけど手入れされた服を着て真面目に仕事をしてる人々がいた。
「ようこそ旅の人。おら達の村に何かようですか?」
「俺様たちはあの「新生ハンザ同盟」様から調査を依頼されて来てやったぜ。」
「ひえーー。それはそれはご苦労な事で。」
「ハンザ」の「ハ」の字も知らないような田舎者が畏れ慄く。
「貴様たちは何か困ったことは無いか?」
「おら達は特に困ってないけども、、」
「何かあるのか?」
「イギリ国でおら達の村に対する弾圧がひどくなったので、神父様のおっしゃる「神の楽園」に来てみたのだけれども、ここでも隣の村と救世主様の言葉の解釈で喧嘩になっちまうんだ。」
イギリ女王国では「古十字教」の支配下からぬけて、「イギリ女王国教」を立ち上げてみたものの、国をあげて「古十字教」に対抗していると勘違いした「新十字教」の人々がヨーロピア中から大量に引っ越してきた。
イギリ女王国の人々は政治的な理由で名前だけ変えたけど、考え方は「古十字教」のままだったので「新十字教」とは相容れなかった。
各地で宗教論争がおこり、それぞれが独自に自分の主張を語りだし、宗教的統合性がとれない状況になってしまっていた。
「おら達の神父さまが「救世主の時代に発酵技術は無かったはずだから、発酵したパンは悪魔の食べ物だ」とおっしゃってな。村のみんなで近隣のパン窯を壊してまわってたら、国を追い出されてしまったんだべ。」
「それは、なかなかだな。」
「隣の村の奴らは馬鹿なのさ。「水にも目に見えない微生物がいるから、沸騰させてから飲みましょう」などとおかしな事をいってるのさ。そんな事は聖書にのってないべさ。」
「確かに載ってないな。」
「そんなおかしな言い分を信じて、おら達の村の井戸を破壊しに来たんだべ。あいつら絶対おかしいべ!?」
「おかしいな。」
「だから、あいつ等の作物を全部ひっこぬいてやる事にしたのさ。おら達は正しいべ!?」
「さぁ。どうだろうな。」
「おめぇも、おら達をイギリ国から追い出した奴らと一緒かぁ!?」
「いや、俺様は追い出していない。」
「そんならよかったべ。外の奴らは頭のおかしい奴がおおいから、おまえさんも注意すんだな。おら達の作ったトウモロコシくってくか?甘いべ?」
「うむ、一房貰っていこう。」
トウモロコシを頂いて、村を離れた。
「イギリ女王国が入植計画を早めた理由はあれなのじゃ。」
「扱いずらい国民を新大陸にポイしてるんだな。」
「ヤハリ曇ッテイルナ。」
そこには、さっき話した現地人がいた。
「ワレワレの目には彼らは善良な人々に見える。」
「ただの狂信者なのじゃ。」
「オマエたちの宗教など知らない。彼らは私たちに利益と知識をくれる。」
「いつか、その宗教的偏屈がお前たちに牙を向くのじゃ。」
「スクナクトモ、今は我々と共存できている。」
そして、瞳の奥に怒りを込めて言葉を発した。
「ハドソン川の河口、お前たちの仲間が作った「ニューアムステルダム」に行くとよい。そこでオマエたちは自分がこの地で何をしているのかを知るだろう。」
「あいわかったのじゃ。新大陸の現実を見るために「ニューアムステルダム」にむかうのじゃ!!」




