56 テッサロニキ
ギリシア国「テッサロニキ」
エーゲ海北東部テルマイコス湾の奥に位置する。古代マケドニアの首都だったこともある。バルカン半島の玄関口として貿易で栄えている。
「ここはまさしく十字教と回教の最前線なのじゃ。」
「住民はギリシア人の回教徒が多いな。」
「ユダヤ人も多いのじゃ。」
「その話はパスだ。別の物語に期待しろ。」
「風呂敷は広げれる範囲に限るのじゃ。」
「せ、世界的に有名な「トルココーヒー」と「ギリシャコーヒー」ですが、実はほぼ同じものです。両方とも煮だした珈琲をフィルターを通さずに上澄みだけ飲むという特徴が一致しています。」
「む、おぬしは!?」
「ぼ、僕はなぜか珈琲博士です。歴史的に反目する機会が多かった、両国民が相手の名称を認めなかったために、同じものが別の名前で広まったのです。」
「一皮剥けたようだな。」
「は、はい。珈琲豆の選別では皮を丁寧に除去することが大切です。」
そこに一人の男がやってきた。
「このバルカン半島では十字教も、古十字と正教会で反目し合っています。さらにそれぞれの民族が独自の国をつくり反目しあってます。」
「反目してばかりなのじゃ。」
「さしずめ東欧の火薬庫ってとこか。お前はバルカン博士だな?」
「いえ、ただの医師です。」
「このギリシア国でも勤勉なテッサロニキの人と、怠け者のアテネの奴らが反目しあっているのです。」
「人の余に争いの種はつきぬのじゃ。」
「私は医師として予防医学の観点から素晴らしい整腸作用をもつ食品を見つけたので、みんなに食べてもらいたかったのですが、、」
「何か問題が?」
「バルカン半島の人達は反目しあっているので、ブルガリアの食文化である「ヨーグルト」を受け入れないのです。」
「お腹にいいのにな。」
「勿体ないのじゃ。」
「ここに私が独自に手に入れた「ブルガリアヨーグルト」の株があります。」
「のじゃ!それは機密なのじゃ!」
「この株を使って世界の人々にヨーグルトを届けるのです!!」
「む、む、妾も毎朝、ヨーグルトが食べたいのじゃが、、」
「ブルガリア当局に追われることになるぜ。」
「大丈夫です。遠く離れた地で独自に開発したことにすればバレません。」
「ぴー」
「ぴーちゃんも「毎日ヨーグルトが食べたいと」言っている。」
「ぴ!ぴぴー!!ぴぴ!!」
「ピーちゃんがそこまで言うなら仕方ないのじゃ。」
「ただし、妾たちは全く一切「ブルガリアヨーグルト」の機密の件は知らないのじゃ。ただ、たまたま、船医を雇っただけなのじゃ。」
「ええもちろん。損はさせません。」
「そうと決まれば、当局にバレないように静かに出港するのじゃ。」
「いざゆかん、約束の地「ヨーグルピア」を目指して!!」
「どこじゃ?」
「え?」
「「ヨーグルピア」とやらはどこじゃ?」
「いえ、なんとなく語感がよかったので言ってみたのですが、、」
「悪くないな。」
「うむなのじゃ。妾がはじめに言い出したことにするのじゃ。」
「え!?いくら船主でも知的財産権の侵害まではみとめられませんよ!」
「公に認められてないものなど無いも同然なのじゃ。言ったもの勝ちなのじゃ。」
「く、横暴だ!」
「なんとでも言うのじゃな。「ヨーグルトピア」は妾のものなのじゃ。」
「「約束の地」も忘れるのよ。」
こうして、新たな船員を乗せ俺様の旅は続いていくのであった。




