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<31>

 二人が特製大盛りラーメンをズルズル~っと音を立てて食べ始めて十数分したところで、オカメの店主が訊ねるでなく声をかけた。

「確か…あんたら、警察の人だったね…」

「ああ、そうですが…」

「ほん今まで、ここに座っていた人も警察のお偉いさんでしたよ」

「警察の?」

「ええ、麹町署の署長とか言ってらしたが…」

「本当かいっ!!」「ええっ!」

 二人は思わず顔を見合わせた。

「どこへ行くとか言ってられませんでしたか?」

 口橋(くちばし)が箸を置いた。

「いや、そこまでは…」

「どっちへ行かれました?」

 鴫田(しぎた)は麵を啜りながら訊く。

「右手へ歩いて行かれたと思いやすが…」

「おい、先さっき)の…。行くぞっ!」

 口橋が鴫田の肩を軽く叩いて急かす。鴫田は名残惜しそうに半ば食べ終えたラーメン鉢を見ながら立った。

「親父さん、ここへ置いとくっ!」

 口橋は勘定をカウンターに置くとオカメを飛び出した。鴫田もあとに続いた。

「気の早いお方だ…。ほん今、といっても十分以上前なんだが…」

 オカメの店主はニンマリと(わら)った。

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