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58 バルセロナ


 スペイ国都市「バルセロナ」


 イベリア半島北東岸で地中海に面している。フランスとの国境ピレネー山脈から160km。カルタゴの将軍ハンニバルのバルカ家領であったことが名前の由来。


 ギャンブル狂いのおっさんが「バルセロナ」に用があると言うので来た。

 おっさんが鬼気迫る顔をしてどこかへ向ったので、俺様達は広場にきてみた。

 そこには以前にも見かけた幼い兄妹がいた。


「サクラダファミリアできないね。お兄ちゃん。。」

「明日はきっと出来るよ。」

「うん。。きっと、出来るね。。」

「みーちゃん?元気ないね。」

「明日も、、一緒に、、、サクラダファミリア。。。」

「みーちゃん!?みーちゃん、大丈夫!?」


 幼い少女はお腹を押さえて座り込んだ。


「誰か!誰か、助けてください!!みーちゃんを助けてください!!」



「のじゃ!大変なのじゃ!!幼き少女が危機なのじゃ。」

「誰か助けねーかな。」


 そこにテッサロニキから船に乗ってきた医者が駆け付けた。


「私は医者だ!見せたまえ!!」

「っ!先生!!みーちゃんが!みーちゃんが!!」

「まず、君が落ち着きたまえ。お兄ちゃんだろ。」


「は、はい。僕がみーちゃんの兄です!」

「よし、いい子だ。妹さんを少し見させてもらうよ。」

「はい。先生お願いします。」


 テッサロニキからきた医師はいろいろ見た。


「む、これは!?」

「先生!なにかわかりましたか?」


「結論から言おう。妹さんは治る。」

「ほっ。よかった。」


「しかし、、、」

「先生、なにか、なにかありましたか?」


「、、、君たちはずいぶんと、、貧しいようだ。。。」

「お、お金ですか。。」

「、、医者も慈善事業ではないのでな。」


 俺様はたまらなくなって口を挟む。


「金金金!医師として恥ずかしくないのか!!」

「患者でも無い方は黙ってください。」


「お願いします。みーちゃんを治してください。なんでもします。」

「困った時の「なんでも」ほど信頼できないものはないのじゃ。」

「そ、そんな。」

「患者はいつでも嘘をつくのじゃ。治療が終わったら消えるのじゃ。」

「僕は嘘をつきせん!」

「嘘つきはみんなそう言うのじゃ。」


「みーちゃんはたった一人の僕の妹です。みーちゃんの為なら僕はなんでもできます。おじさんがもっている動物の皮を鞣す汚い工場があるのでそれをあげます。」

「その言葉がききたかったのじゃ。」



 みーちゃんを抱えて汚い工場まできた。


「妾の工場の掃除が必要なのじゃ。」

「そこの汚い道具は片付けろ。」

「な、なんですか?ここは私の綺麗な工場ですよ。」


「ここは今日から妾の工場なのじゃ。」

「なんの権利があってそんなことを言うのです。」

「そいつはこいつに聞くんだな。」


 気まずそうにしている少女の兄を前に出した。


「おじさん。ごめん。」

「どうしたんだい?悪い大人に悪いことされたのかい?」

「みーちゃんの治療にお金が必要で。。。」


 おじさんは少し驚き、上を見て目を閉じ、一呼吸いれて口を開いた。


「私の弟が幼い兄妹を置いて出て行ってから、おまえたち二人の面倒をみてきた。」

「おじさん。。」

「妻もいない私にとって、おまえたちは本当の自分の子供のように思っていた。」

「。。。」

「みーちゃんがよくなるのであれば、こんな綺麗な工場なんてくれてやる!」

「おじさん!!」

「その言葉が聞きたかったのじゃ。」



「話は聞かせてもらったわ!」


 そこに一人の女性が勝手に入ってきた。その後ろには顔に引っかき傷のあるギャンブル狂いのおっさんがいた。


 女は少女(みーちゃんに近づき、やさしく少女の髪を綺麗に編み上げた。


「女の子はね、髪型を変えると笑顔になるのよ。」


「、、、」

「、、、」


「何しにきたのじゃ?」


「お久しぶりです。天使様。父がいつもお世話になっております。私は髪結いの修行でこの「バルセロナ」に滞在しておりましたが、この度、無事に修行を終えまして、一人前の髪結いとしてやっていけるようになりました。いえ、お祝いは気持ちだけ頂いておきます。それで、この街を離れる前に、父がお世話になっている、天使様方がこの街を訪れていると聞きまして是非ご挨拶にと思いやってきたのです。すると、病に苦しむ少女がいるではありませんか。わたしは可哀そうに思いました。なので、かわいい髪型にしてあげることにしたのです。」




「術式をはじめます!!」

「始めるのじゃ!」


「まずは、器具を消毒します。鍋で湯を沸かしてください。」

「僕が手伝います!」


「いえ、君は新鮮な乳を買ってきてください。」

「え?乳?は、はい。買ってきます!」


「妾も手伝うのじゃ。」

「それでは船の私の診療室にある青いな薬ツボを持ってきてください。」

「まかせるのじゃ」


 それぞれがテキパキと働き準備が整った。

 医師は少年が買ってきた乳を少しだけ舐めた。


「スペイ産の雌牛の乳か、、、悪くない。」

「判るのか?」


「いえ、なんとなく言ってみただけです。」

「なかなかいいな。」

「妾も次から真似するのじゃ。」


 医師は殺菌した鍋に牛乳を入れ、90度から95度で5分ほど熱を入れた。


「まるで調理なのじゃ。」

「ぐつぐつと煮えてやがる。」


 次に40度まで冷ました牛乳へ青い薬ツボにはいったブツを入れた。


「なんだか美味しそうです。」

「少し酸いい匂いがするな。」


 そして、殺菌した容器に移し密閉した。


「これで、明日まで待てば完成です。」


「あ、明日!?みーちゃんは今、苦しんでいるのに!?」

「少年よ。物事には時間が必要な事もあるのじゃ。」

「こんな事の為に、おじさんは汚い工場を手放したわけじゃないんだ!!」

「いいんだよ。おじさんの綺麗な工場のことは気にしなくていいんだよ。」


「おにいちゃん。」

「みーちゃん大丈夫だよ。いまお兄ちゃんが文句を言ってあげるから。」

「おにいちゃん。みーちゃん、もう治ったよ。」

「え!?」

「みーちゃん、お腹いたくなくなったよ。」

「そんな、、まだ、薬は出来ていないのに、、、」


「おねえちゃんに三つ編みしてもらって、おトイレいったら治ったよ。」

「あぁ、みーちゃん。本当に、、本当に、よかった。先生、本当にありがとうございます。」


「まだだ!」

「え!?」

「明日の朝、もう一度来てください。」

「え、でも、、」

「何も言わず、明日の朝ここに来るのじゃ。その時すべてがわかるのじゃ。」

「ふ、焦らしやがるぜ。」


 兄妹と叔父がもともとここに住んでいたのだが追い出された。

 次の朝、訪れた3人は驚愕の事実を知るのであった。


 この小さな工場から始まった事業は今後、世界中に広がる。誰もが知ることとなるガラス製品と乳製品の大企業はこのバルセロナの片隅にある小さな「みーちゃんとおにいちゃんのヨーグルト工場」から始まったのだった。







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