2 船出
交易品の補充のためにリスボンに戻ってきた。
「新しいスリがいないか孤児院に見に行くのじゃ。」
「孤児ってそんなホイホイ仕入れれるものだったっけ?」
「社会情勢の変化や戦争、災害などで増えるのじゃ。」
「知性ある治世は大事だな。」
「のじゃ。」
大層立派な教会付きの孤児院についた。
「ようこそ神の家へ。本日はどのようなご用件ですか?」
「優秀な船乗りを探している。」
「?孤児への就業の斡旋はのぞむ所ですが、、優秀な船乗りとなると、、」
「こちらで、しっかり育てるから大丈夫なのじゃ。」
「将来の幹部候補と考えている。」
「三食昼寝付きじゃ。」
「おぉそれは重畳、どのような子をお探しでしょうか?」
「スリじゃ」
「え?」
「序盤で仲間になりそうなスリじゃ。」
「自分のことを「おいら」って呼ぶやつな。」
「実は小さい子たちにお菓子をわけ与えてるのじゃ」
「男物の大きめの服を着た、女の子だな。最近、胸がでてきたことに悩んでいるならなおヨシ!」
ふたりは孤児院を追い出された。
「のじゃのじゃ!ダメなのじゃ。」
「俺様なら石を投げるね。」
「まったくなのじゃ。」
仕方がないので、巷の噂で聞いた、南の大陸にあるという、それはそれは大きなスラムを目指すことにした。
馴染みの商会で「アーモンド油」と「ブランデー」を買い込んだ。
「今回は食べ物じゃないから安心なのじゃ。」
「田舎で原材料を仕入れ、都会で加工品を買うのが定石だな。」
「錨をあげろーなのじゃ!船をすのじゃ!!」
「ごぶぅ!!」
「快晴なのじゃ。」
「まるでお日さんも俺達の門出に祝福の光がふりそそぐな。」
「まったくじゃ」
「そいつはどうかな?」
「のじゃ!!」
そこにはなんと、まるで海賊のような服装をした、赤い髪の女が率いる「海峡の向い風海賊団」がいたのです。
「待ち伏せなのじゃ!」
「くくく、海では待たれる奴が馬鹿なのさ。」
「姐さん、こいつらが例の奴っすか?」
「あぁ、そうさあたしに舐めた真似してくれた連中だよ」
そこにはなんと、自分の事を「おいら」と呼びそうな、まるでスリを生業としているような、前歯の長い少年がいたのです。
「のじゃ!」
「くっ!」
「出っ歯は思いつかなかったのじゃ。ポイント高いのじゃ。」
「女の子じゃない。マイナス」
「やつは妾の欲しい物を、いつも横から盗んでいくのじゃ!」
「おい!どこからそのいかにもな孤児を攫ってきたんだ!?」
「物騒なこと言わないでおくれ。この子は農家の三男だよ」
「両親は健在っす」
「よかったのじゃ。為政者の無策で失われた命はいなかったのじゃ。」
「ポルト王国もすてたもんじゃないな。」
「あたいもこの国には感謝してるよ」
「おいらもっす」
「でも!それとこれとは話が別だよ!!命おしくば、首と交易品を差し出しな!」
「ゴニョゴニョなのじゃ。。」
「?風が邪魔で聞こえにくかったっす。」
「ゴニョゴニョなのじゃよ」
「大きい声ではっきり言いな!!」
「飲んだのじゃ!!飲み干したからもう無いのじゃ!「ブランデー」も「アーモンド油」も(泣)」




