60 ア・コルニーニャ
「ドラコは誰かのかわりなんかじゃない!」
「。」
「俺様が立派なドラゴンにしてみせる。」
「。」
「はは、気にするな。俺様の定めだ。」
「。」
「変になったのじゃ。。」
果実に向かってブツブツと独り言を呟く俺様をそっち系の医者に見せるために、近くの港に寄ることにした。
スペイ国「ア・コルニーにゃ」
イベリア半島北西端に近くビスケー湾に面している。近くにあるヘラクレスの島はローマ時代(1900年以上も昔)に建てられた灯台で、現在も利用されている。
「頭が治ってよかったのじゃ。」
「杞憂だ。」
「ここは、どんな港なのじゃ?猫が多いようじゃが。」
「にゃー。」
「近くにあるサンディアゴ・デ・コンポステーラはエレサレム、バチカンと並ぶ十字教三大聖地の一つとして、聖ヤコブの聖遺物を祀っており巡礼者に大変人気があります。」
「む、教会博士か!?」
「ただの医師です。」
「となると、回教の聖地「メッカ」の傍にあった「ジエッダ」のように「観光客」が特産品かの?」
「いえ、聖地巡礼「エルカミーノ・デ・サンディアゴ」はピレネー山脈を越えて歩いてくることが重要なようで、道中に様々な体験、たとえば、中世さながらな宿で疲れた聖なる足を洗ってもらえるサービスなどが人気を集めており、船で訪れる人は少ないようです。」
「まるで、お遍路だな。」
「来るときに通りかかった湾内では漁業が盛んなようだったのじゃ。」
「はい、地形をさす一般的な言葉リアス海岸の「リアス」はスペイン語の入り江をさしており、その語源となったのが通りかかった「リアス・バイシャス」で、養殖漁業が盛んですが、ここはそれほどでもないようです。」
「にゃー。」
「のじゃ。工業なのじゃ。きっと工業が盛んなのじゃ。」
「フェロル有名。」
「賭博がお好きな中年の男性が言う通り、近隣の港町「フェロル」では古くから造船業が盛んで工業化が進んでいます。」
「のじゃ。。この街には何も無いのじゃ。。」
「そんな事はないの。」
「近隣の農村から集めた農作物を出荷する、ヨーロピアのどこにでもある港町というところでしょうか。」
「「ア・コルニーニャ」はいい街なの!!」
「む、そなたは?」
「みーちゃんはこの「ア・コルニーニャ」にお兄ちゃんと一緒にすんでるの。」
「みーちゃんとやら、妾達は世界中のいろんな町をみておるのじゃ。」
「凄いの。うらやましいの。」
「世界中でいろんな物を見て、いろんな食べ物を食べ、いろんな人と笑いあってきたのじゃ。」
「楽しそうなの。みーちゃんも行きたいの。」
「にゃー。」
「そんな妾だから言うのじゃが、残念ながらこの街は平凡な港町じゃ。」
「平凡ちがうのー!おにいちゃんはすごいのー!」
「平凡なことは悪いことじゃないのじゃ。時に、それが救いになることもあるのじゃ。」
「むー。のじゃのじゃ言って意地悪なのー!!」
「のじゃ、、」
「あまり目を曇らせると、いつか恥をかくことになるぜ。」
「みーちゃん、どうかしたのかい?」
「あ、おにいちゃん。よそものがいじわる言うの。。」
「っ!こんなに可愛いみーちゃんになんて酷い事を!」
「違うのじゃ。確かにみーちゃんは可愛いけど違うのじゃ。」
「違いません。こんなに泣いてるじゃありませんか!」
「確かに泣いておるけど、泣きたいのは妾のほうなのじゃ。。」
「みーちゃんは良い子だから泣かないのー!!」
兄は妹の涙を優しくふき取りながら俺様達に尋ねる。
「それで、一体何があったのでしょうか?」
「この街が平凡でなんの特徴も特産品も無いのが悪いのじゃ。」
「ふ、皆様方は旅のし過ぎでお眼々が曇っているようですね。」
「な、なに!」
「そこまで言うなら見せてもらうのじゃ!この街が凡庸でない証拠とやらを!!」
「よいでしょ!明日の昼過ぎに私の店まで来てください。凄い物をお見せしますよ!」
兄はプリプリ怒って去っていった。
「きっと口だけの男なのじゃ。明日になったら妾の前にひれ伏すのじゃ。」
「いえ、そうとも限りませんよ。」
コンポステーラから船に乗ってきた医師は、おにいちゃんがみーちゃんの涙をふいたあと地面に落ちていたタオルを拾い上げながら言った。
「む、何か判るのか?」
「カッコいいかなと思って言ってみただけです。」
「なかなかやるな。」
「おぬしを船にのせて、本当によかったのじゃ。」
「しかし、この布地は、、もしかしたら、、、」
「2度目はいただけないな。」
「まだまだ精進がたりないのじゃ。」
「にゃー。」
次の日、約束の店にやってきた。
「ようこそおいでくださいました。」
「いらっしゃいませなの!」
「こんな小さな店で、世界中をみてきた妾を満足させれるものがあるのかの?」
「早めに謝ったほうがいいんじゃないか?」
「これを見てください。」
そこには、この店の商品である平凡で普通な「バスローブ」があった。
「のじゃ。こんな普通のバスローブじゃ妾のお眼鏡にはかなわないのじゃ!!」
「いや、これは、、!」
「なかなかやるじゃないか。」
「のじゃ!?た、確かに平凡に見えるのじゃが、万人向けする嫌いな人のいないスタンダードを極めたようで実にシンプルかつ機能的なデザインなのじゃ。」
「縫い目を見る限り仕事も丁寧だな。」
「みーちゃん。あれを」
「はい!なのー!」
みーちゃんが机の上に伏せてあった、値札を表に返した。
「のじゃ!?このバスローブがこんなに安い値段なのじゃ!!」
「これはわからなくなってきたな。」
「ここにあるバスローブは、僕が昨日わかれてから、無理をせずに自分でつくったものです。」
そこには、たくさんのバスローブが陳列されていた。
「こ、この品質を、この価格で、この納期で、、、」
「これが、僕が皆さんに示せる「ア・コルニーニャ」の可能性です。」
「おにいちゃんはすごいのーー!!!」
「妾が間違えておったのじゃ。ごめんなさいなのじゃ。」
「わかればいいのじゃ。なのー!」
この先、お兄ちゃんのデザインした服は世界で認められて行くことになる。「ア・コルニーニャ」をファッションの発信地として世界に広め、いまでは世界一のアパレル企業となった「みーちゃんとお兄ちゃんの洋服屋さん」は、世界各地に巨大なビルと工場を建てたいまでも「ア・コルニーニャ」で小さな店を営業している。
ZARAを参考にしました。




