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41 モガティッシュ


 無政府地帯ソマリ地方「モガティッシュ」


 地図に記された港に近づくと沖合に何隻か停泊しているのが見えた。


「おーい。あんた達もヨーロピアからきた商人だろ?」

「あぁそうだが?」

「ここいらの海賊どもみたいな船に乗ってるな。」

「余計なお世話だ。」

「妾の船には温水洗浄便座もついておるのじゃ。」

「そいつはすげーや。」

「まぁな(照)」


「ちょいと相談なんだが、ここモガティッシュは政府が機能してない港でな。」

「変わった港じゃの。」

「上陸するときはできるだけ大人数で行った方がいいんだわ。普通に襲われるからな。」

「そいつは物騒だ」

「あんた達も上陸する気ならここいらの船と徒党を組んでいかねぇかい?」


 少し考えて、話にのることにした。


 港に着いて、全員が用事を終えるまで、みんなで上陸艇の警備をする。


「俺達はスエズからケープタウンまでのインド洋西岸で商売している。若いときはいろんな海にいき、いろんな港に寄ったもんさ。」

「へーなのじゃ」

「けどな、ここが世界で一番治安が悪い。」

「のじゃ!?」


 確かに、いろんなところから胡乱な目線を感じる。

 すこしでも隙を見せれば、徒党を組んで襲ってきそうな感じがする。


「あまり目をあわせるな、何で動き始めるかわからんぞ。」


 そこに、商談に行っていた別の船の者が、数人の現地人に追われてくるのが見えた。


「ちっ、トラブりやがったな。」

「あれくらいの数ならなんとでもなるのじゃ。」

「すぐに街中を巻き込んで、暴徒の群れになるぞ。」

「のじゃ!?」

「ひとあてして船に戻る。船に乗船の旗信号と、艦砲支援要請おくれ!」



 なんとか船に帰り着いた



「危機一髪だな。」

「、、、」

「どうかしたか?」

「ここは普通に草が生い茂っとるのじゃ。」

「茂ってるなw」

「バナナも生えておる。」

「生えているな。」

「ここからは見えんが森には果実も実っておるじゃろう。」

「ふむ。」

「ここは人間が生きていくのに適した環境じゃ。」

「確かにその通りだ。」

「妾は人は飯さえ食べれれば、笑顔になって希望をもって生きていけると思うっておったのじゃ。」

「孤児たちはそうだったな。」

「あの砂しかなかったアラビア半島ですら人々は譲り合って生きていたのじゃ。」

「だな。」

「ここはなんじゃ?」

「む。」

「ここは人がつくった豊かな地獄じゃ。」

「、、、」

「、、、」



「水の補給できなかったな。」

「できなかったのじゃ。」

「一度、紅海に戻るか?」

「、、、」

「アラビア半島の東側に行ってみるのもいいな。」

「、、、いや、いくのじゃ。」

「ん?」


「もう一度、モガティッシュに上陸して、現地の人と話してみるのじゃ!」




 モガティッシュの現地の人々は、今回の襲撃を乗り切ってほっとしていた。

 この地獄のような港街では、外国から次々くる船から物資を奪う生活を長年続けていた。最近は、外国の船が徒党を組んで大人数で上陸してくるようになったため、現地の人々に被害が出ることもあった。

 今回の襲撃では比較的被害が少なかったので、今回のウェーブ(いつの頃からか外国船の襲撃を波と呼んでいる)は大成功と言えた。


「いやー大漁。大漁。」

「今回はそれほど被害がなくてよかったね。」

「すごい強い奴いたけどな。」

「しかし、このまま数が増えるようなら、いつまで波を乗り切れるか、、」

「人数は増えたけど回数が減って実入りもよくなくなってきたな。。」


「おーい。上陸艇が一隻だけまたくるぞー」


「お、セカンドウェーブか?」

「一隻だけなら楽勝だね。」

「実入りが少なかったから助かるね。」


 港にはたくさんの現地の人々が残っていたので、囲んで奪うことにした。



 俺様達は上陸してすぐに戦闘を開始した。


「話し合いとは、、」

「コミュニケーションの基本はコブシなのじゃ。」

「自分はこういうの嫌いじゃないっす。」

「ぼ、ぼくは、なぜか珈琲博士です。」

「知ってるのじゃ。」

「早く言え。」

「ぼ、ぼくは珈琲を入れるためにお湯を沸かします。」

「その報告は別にいらんのじゃ。」


 港にいた人達と、街から湧いてきた人達を全員ひっくり返した。


「場は整ったのじゃ。」

「ぼ、ぼくは珈琲を飲む場を作るため、絨毯と花を敷き詰めます。」


「貴様ら!俺様達の質問に答えやがれ!」

「へい。モガティッシュの現地人です。」


「なぜ妾達を襲うのじゃ?」

「なぜって言われても、、産まれた時からやってますんで、、」

「なるほど、文化か。」

「人のものを暴力で奪い取ってはダメなのじゃ。」


「ほ、本日はこちらの豆を、つ、使わせてもらいます。モカハラーになります。」

 珈琲博士が豆を洗い、焙煎をはじめると珈琲のよい香りが漂った。


「善い香りなのじゃ。」

「丁寧な仕事ぶり、感服です。」


「食べるものがなければ、バナナをたべればいいのじゃ。」

「毎日たべてます。」

「森には果実が実っておるのじゃ。」

「食べてます。」

「ここなら獣もたくさん捕れるのじゃ。」

「捕ってます。」

「、、、」

「草も食べてます。」

「ww」


「あ、アボル(1杯目)になります。カップにお好みの量の砂糖をお入れください。」

 それぞれが砂糖をいれると、そこにジャバナ(ヤカン)で珈琲が注がれる。


「私たちは昔から外国の船と盗ったり盗られたりしながら暮らしてきました。」

「ふむ。」

「その生き方しか、できないのです。」

「そんな事はないのじゃ。」

「その生き方しか、知らないのです。」

「のじゃ。」


「と、トーナ(2杯目)になります。好みにあわせてお塩を足してください。」

 塩をカップにいれると、ジャバナ(ヤカン)から珈琲を注いでくれる。


「最近は、一度に来る人数も多くなり、武器も強力になりました。」

「ふむ。」

「このままでは我らは奪われるだけの存在になってしまうでしょう。」

「そうなるだろうな。」

「未来のために我らは変わらねばならないのかもしれません。」


「バラカ(3杯目)です、お好みの香辛料をお使いください。」


「よい味なのじゃ。」

「とても、素敵な珈琲でした。」


「ば、「バラカ」は「祝福」を意味します。皆さんの未来に祝福が訪れることを願ってます。」


「、、、」「、、、」


「私たちにも珈琲をとることができるでしょうか?」

「教えてやれ。」

「は、はい。なぜか珈琲博士です。」

「知ってるのじゃ。」

「私もさっき知りました。」

「珈琲はこの近隣のエチオピアやケニア、タンザニア等で盛んに栽培されています。種蒔または挿木から3年ほどで収穫可能となり、その後、50年程コーヒー豆をとることができます。」

「なるほど、考えてみるか。」

「よりよい未来を願っているのじゃ。」



 その後、モガティッシュの住民がなぜかエチオピア東部の高地地帯に押し寄せ、地域は紛争状態になったのであった。






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