67 ケベックシティ
「本物の「ケベック」を知るためにフラン国の「ケベック」から名前をもらった「ケベックシティ」に行くのじゃが、、」
「何かあったか?」
「妾はフラン国の「ケベック」を知らんのじゃ。」
「な、意味がないじゃないか。」
「そうなのじゃ。それで調べたのじゃ。」
「よかったぜ。意味はあったな。」
「フラン国の「ケベック」の紹介文なのじゃが、、、」
「何かあったのか?」
「カナディアの「ケベックシティ」の元になった町と書いてあったのじゃ。」
「何もわからんな。」
少し考えた。
「これはたぶん高度な「ケベックジョーク」なのじゃ。」
「なるほど、文化的だな。」
フラン国カナディア都市「ケベックシティ」
北アメリカのセントローレンス川を遡った場所にある。フラン国の町「ケベック」出身者が多かったためこの名前になったと言われている。
いつもの商会の出張所
「いらっしゃいませ。はじめてのお客様ですね。この「ケベックシティ」はフラン国の「ケベック」から名付けた街なのですよ。」
「知ってるのじゃ。」
「お勧めは「毛皮」ですね。」
「それでは、「魚」を売って「毛皮」を買うのじゃ。」
町の広場
「そこはかとなく「ケベック」風の建物が多い気がするな。」
「名前をもらっただけあって、似せておるのじゃ。」
「原住民の数も多いな。」
「新たな隣人と上手くやれているようでなによりじゃ。」
すると、大きな喧騒が聞こえてきた。
「みんなして「ケベック」フラン国の「ケベック」言いやがって!俺は「ケベック」なんて知らねーんだよ!!」
「ふむ。もっともなのじゃ。」
「フラン国の「ケベック」を知らなきゃここに住んじゃいけねーのかよ!!」
男の姿が捨てられた子供の様に見えたので口を挟むことにした。
「そなたはどこの出身なのじゃ?」
「おれはフラン国の「オルソー」から来た。」
「知らぬ。」
「っ!」
男の顔が傷ついたように悔しそうに歪む。
「故郷を馬鹿にされるのは顔面を殴るのとおなじくらい効くのじゃ。」
「たしかに、「オルソー」を知らないと言われて嫌な気持ちになったよ。」
「だから、「ケベック」を知らないなどと言ってはいけないのじゃ。」
「けど、俺は「ケベック」の事を本当に何もしらないんだ。」
男は本当に困っているようだった。
「妾がフラン国の「ケベック」について教えてあげるのじゃ。」
「お、おぅ是非教えてくれ。」
しっかり相手の目をみて、心に届けるように言う。
「フランの「ケベック」は、カナディアの「ケベックシティ」の名前の由来になったのじゃ。」
「、、、」
「、、、」
「え?それだけ?」
「以上なのじゃ。」
満足げにしていると、相手は怒ったようだった。
「ふざけるなよ!「ケベック」の事なにもわからないじゃないか!」
「まわりを見てみるのじゃ。」
「むっ!」
騒ぎを聞きつけて、たくさんの人が心配そうに見ていた。
「いろんな人がおるのじゃ。男の人に女の人、若い人、年老いた人、肌の色が違う人や、珍しい恰好をしてる人。」
「それがどうした!?」
「誰一人、「ケベック」出身のものはおらんのじゃ。」
「え!?」
「みんな知っておるのじゃ。カナディアの「ケベックシティ」はフランの「ケベック」から名付けられたと。」
「そ、それは!」
「それさえわかれば、そなたも立派な「ケベックシティボーイ」じゃ。」
「俺は「ケベックシティボーイ」だった!?」
男の顔から悪い憑き物が落ちた。
まわりの人達も大満足なようだ。
「故郷とは心の中で育つものなのじゃ。」
ちなみに、フラン国に「ケベック」という名の町は存在しない。
誰かが言い出した「「ケベックシティ」はフラン国の「ケベック」の街から名付けた」という根も葉もない噂が、人々の暮らしの中で誇りとして育っているのであった。




