24 アントウェルペン
ベルギ国都市「アントウェルペン」
北海に流れ込むスヘンデ川の右岸にある古くから栄える国際都市。由来は所説あるが有力なのは「砂の堆積」である。この街にはイベリア半島や地中海などから商人がたくさん訪れた。
アントウェルペンの寂れた目立たぬ酒場の、まるで目隠しされたように奥にある席に、あまり目立たたないが良く鍛えられた体躯をした、地味で小賢い眼をする、目立たないけどでかでかと額に「008」と書いてある謎の男がいた。
「本日はお越しいただきありがとうございます。」
「ちょっと待った!」
「!?」
「待つのじゃ!」
「わかりました。待ちましょう。」
みんなで少し待った。
「俺様達は信仰の自由を信条にしている。」
「ぴー!」
「ぴーちゃんは「初めて聞いた」と言っている。」
「ぴーちゃんには言っておらなんだの。」
「、、、」
「私も初めて聞きました。ワイン博士です。」
「話が長くなるからそのくだりはキャンセルだ。」
「古くからヨーロピアの人々は十字教を信仰しておりました。」
「そういうのいるから続けろ。」
「続けるのじゃ。」
額に「008」と書いてある謎の男いわく、ヨーロピア、特に西ヨーロピアでは十字教なる宗教組織が幅を利かせており、その代表であるバチカノ法皇はとても大きな権力をもっていた。その権力は西ヨーロピア各国におよび、法皇を選出する「枢機卿」を何人抱えれるかで国の命運が決まると言っても良いほどであった。
聖職者達や各国の権力者たちは十字教の素晴らしい教えを自分たちの欲望の為に利用しているのが現状であった。
しかし、活版印刷による情報伝達速度の向上で、庶民たちにも正しい教義が伝わるようになると、本来の人々の暮らしに基づいた正しい十字教のあり方をもとめて、腐敗した宗教組織に対する反発がでてきた。
その運動は次第に大きくなり、現在では十字教は古い教えと新しい教えに別れ対立しているのであった。
「そういうのはパスなのじゃ。」
「別の物語に期待しな。」
「私も色々調べまして。」
「のじゃ?」
「皆さんの旅路は、各地をまわり、いろんなものを見て、いろんな人に会い、いろんな食べ物を食べて笑いあってきたと聞きます。」
「まぁ、そうじゃの。」
「皆さんが古十字新十字関係なく教会付きの各地の孤児院で多大な寄付をしてきたことはわかってます。」
「余った物資を処分していただけだ。」
「「大ロシヤ大帝国」では「大ロシヤ大正教」の重要な司祭様を、海賊たちからまもったと聞きます。」
「たしかにそうじゃの。」
「まさしく「英雄」ですね。」
「それほどでもないのじゃ。(照)」
「愛いやつめ、話を聞かせろ。」
「それほど、難しい話ではないのです。モスクワ総主教座の話を聞きたいのです。」
「のじゃ?」
「ぼ、僕ですか。」
そういえば、「大ロシヤ大正教」の若き司祭を乗せたままだった。
「僕たち「大ロシヤ大正教」は聖伝を実行しているだけですよ?」
「はい存じてます。貴方達はバチカノ法皇の指示に従いますか?」
「いえ、神品はただの代表なので、私たちが従うのは聖伝の内容のみです。」
「貴方達は主教庁の指示に従いますか?」
「いえ、私たちは独立した「大ロシヤ大正教」なので、指示を受けません。」
「貴方は主教の指示に従いますか?」
「信仰の代表であるサンクトペテルブルク主教の指示には従います。」
「結構です。大変よい話を聞かせてもらいました。」
「お役に立てたなら幸いです。あなたにもハリストスの恩寵がありますように。」
「なんだかよくわからんのじゃが、よかったのじゃ。」
「いつになったら悪を切りに行くんだ?」
「おや?それなら宗教戦争の最前線にご招待しますよ。」
「のじゃ!また変なトラブルにまきこまれたのじゃ。」
「腕が鳴るぜ!」
額に「008」と書いている謎の男を新たに乗せて航海は続くのであった。




