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「その話はいいとして、だ。鴫田(しぎた)、ミイラの行方、婆さんに祈祷で占ってもらうってのは、どうだ?」

「でも口さん、またあの山林へ分け入るんですか?」

「仕方ねぇ~じゃねぇ~か。俺達ゃ刑事なんだからよぉ~」

「はあ、それはそうなんですがね。どうも気が乗らんのです…」

「乗ってもらわなくちゃ困るじゃねぇかっ! 若いんだからよぉ~」

「はあ…」

 鴫田は渋々、頷いた。

 二人がふたたび覆面パトに乗り、奥多摩へ向かったのはそれから一時間後だった。その一時間は、いつも寄るファミレスで腹を満たしてからである。二人は朝から何も食べていなかったから、ファミレスでは普通量の二倍を食べ尽くした。

「口さん、しばらく、そこで仮眠しませんか?」

 腹が満てば眠くなる・・としたものだ。長い道中の途中で運転を誤れば崖下の多摩川へ真っ逆さまに落ちる・・ということだって無いとは言えない。

「三十分ばかりな…」

 口橋(くちばし)もそう思えたからか、敢えて否定はしなかった。二人は側道へ車を駐車させ、ウトウト…と微睡(まどろ)み始めた。

 二十分ばかり経ったときである。サイド・ウィンドゥをコツコツ! と叩く女性警官の姿が、薄眼を開けた二人の目に入った。

「ここは駐車禁止です。すぐ撤去願います…」

 女性警官は車のナンバーを確認しながら違反切符を切ろうとした。

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