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「さて、どうするか…」

 口橋(くちばし)は足元の革靴を見ながら言うでなく口を開いた。山道を歩くには分不相応な靴である。

「かなりの距離ですかね?」

「さあな…。今の男も行ったことがねぇ~って言ってたからな…」

「どうします?」

「どうしますも、こうしますも、ねぇ~さ。俺達ゃ刑事なんだぜ。行くしかねぇ~だろ、鴫田(しぎた)

「ですね…」

 二人は初老の男に言われた麓の細道からゆっくり登り始めた。鴫田のショルダーバックの中には、コンビニで買った茶のペットボトルがまだ、半分ほど残っていた。口橋はいつも水筒を肩から掛けて捜査する刑事で、署内でも有名だった。

 十五分ほど右に左にと登ったとき、前方の樹木の間に(いおり)らしきものが鴫田が見る双眼鏡の視界に入った。

「口さん、あれは?」

「なんだ…?」

 口橋は鴫田が渡す双眼鏡を目に当てた。

「婆さんの庵か…」

 二人はその庵らしき樹々が繁る地点へと少しづつ近づいていった。繁茂する樹々や蔦、蔓を掻き分け、庵の数メートル前まで近づくと、庵の中から(ほの)かな橙色の灯りが漏れているではないか。二人は婆さんの庵だと確信しながら貧相な鳥居のような古木の門から中へと入っていった。

「あのう…誰か、おられますかっ!?」

 口橋は大きめの声を庵の前でかけた。

「へぇ…」

 のそっと出てきたのは、紛れもなく警察へ訪ねてきた老婆だった。

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