47 マダガスカル
「今後、どうするかはおいおい考えるのじゃ。」
「それより、アソコに行かないか?」
「それは面白そうなのじゃ。」
「行くしかないよな」
「インド洋に浮かぶ謎の島「マダガスカル」へ行くのじゃ!!」
インド洋西部「マダガスカル島」
世界で4番目に大きな島。東方見聞録の著者マルコポーロがなぜかソマリアの「モガティッシュ」の事を聞き間違え、場所も勘違いで記載したため、この場所がこの名前になった。
「すごく異世界感があるのじゃ。」
「変な植物と変な動物がいっぱいいるな。」
「人間も変なのじゃ。」
「あまり指をさすな。」
「「バニラ」が売っているのじゃ」
「「バニラ」と言えば中南米原産と言われるラン科の植物で、その香りへの評価は高く、特にアイスクリームなどに利用されます。」
「こんな変な島で、世界のシェアのほぼ半分を生産しているのに原産地でないのじゃ!?」
「はい、近隣のプランテーション農家で人工授粉の方法が確立されたため一気に広がりましたが、それ以前はほぼ原産地のみで固有種である野生の蜂をを介して授粉していました。」
「ところで君は?」
「僕は少年バニラ博士です。」
「む、欲しい人材だが未成年を連れ出すわけにはいかんな。」
「たぶんこの島でしかセリフがないのじゃ。」
「そんなことはありません。「バニラ」は「サフラン」に次ぐ高価な香辛料で、世界各国で栽培が試みられています。東南アジアや中南米では大規模な生産もおこなっており、とても興味深い存在なのです。」
「ふ、各地の少年博士に期待するさ。」
「少年「サフラン」博士も探すのじゃ。」
「僕は、、、この島では少年バニラ博士として尊敬されていますが、島の外を見たことがないのです。」
「ふむ」
「みなさんはこの島を変な島といいますが、ぼくにとっては普通の何気ない、いつも通りの景色です。」
「なるほど、ためになる意見なのじゃ。」
「僕はこの島の外のみなさんにとっては当たり前の「変な景色」を見てみたいです。」
「ママのおっぱいを卒業してからまた来な」
「味付けはバニラでたのむのじゃ。」
「、、、」
その日の夜。俺様達の宿の扉を激しく叩く音がした。
「こんな夜更けに何事なのじゃ」
「闇討ちか!?」
「私は少年バニラ博士の母です。」
「そんなに変じゃない普通の母親なのじゃ。」
「名前のわりに平凡だな。」
「息子が「バニラビーンズは鞘ごと発酵させるけれど、僕のキュアリングは鞘から抜け出すことさ」と書き置きを残して、部屋にいないのです。」
「面妖なのじゃ。。」
「暗号のたぐいか。。」
「私の女の勘が、息子は島を出たがっていたと言っています。島の外から来たあなたたちのもとにいるのではと来てみたのですが、、、」
「やっぱり少し変だったのじゃ。」
「風が湿り気を帯びている、今夜は嵐になるぜ。」
「っ!!船を出すのじゃ。海を捜索するのじゃ!!」
インド洋「モザンビーク海峡」は荒れていた
「冬の間、南東から吹く貿易風に乗ってアフリカ大陸に渡ろうとしたけれどこれまでか。。」
少年バニラ博士はマダガスカル固有種のヤシをくりぬいて作ったアウトトリガーカヌーに乗っていたが、腕木が破損したため安定を保てなくなっていた。
「このままでは、潮をかぶってせっかく持ち出したバニラエッセンスの香りがとんでしまう。」
少年は必死に櫂を漕いだが、その命運は風前の灯に思えた。
その時、
「見つけたぜ家出少年。」
「帰ってママの説教なのじゃ。」
俺様達が浜辺に帰ると、島の大人たちが集まっていた。
「持ち出した苗木が無事でよかった。アフリカ大陸でバニラの栽培がはじまったら、島の優位性が崩れてしまう。」
「ごめんなさい。少年バニラ博士でごめんなさい。」
「のじゃ!!そなた達は、少年バニラ博士の心配よりバニラの苗木が大事なのじゃ。非人道なのじゃ!。」
「客人、我らにとってバニラの苗木は大事ですが、少年バニラ博士もまた大切な苗木なのです。」
少年バニラ博士は自分が島の大人たちに愛されていたと知り、涙を流した。まるで一滴のバニラエッセンスのように。
数年後、少年は偉い本物の学者になるために島をでたが、マダガスカルの事を生涯忘れることはなかった。バニラの香りが消えないように。




