29 バチカノ市国
イタリ王国首都「ローマ」内「バチカノ市国」
ローマはイタリ都市国家群最大の都市。古くはローマ帝国の首都として大いに栄え、現在もその遺構が観光客を呼び世界屈指の観光都市として栄えている。その中にある「バチカノ市国」は古十字教皇直轄領として代々イタリ王に認められている。
「古十字教」から独立した「イギリ女王国教」を国教としたイギリ女王国に対しての「十字軍」集結の呼びかけをおこなうかの検討が行われていた。
スペイ王国代表枢機卿
「「イギリ女王国」は我らが属する十字教社会の規律を乱しており、制裁すべきです。」
スペイ国はジブラルタル海峡を渡ってすぐ南にあるアフリカ大陸からの回教伝播の圧力を常に受けており、十字教社会の壁であり続けるため、敬虔な、時は狂信的な「古十字」教徒が多くいるお国柄である。
フラン王国代表枢機卿
「「イギリ女王国」女王を呼び出し、話を聞いてみるべきと考えます。」
フラン国は長年「イギリ女王国」と仲が悪く、いつもであれば、かの国の足を引っ張るのは大賛成なのだが、いまは新大陸に莫大な投資をしている最中で金がない。そもそも、戦争をする金があるのであれば、もっと新大陸に投資したい。さらに、いまおこなってる新大陸の投資は「イギリ女王国」も大きく絡んでいる為、倒れてもらっては困る。
神聖ドイ帝国代表枢機卿
「我らも話を聞くのに賛成ですが、呼び出しに応じるでしょうか?」
神聖ドイ帝国は本来仲の良いスペイ王国を応援したいところだが、フラン王国と同じく新大陸への投資で金がない。さらに今回の件に神聖ドイ帝国内に本拠を置く商業的利益護伸組合が大きく絡んでおり、そちらからの圧力も無視できない。
「呼び出しなど悠長な事を言ってる場合か!そもそも、前の女王も、その後の王権代行も、古十字カンタベリー大主教でさえ今まで呼び出しに応じてこなかったではないですか。」
「まあまあ。我らは正しき事を、正しい順番で行うべきです。」
「それでこそ普遍性が守られます。」
「では、現「イギリ女王国」女王を破門にするべきです。」
「現女王だけでなく、先の女王と、先の王権代行も破門にすべきですね。」
「それはダメだ!破門されたものが国を治めていたとの前例が残る。」
「そんな前例いくらでもあるでしょう。今回の問題は発端は先の女王の不倫問題であるのですから、先の女王とその伴侶である先の王権代行の破門はすべきです。」
スペイ王国代表が現女王の破門のみを求めている理由は、現女王の両親である先の女王の夫妻の問題にある。
そもそも、現女王の父はスペイ王室の娘と結婚していたが、離婚し先の女王と再婚した。離婚したスペイ王室の女性には現女王の異母姉とスペイ王室が言っている娘がいる。スペイ国はこの娘を次の「イギリ女王国」女王にするつもりである。
古十字では離婚を認めておらず、どうしても夫婦関係がうまく行かない場合は「結婚関係になかった」という事で事実上の離婚をおこなう。この為の正しい手続きを先の女王の伴侶がとっていないため、古十字的には、いまでも先の女王の旦那はスペイ王室の女性の旦那であり、先の女王は不倫相手である。もちろん、古十字的にも不倫は大きな罪である。
「そもそも、イギリ女王国の女王は女系女王なので、女王の娘でないスペイ王室の女性の娘は女王になれませんよ?」
「私を派遣したスペイ王国はあくまでも十字教の規律を守るために十字軍の呼びかけを打診しているのです。それにスぺイ王国の法律によれば王権保有者の伴侶の子は王位継承権が認められます。また、王権代行は実質のところ王でありスペイ王室が保護している娘は王の娘と言えます。」
「イギリ女王国の王権をスペイ王国の法で判断するのですか?」
「ヨーロピア全体で見ても異例のイギリ女王国王室法は異質であり、平和的統治のため万国の足並みを揃えるのには考慮するに値しないです。」
「「神聖ドイ帝国」は「スペイ王国」がイギリ女王国を支配する事は認められません。」
「「フラン王国」も同じです。」
「「スペイ王国」に野心は無く、十字教社会の安寧のみを願ってます。」
「それでは、スペイ王室の娘を女王にしないのですね?」
「その時に十字教社会の安寧に一番良いと思われる方が女王になるべきです。」
立派な髭を貯えて威厳ある教皇がはじめて発言する。
「「イギリ女王国」の信徒達の様子はいかがかな?」
「「フラン王国」では、新教徒達が「イギリ女王国」に大量に流れ込んでいるのを確認しています。」
「「神聖ドイ帝国」でも同じく。おそらくはほぼ古十字の教えを踏襲している「イギリ女王国教」を新十字の一部だと勘違いしていると思われます。」
「現地で、新教徒とイギリ女王国教徒の諍いが行われている事も考えられます。」
「ふむ。」
「また、「イギリ女王国」が敬虔な古十字教徒の島であるアイルランドを弾圧する動きを見せているとの報告もあります。」
「ふむ。」
「十字軍遠征がなった場合、アイルランド古十字教徒も呼応することになっています。」
「そんな、ありもしない未来の約束をしたのですか?」
「彼らの心の火を消さぬためにも十字軍派遣は必要なのです。」
「あきれたもの言いだ。話になりません。」
そこに、法皇の秘書官のような事をしている枢機卿が困惑した様子で入ってきた。
「法皇様、表に「俺様が来た」などと言ってる輩が来ています。」
「む?」
「他にも「妾もいるのじゃ」などと言ってる輩もいます。」
「ふむ。」
教皇に相応しい立派なひげをもった老人は、議論も煮詰まってきて過去に100回聞いた話を100回繰り返しておると思っていたので、話題を変えるのに利用した。
「ふむ、聞かぬ名だが、皆の見識は?」
「私は皆目、、」
「最近耳にしますな、なにやら各地で善いことをしているとか、、」
「ふむ、どのような?」
「各地でいろんな人に会い、いろんな物を見て、いろんな物を食べ笑いあっているらしいです。」
「ふむ。よいですな」
「まさに、青春ですね。」「私も若いころは、、」「船旅も悪くありせんね。」
「して、その方々はどの様なご様子であったか?」
教皇は実際に目にしたであろう秘書官っぽい事をしてる枢機卿に聞いた。
「英国諜報部のナンバー持ちを連れてました。」
「な、、、」
「ぬぬ、」
「渦中の栗ではないか!!」
「ふむ。」
「「ハンザの女王」もいました。」
「あ、、あのメギツネが」
「世界を滅茶苦茶にしてる存在悪ではないか!」
「ポルトガの神童と言われる貴族の坊ちゃまもいましたね。」
「あの、若くして博士号に届かんとした、、」
「天才の呼び声を欲しいままにしてると聞く」
「私の国にもあのような若き芽が育ってほしいものだ。」
「かの有名な私がワイン博士です。もいました。」
「おぉ、かの吾人には世話になってます。」
「ワインを求めて放浪の旅に出たと聞いていたが帰ってきてくれたのか」
「新しいコレクションが楽しみです。」
「サンクトペテルブルク司教座の若い方の司祭もいました。」
「モスクワの論客か」
「前回の教義確認会でのアテネの糞坊主共の顔を思い出しますね。」
「あれは傑作でした。」
「もうすぐまた確認会が開催されますね。」
「次はコンスタンティノープルでしたな。」
「マヨルカの船大工も。」
「スペイ艦隊を最強にしたというあの、、、」
「肩に鳥を乗せた軍人」
「どっかのなんとかの合戦で武功をあげたという、、、」
「闇商人」
「それは知らない。」
「船のコックは知る人ぞ知るマルセイユの名店の店主だそうで、」
「あそこのブイヤベースらしきものは絶品ですな。」
「ブイヤベースじゃないのが玉に傷ですが、、」
「北伊料理の修行をしていると聞いていたが、、」
威厳ある法皇は自分の立派な白い髭を撫でながら言った。
「ふむ。会ってみたくなりました。ここへ。」




