五色月の風に、星はエメラルドのように
若葉風が吹く
五色月の街並みを
まばゆく彩る
新樹光はやわらかに
瞳にさしこむ
葉のエメラルドは
新緑の風を
心の中まで届けて
連なりゆく紫の
アイリスの花は夏へと
続くひとすじの
道しるべのように
五色月の大地は
エメラルドに煌めいて
春の岬を越えて
広がる夏の浅瀬は
翡翠の色をして
金雀枝が風に
はばたくように
見上げた空を
走る描きかけの
筆の軌跡のような
白い薄雲の彼方に
暮れなずむ
春茜を見つめながら
五色月の星は
エメラルドに煌めいて
南の空高く
春の女神が宙から
見つめる夜に
麦の穂先に輝く
スピカの星に続いて
宙へと浮かび上がる
てんびん座の星々
やさしく瞬く
夜空の新樹光
星の天秤の
北の皿を照らす
光はエメラルドのように
歩む道のりは
一本道ばかりではなくて
何が大切で
何を目指して
はかることの
できないものもあって
ひとかけらの夢
ひと粒の涙
ひとひらの言の葉
心動かされる
ひと瞬間も、きっと
はかることのできないもの
はかり知れないものを
感じられるように
そして
忘れないように
続く道へと
その一歩を信じて
やさしい光で見守る
星の天秤を見つめながら
時に翠雨に
こぼれる葉の雨粒も
やがて昇りくる太陽に
光るエメラルドの
しずくとなって
五色の風に吹かれて
若葉風が吹く
五色月の街並みに
吹き抜ける風を
心の空に感じながら
まばゆい新樹光を
映す瞳は、
エメラルドの色をして
エメラルドは、5月の誕生石で、石言葉は「幸福」「幸運」です。若葉風は新緑の時期に吹く風で、新樹光は若葉にさしこむ陽光が周囲を瑞々しく照らす様子とされます。
黄道十二星座の一つ、てんびん座は、春から初夏におとめ座に続くように南の空に上り、光はささやかですが、「北の皿」(ラテン語でランクス・ボレアリス)と呼ばれる星は、光の加減により「緑色に見える星」といわれます。
アイリスは、ギリシャ神話の虹の女神イリスに由来し、花言葉は「吉報」「希望」です。五色月は5月で、この時期の雨は、翠雨と呼ばれます。金雀枝は初夏にかけて金色の花が咲き、「謙虚」「豊穣」の花言葉があります。
季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。