38 ジエッダ
俺様達の村にて、お気に入りの婆さんのところで茶を飲んでいた。
「あまり、海賊を殺してはいけないよ。」
「のじゃ?海賊は害悪なのじゃ。」
「このツラい砂漠では人様のモノを盗らなければ食べていけないこともあるんだよ。」
「ふむ。」
「この村の人々も今はスエズ運河の工賃でお金とパンと水がもらえるけれど、少し前までは盗賊の合間に漁業をしていたんだよ。」
「のじゃ!昔は海賊の村だったのじゃ。」
「いまは、みんなのおかげで漁業の合間に盗賊をして暮らせるようになったけれどね。」
「今も海賊の村だったのじゃ。」
「このアラビア半島には、いや、人間の世界には盗賊しかいないのさ。」
「そんなことはないのじゃ。孤児もいるのじゃ。」
「立派な服を着たお貴族様も、盗賊の合間に盗賊をしているだけなんだよ。」
「ただの盗賊なのじゃ。」
「行商人も、農夫も、警察も、医者も、みんな盗賊なんだよ。」
「奪い合いばかりしていたら、いつまでも豊かになれないのじゃ。」
「奪い合いじゃなくて、譲り合いなんだよ。」
「のじゃ?」
「人は恵みを分け合って生きているんだよ。」
「妾の仕事はそれを助けることなのじゃ。」
そこに俺様が入ってきた。
「ギャンブル狂いのおっさんが砂と海藻と僅かな水で温水洗浄便座を作ったぞ。」
「そろそろ行くのじゃ。」
「またおいで。。」
砂漠の乾いた砂が頬を撫でた時、俺様達は旅立った。
「この、砂と風しかないアラビア半島では「人」しか採れんのじゃ。」
「俺様達は奴隷商人じゃないしな。」
「ワイン博士は手に入れた僅かな農地でブドウを育てる為に残ったのじゃ。」
「土地を使って作物を産み出す事こそが人の正しい行いだ。」
「妾達も負けてられんのじゃ。」
「妾達の村の人々が豊かに暮らせる様になるために、ブドウを売買できる交易路を作るのじゃ!!」
回教帝国サウジ州都市「ジェッダ」
アラビア半島の航海沿岸に面したその町は航海の貿易拠点として一定の規模をもっていたが、回教が大きくなる共に聖地「メッカ」に近いことで巡礼者たちの経路地として大きな発展を遂げた。
「この街でも採れるのは「人」なのじゃ。」
「俺様達は奴隷商人じゃないしな。」
「へへっ、この街ではちょっと特殊な「人」が採れるんでさ。」
「のじゃ!?闇商人いたのか?」
「この街で採れるのは人は人でも「観光客」なんでさ。」
「のじゃ?どう違うのじゃ?」
「へへっ、「観光客」は生産に寄与しませんぜ。」
「それは邪魔だな。斬るか?」
「けれど、「お金」を落としていくんですぜ。」
「それはとても素敵な事なのじゃ。」
「さらに、気持ちよく「お金」を落とした「観光客」は別の「観光客」を呼ぶんですぜ。」
「インバウンドスパイラルなのじゃ!」
「ぴー」
「ぴーちゃんは「よい観光地は観光客自身が口コミや様々な媒体を通して効果の高い宣伝を行ってくれるため、集客効果が乗算的に増えていく。」と言っている。」
「ぴーちゃんは物知りなのじゃ。」
「しかし、ここで商売を始める地盤がないな。」
「へへっ、ちょうどお誂え向きのものがあるじゃないですか?」
「ないのじゃ。」
「無いな。」
「どっかの誰かが育ててる「ブドウ」を液状にして保管していたら、たまたま状態が変わってしまったものを売りやしょうぜ。」
「なるほど!「ワイン」を売るのじゃ!!」
するとそこに警察と思わしき人が来た
「ピッピッーー!!お前たち!お酒の話をしていたか!?逮捕ーー!!逮捕ーーー!!」
「やっべずらかるぜ!」
「逃げるのじゃ!!」
船の上、
「力をつけてまた来るのじゃ。」
「「ジェッダ」よ覚えておくがいい、俺様は何度も立ち上がる。」
「決して諦めないのじゃ。」
俺様達の果てし無き旅は続くのであった。




